お久しぶりな再開
クロスとアルフレッドがクエスト達成の報告をする為、冒険者支援センターの受付に並んでいると、クロスとアルフレッドから同時に溜め息が漏れる。
「「はぁ。」」
「何だよ、まだ称号の事で落ち込んでるのか?」
「そう言うお前だって」
「当たり前だ。あんな物騒な称号、欲しく無かったわ。」
「クロス、お前の方はまだマシだろ?良い補助効果が付いてるんだから。俺の方なんか、どうでもいい様な効果しか付いてないんだから。」
そう、先程のビックスパイダー狩りで二人は称号を得ていたのだった。
クロスはビックスパイダーにトドメを刺すときに頭部を斬り落としていたので【首狩り】という称号、アルフレッドは木の上から襲うやり方をしていたので【木登り名人】の称号を得たのだった。
【称号 首狩り】
効果 特定の部位(首)に攻撃がヒットすると低確率で即死攻撃になる。
【称号 木登り名人】
効果 木に登る速度が上昇する。
クロスは何かを思い出してアルフレッドに質問する。
「そう言えば、称号の事で聞きたい事があるんだけど。」
「ん?何だ?」
「称号で-ーー」
クロスがそこまで言った時、自分達の順番がやって来たので前に進むが、横を向いていたアルフレッドが前にいた人に気付かず歩き出したので、偶然にもその人の足を引っ掛けてしまう。
ガッ!
バタン!
「イテッ!」
「あっ、スミマセ・・・ん?」
「おい!何するん・・・だ?」
アルフレッドと倒れたエルフの男が、お互いの顔を見て動きが止まる。
「えっ!?兄さん?」
「蒼志郎なのか?」
倒れたエルフの男をアルフレッドが手を引いて立たせる。
「色々話したいんだが、後ろが並んでるからちょっと待っててくれるか?」
「分かりました。じゃあ、アッチのテーブルに座って待ってますね。」
そう言って、飲食が出来るフードコートの様な場所へ移動する。
その姿を見送り、クロスとアルフレッドはクエスト達成の報告をする。
現在、受注しているクエストの通し番号のカードを受付に提出すると、その番号を確認した受付は目の前にパネルを差し出す。
「こちらのクエストで間違いありませんか?」
「はい。」
代表してアルフレッドがそう答えると、採取クエストの素材を提出するためのボックスを渡される。
「こちらに素材を入れて下さい。」
言われた通りに採取した素材をボックスに入れて提出すると、受付嬢の後ろにいた職員が内容と数を確認して頷く。
それから受付嬢に冒険者の腕輪を出すように言われて、腕輪の着いている右腕を出すと、バーコードリーダーの様なモノを腕輪に当て討伐情報を読み取る。
「!?」
「どうかしましたか?」
「いえ、失礼しました。討伐の数が・・・」
「あぁ、間違いじゃないですよ。その、いろいろありまして。」
「いろいろですか。」
アルフレッドの顔色が変わったのを見て何かを察したのだろうか、それ以上は詮索してこなかった。
「こほん、それでは素材の採取が2件と討伐依頼が1件で3500Eと追加の討伐分が一匹300Eで31500E、合計で35000Eとなります。」
差し出されたお金を受け取り半分ずつ分けアイテムボックスに仕舞う。
「余った素材は、あちらの売買カウンターで買取りをしてますので、良かったらご利用下さい。」
案内を受けて売買カウンターの方へ進む。
「余った素材は売っちまうか。」
「いや、俺はコレで防具を作ってから余った分を売るから後ででいい。」
「そうか、じゃあ先に蒼志郎の所に行って待っててくれ。」
「了解。」
クロスは売買カウンターに行くアルフレッドと別れて、アルフレッドの弟である蒼志郎が待つテーブルに向かう。
「あっ、さっき兄さんと一緒にいた人ですね。あれ?兄さんは?」
「今、売買カウンターの方にいる。すぐに来ると思う。」
そう言うとクロスは空いた椅子に座る。
「自己紹介してませんでしたね。僕はブルースと言います。兄がお世話になってます。」
そう言ってお辞儀をする。
