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謎の解明

夜、村役場の村長室。

村長、八百屋の夫婦、瀕死の歩美、先生、そして理子がいる。


━━全て分かりました。水力村という名前が全てを表していました。この村の湧き水、これが全ての原因でした。

この湧き水はまさしく魔法の水。不老不死や若返りとは真逆で、成長を促進させるのです。

だからこの村の木は、成長が早く、どんどん木材を供給できるので、林業が潤ったのです。


人間が飲んだらどうなるか?

もちろんここの村民は皆飲んでいます。人間も成長が促進されます。なので、ここの村民はお年寄りが少なく、若者が多いのです。


約1000年前のある日、迷い込んで来た犬がたまたま湧き水を飲みました。近くにいた木こりが、我々の神聖な水を!と、怒ってしまい、持っていた斧で、犬の首を切り落としてしまったんです。

その時、不思議なことが起きました。何と、その犬は巨大な犬の化け物になってしまったのです。

原理としては、湧き水を飲んだ直後に死ぬと、魂が水を飲むという形になり、その水を飲んだ魂が化け物になってしまうらしいのです。


まさに死ぬ瞬間に湧き水を飲むときのみ、そうなるので、めったにあることではありませんが、それでも1000年の歴史のうち、何回かはそのような不幸なことがあったようです。


約1000年前にあった時、村は壊滅寸前に追い込まれました。やはり当時の人も、飲んだ直後に死ぬと化け物になるのでは?と仮説を立てました。そして人間でやってみればどうなるか?という、恐ろしい実験が行われたのです。


その恐ろしい実験は、男性と女性、一人ずつ行われました。実験台となった男性を祖先に持つのが総純君一家、女性を祖先に持つのが、歩美ちゃん一家だったのです。


女性の場合、姿形は人間のままなのですが、霊能力を持つことがわかったのです。約1000年前は、その女性が化け物を退治したそうです。


一方、男性では、異なる結果が出ました。男性だと化け物になってしまうのです。人間が化け物に進化したような姿形だったそうです。

実は八百屋ご夫婦は、総純君のご両親でした。


ただ男性の場合、すぐに化け物になるわけではありません。獣性ともいうべき性質を内に持っていて、小学生くらいの年齢までは出てこないのですが、中学生くらいの年齢になると、徐々に出始めるようです。


獣性が出始めるようになっても、それだけでは完璧ではなく満月の夜にのみ、獣性が出て来て、化け物になってしまうのです。


この化け物は魔力があり、通常の武器や攻撃などは全く通じないそうです。同じ種類の魔力を持った者、すなわち水力村の湧き水実験の女性犠牲者一族の、女性霊能力者でしか倒せないそうです。


なのでその化け物が出た時は、化け物が村の外に出ないように、隠密裏に、霊能力を持った一族が退治する・・・。この村ではその歴史が繰り返されてきたのです。


総純君の場合は、子犬と合体して、より巨大な化け物になったという、特殊な例ではないか?とのことです。

おそらく1000年に一度、出るか出ないかというくらいの、強大な力を持った化け物だそうです。


だから総純君のご両親は、総純君が外出するのを禁止し、満月の夜に化け物になるのを防ごうとしたのです。

総純君の場合は、獣性がより大きかったのか、平常時の場合でも、暴力性という形で出てきたのではないか?とのことです。


ですから、この獣性は、満月の夜に外出しないようにするなど、運良く表れずに済む場合もあります。


村の勝手な都合により、不幸な遺伝をする一族・・・。

上手く管理すれば獣性が発現しない場合もあるので、しっかり管理することを条件に、この村内でのみ、存続を許されているんだそうです・・・(許されているというのも、何かおかしい気もしますが)。

総純君の家に野菜を運んでいる男性は何人かいて、実はこの人たちは村長の命令で、総純君が満月の夜に外に出ないように、交代で見張っていたそうです。

総純君が満月の夜に外に出た時は、監視の目を掻い潜って出てしまったみたいです・・・。


ちなみにその獣性は男性だけにしか遺伝せず、総純君のお母さんには獣性はないみたいです。


同じように霊能力の方は、女性にのみ遺伝します。


私の父が死んだ夜は満月でした・・・

あの夜、私が家に帰る時、私は誰かに後をつけられている気がしましたが、おそらくそれは総純君だったんだろうとのことでした。

総純君にはその自覚はなく、私に染み付いた子犬の匂いを敏感に感じとって、獣性を感じて無意識のうちに私の後を付け、そしてその時初めて子犬と合体したんだろうと・・・。


謎は解けましたが、私のバカさかげんのせいで、歩美ちゃんを瀕死の状態に追い込んでしまいました━━


村長は断言する。

「この村は、この不幸を、この村内だけに閉じ込め、日本、いや世界中に蔓延するのを防ごうとする、決意を持った者たちの集まりなのだ」





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