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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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101/101

第101話: サツキさん、調査させる

大人しく引き下がれるかってんだ。


月次報告会の終わった後。

私はまだ、青梅ダンジョンの一件が引っかかっていた。


前回の1795万円が、今回は5億7428万9000円。

まだまだ私のダンジョンに比べて鼻くそのような金額だが、伸び率が異常だ。

おまけに、あの地竜まで倒せるような探索者だというじゃないか。


「今は推測で個人を追う段階ではない」


会長のギンはそう言った。


そりゃ魔物が上がってくるって事実の方が重要だ。

分かってる。

分かってるけど、私にとっては銀座ダンジョンに勝つことが何よりも重要なんだ。


渋谷ダンジョン管理所、私の執務室。

窓の外には、いつもの渋谷の喧騒が広がっている。

デスクの上には、月次報告会の資料。

青梅の欄だけ、何度も数字を見てしまう。


インターホンが鳴る。


「入れ」


扉が開いて、三人組が入ってきた。


「呼びました?」


先頭にいるのは、リョウ。

金髪を無造作に立て、耳にピアスをいくつも並べている。

渋谷ダンジョンの中堅探索者の中では、腕は悪くないらしい。


渋谷ダンジョンをメインにしている探索者の中で覚えてるやつなんか上澄だけだ。

こんな雑魚のことなんかこれっぽっちも知らない。

いざとなって問題が起きた時、切って困らないやつがいいと考えて適当にピックアップした探索者だ。


後ろに続くのは、テツとケンタ。

テツは無言で腕を組み、壁際に寄りかかった。

ケンタはガムを噛みながら、興味なさそうにデスクを眺めている。


柄が悪い。

でも、こういう仕事に使い勝手がいいのはこういう奴らだ。


「仕事だ」


「げ、面倒なやつっスか」


「面倒かどうかは、お前らの動き次第だ」


私はタブレットを取り出し、資料を表示した。

青梅ダンジョンの位置情報と、月次報告会の数字。


「青梅ダンジョン。知ってるか」


「ゴブリンしか出ない、何もないとこっスよね」


「先月まではな」


三人の目つきが変わった。

興味を引くには十分な数字だ。


「今月、売り上げがいきなり5億超えた。前月は1795万」


「は?」


「有名な探索者がメインのダンジョン変えたんです?」


「知らん。だからお前らに調査してきてほしい。しかも、秋田のダンジョンで地竜が出たらしい。それを倒したのも青梅の探索者らしい」


リョウが口笛を吹いた。

テツが、初めて壁から背を離した。

ケンタはガムを噛むのをやめた。


「地竜って、あの地竜っスか」


「そう」


「ゴブリンしかいないとこの探索者が、それ倒したんスか」


「私も信じてない。だから見てこい」


説明しながら、タブレットの画面をテーブルへ投影する。

青梅ダンジョンの外観。

古いプレハブ小屋みたいな管理所。

場末感がすごい。


「これ、本当にダンジョンの管理所っスか?」


「見た目で判断するな。中身がおかしいのは、数字が証明してる」


会長は、個人を追うなと言った。

それは、あくまで公式には。

私が自分の権限で、自分の部下を偵察に出すことまでは、誰にも止められない。


「お前らの仕事はシンプルだ。青梅ダンジョンに潜って、適当に何階層か探索して、何を見たか報告する。その探索者にもコンタクトを取れ」


「揉め事は?」


「起こすな」


私はきっぱり言った。


「探ってくるだけでいい。喧嘩も、強引な聞き込みもするな。ただの探索者のフリをして、普通に潜って、普通に帰ってくればいい」


「地味っス」


「地味な仕事にだが報酬は弾む」


金の話をした瞬間、三人の顔つきが変わった。

現金なやつらだ。

使いやすくて笑いが出るね。


「もし本当に、青梅にとんでもない探索者がいるなら、それがどんな連中か知りたい。強さも、人数も、雰囲気も。写真や動画が撮れるならなおいい」


「了解っス」


「もし何もなかったら?」


リョウが聞いてきた。


「それならそれでいい。ただの空振りだ」


ま、空振りなわけがないがな。

売り上げが伸びてるんだ。

絶対に何かあるぞ。


「あと、絶対に喧嘩を売るな。相手がどんなにガラ悪くても、だ」


「俺らより悪いガラなんてあるんスか」


「お前らが心配するくらいには、得体が知れない」


三人がそろって、少しだけ顔を強張らせた。

分かればいい。


「一週間以内に行ってこい。以上だ」


三人が部屋を出ていく。

扉が閉まる音を聞きながら、私はもう一度、資料の青梅の欄を見た。


5億7428万9000円。


ゆきは、何かを隠している。

あの飄々とした顔の下で、絶対に何か知っている。


「便利な言葉ね、じゃないっての」


思い出すと、また腹が立ってきた。

今度はこっちが、情報を取る番だ。


窓の外を見る。

渋谷の空は、今日もビルの隙間から少しだけ見える。

銀座には勝てなくても、こういう勝負で負けるつもりはない。


「青梅、見せてもらうわよ」


私は小さく呟いて、資料を閉じた。



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