血の惨劇
夜、一つの教室で皆寝袋で雑魚寝している。机、椅子は全て後ろに寄せている。
理子と総純は並んで寝ている。
理子は寝袋から出て、歩いて行く。
(私はトイレに行こうとしたのですが、行く途中、信じられないものを目にします)
廊下を歩いている理子。理子の前を何かが横切る。
何か小動物で、足にヒモを付けている。
「!」
(あのヒモはまさか・・・とも思ったんですが、眠かったこともあり、自分の寝床に戻りました)
理子はトイレから戻ると、自分が寝ていた隣の寝袋が、空になっているのに気付く。
「総純君・・・トイレ? でもトイレなら、私とどっかで会うはずだけど・・・」
(多分すぐ戻って来るんだろうと、私はまた寝袋に入って寝ました)
夜空の満月は・・・あの時と同じ、いや、あの時以上の血のオーラを纏った、不気味な満月。
(恐怖は・・・突然やって来ました)
皆ぐっすり寝ている。
その教室に、不気味なオーラを纏った、巨大な何かが、迫っている。それははっきりしなかったが、迫ってくるにつれ、徐々に大きくなってくる。
鋭い、不気味なオーラを放つ、二つの"赤"が教室の中を見ている。
(何かメキッメキッと、木の板が壊れるような音がして、ガシャンというガラスの割れる音がした気がしました。でもその時は、何かまだ夢の中のことのように思われました)
血に染まった、ボロボロの寝袋が、理子が寝ていた側にボトッと落ちる。その音で、う〜んと目を覚ます理子。
(何が起きたのか、理解できませんでした。私の近くに落ちた寝袋の中には、人が入っていたようでした・・・)
「福田さん!」
担任の先生の悲壮な声が、理子の正気を呼び戻す。
「キャー」という悲鳴が飛び交う。
あまりにも巨大な恐怖が、情け容赦なく降りかかっている。
「とにかく逃げて!」
「先生! 何があったんですか?」
「化け物が! 化け物が・・・」
理子の視線の先、満月から発せられる、不気味な赤いオーラの光をバックに、黒く赤い、巨大な犬の化け物のような影が見える。
「!」
「戌井君は?」
「はっ。そういえば、戌井君、さっきいなかった」
「とにかく逃げましょう」
先生は理子の手を取って逃げる。
巨大な犬の化け物は、恐ろしい形相。目は鋭く、血のように赤く光っている。口には鋭い牙。人の入った寝袋をくわえている。やがて噛み砕き、凄い量の血しぶきが辺りに飛ぶ。犬の前足の足先から頭上までの高さは約3メートル。その巨大さだけでも、かなりの恐怖の威圧感。
「ガルルッ!」
逃げまどう生徒たちをくわえては噛み砕き、首を振って投げ飛ばす。
理子は恐怖におののきながらも、総純を捜す。
「総純君! 総純君どこ!?」
「あきらめましょう」
先生は何とか諭す。
「嫌です! 総純君までいなくなったら、私はどうしたら・・・」
へたり込み、泣きじゃくる理子。
そんな理子に、巨大な犬の化け物の牙が迫る。
「福田さん!」
先生の悲鳴ともつかない叫び。
その瞬間、巨大な犬の化け物の頭上に、雷の刀剣一閃。
巨大な犬の化け物の頭からは一筋の血が流れる。
「お待たせ! 理子。霊能力を最大限に貯めるのに、十分な睡眠が必要だったんだ。遅れてごめん」
歩美登場。
「歩美ちゃん・・・」
「はあ〜! 死ね! こんちくしょう!」
歩美は空高くジャンプ。
刀剣のような形をした雷が、歩美の右手のひらから出てきて、歩美の手の動きに合わせ、巨大な犬の化け物をどんどん斬り刻む。
巨大な犬の化け物の傷から、血しぶきが飛ぶ。
「!」
理子、巨大な犬の化け物の足首に、ヒモが巻かれているのに気付く。
「歩美ちゃん、止めて!」
「えっ? 何だって?」
歩美が理子の方を向いた瞬間、巨大な犬の化け物は、歩美をくわえて、噛み砕く。
「うわあああぁぁ」
歩美の激しい悲鳴。
歩美の体のあちこちから、大量の血しぶき。
歩美は投げ飛ばされる。
「歩美ちゃん!」
まだ辛うじて命は繋ぎ止めている歩美。
「はぁはぁ」と、荒い息づかいの歩美。
「ごめんなさい! 歩美ちゃん!」
「バカか・・・あんた・・・」
「だってあの犬・・・私のワンちゃんだったから・・・私が不安の塊だった時、初めてできたお友達・・・」
涙ぐむ理子。
「分かってるよ。あんたのワンちゃんでもあり、総純でもあるんだから・・・」
「えっ?」
(私は頭が真っ白になり、目の前が真っ暗になりました。私の体がぐるぐる回って、八つ裂きにされて・・・めちゃくちゃになった気持ちでした・・・)




