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マスターネオはネコまない ―黒猫GMのマスター魔法奪還ログ―  作者: Master NEO
第二章 マスターネオの奮闘

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第二十九話 灰色の空に、光が

 集落に食料を持ち込むと――反応は、予想以上だった。


「……本当に、あるのか」


 セナが呆然とする。


「今のところは、食料程度しか作れない。武器や防具は、まだ無理だ」


「十分だ。十分すぎる……!」


 プレイヤーたちが集まってくる。NPCたちも、その様子を静かに見ている。ラフが、ネオの足元にまとわりつく。


「ねこにいちゃん、すごい!」


「ねこにいちゃんって言うな」


「でもすごい!」


「……まあ、そうだな」


 珍しく、ネオが素直に答えた。


 リリィが小声でカイに言う。「ちょっと柔らかくなった気がする」


「成長じゃない?」


「どうかな。このくらいがちょうどいいと思うけど」


 食料を配り終えた後、ネオは集落の外縁に出た。灰色の空を見上げる。


「……《クリエイト》で、空は変えられないか」


「試してみれば?」


 リリィがついてきていた。


「朝は、システム上の問題だ。名前で定義できるものじゃない。ゲームのサイクルそのものを修正しないと」


「それは――権限が全部戻らないと?」


「そうなる」


 リリィは空を見た。「……まだ、朝が来ないね」


「ああ」


「いつ来るんだろう」


「権限を全部取り戻した後――だ。そう、なるはずだ」


 「なるはず」という言葉に、リリィは何かを感じた。


「……確信はないの?」


「確信はない」


「でも――やる」


「当然だ」


 少しの沈黙の後――リリィが言う。


「……ちゃんと戻れるといいね。外の世界に」


「そうだな」


「ネオは――帰りたい?」


 ネオはしばらく考えた。本当に、少しだけ。


「……どっちでもいい、が正直なところだ」


「え?」


「外の世界に帰るより――この世界を、ちゃんと動くようにしたい。帰るのはその後でいい」


「……順番が逆だと思う、普通は」


「普通のGMじゃないからな」


 リリィはそれを聞いて――少しだけ笑った。


「……そうね」


 そのとき。視界にログが入った。


```

「ねえ。一つだけ、聞いていい?」

```


「珍しいな。お前が聞くのか」


```

「うん。ずっと聞きたかったんだけど――ネオは、私が何者か、気にならない?」

```


 ネオは少しだけ間を置いた。


「気になる」


```

「じゃあなんで聞かないの」

```


「聞かなくても――会いに行けるからな」


```

「……どういう意味」

```


「《ジャンプ》で飛べる。存在が分かれば、どこにでも。だから――逃げられないぞ」


 しばらく、ログは返ってこなかった。


 やがて、一行だけ。


```

「……逃げないよ」

```


 その声は、少しだけ――揺れていた。


 灰色の空は、まだ続いている。朝は、来ていない。


 でも――どこかで。光が、少しだけ滲み始めているような気がした。


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