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第一章 エピローグ
サーバールーム。
「大規模イベント、収束」
「だがログアウト不能は継続」
「原因は依然不明」
誰も何も言えない。キーボードを叩く音も、止まっていた。
画面には、黒猫――ネオの姿。草の上に横になっている。静かに、呼吸している。
「この個体……」
「何者だ」
誰も答えない。ただ一つ。ログだけが残る。
```
「もう少し」
```
*
壊れた世界で、黒猫は眠っている。
取り返した鍵は、まだほんの一欠片に過ぎない。マスター魔法は世界に散らばったまま、世界のルールは書き換えられたまま、ログアウト不能の夜が続く。
だが――巨大な黒猫の口元は、わずかに笑っていた。
「全部、取り戻すよ」
「寝込んでなんていられない」
その言葉は、誰にも聞こえなかった。
それでも。
壊れた世界のどこかで――誰かが、確かにそれを聞いていた。
*―― 第一章・完 ――*