「いやぁ、そんなことは・・・あるかな?っと、俺はクロスだ。よろしく。それにしても、久しぶりだね蒼志郎君。いや、ブルース。」
「えっ!?」
「久しぶりと言っても5年ぶりだから覚えてるかな?」
ブルースはクロスの顔をジッと見て悩んでいる。
暫くして気付いたブルースが、勢い良く立ち上がって叫んだ。
「あーっ!も、もしかして修司先輩ですか?」
「正解。」
クロス、つまり修司がブルースこと蒼志郎と知り合いなのは、祖母が亡くなった後、叔父の家にお世話になっていた高校時代に政臣と知り合い、友達になって彼の家に何度か遊びに行った時に意気投合、その後に二人のいる高校に蒼志郎が入学してきた事もあってよく三人でつるんでいたのだ。
「修司先輩。いや、クロスさん?クロス先輩、卒業してから海外に行ってたそうですけど、何してたんですか?」
ブルースが聞きたそうに詰め寄ってくる。
「おう、その話は俺も聞きたいな。」
ちょうどのタイミングでアルフレッドがやって来る。
「兄さん!」
「待たせたな。その様子だと自己紹介は終わったみたいだな。」
「はい。僕のことはブルースって呼んでください。」
「ブルースか。俺はアルフレッドだから、クロスみたいにアルって呼んでも良いぞ。」
「分かりました。アル兄さん。それで、クロス先輩は海外で何してたのか教えて下さいよぉ。」
ブルースはクロスに向き直ると、追及してくる。
その様子を見たクロスは、面倒くさそうに答える。
「分かったから、一旦、座れ。はぁ、そんなに聞きたいのか?」
「「もち!」」
見事にハモったところで席につく。
「高校卒業した後、叔父の写真スタジオに就職したのは知ってるだろ?」
「はい。確か今、話題の新進気鋭の写真家で写真界の巨匠と呼ばれている方の三人の弟子の内の一人でしたよね?」
「ああ、知ってたのか。それで、その叔父曰く、『いろんな経験をしないと良い写真は撮れない!』という事で、叔父の兄弟弟子で戦場カメラマンをしている平師匠の所に修行に出されたんだけど、『どんな写真を撮っても生き残れなければ意味がない。』って言われて、外人部隊に放りこまれて3年間、訓練と実戦を経験していよいよって時にもう一人の兄弟弟子で登山写真家の海野師匠の所に呼ばれて2年間、世界中の山を登りながらアシスタントとして働いて、今年の二月に帰ってきて今は叔父のスタジオで働いてる。」
「アハハハハハハ!」
「・・・・・」
クロスが語り終えるとブルースは爆笑し、アルフレッドは引き吊った顔でクロスを見ていた。
「クロス先輩、作り話が下手ですね~!」
「バレた?」
「で、本当のところはどうなんです?」
(全部本当の事なんだけどな。ま、いいか。)
「ん?海外を放浪しながら写真撮ってた。」
先程の話を作り話と思っているブルースに、当たり障りのない答えでお茶を濁す。
「いや~、なんか羨ましいですね。」
「そうか?結構、大変だぞ。それよりどうした、アル?顔が引き吊ってるぞ?」
「いや、なんでもない。」
アルフレッドはどうやらクロスが本当の事を言ってるのに気が付いた様である。
「そういえば、さっき称号で聞きたい事があったんじゃないのか?」
「おお、そうだった。弟子の称号を貰ったんだが、何か知ってるか?」
「弟子か、珍しいな。」
「珍しい?」
「ああ、こんな序盤で貰うのは聞いた事無いな。そもそも、弟子の称号は弟子入りすれば全員が貰えるんだが、スキルがある程度育ってからでないと弟子入りが出来ないんだ。」
「じゃあ、俺の場合は?」
「う~ん、例外として何か条件を満たしたか、よっぽどそのNPCに気に入られたかだな。」
「よく分からないですけど、スゴいですねクロス先輩!」
「いや、スゴいのかコレ?」
「とにかく、あまり気にしなくていいと思うぞ。ただ、今の時点で弟子の称号を貰った事は公表しない方がいいかな。」
「なるほどな。妬まれるからか。」
「そういう事だ。ブルースも人に言うなよ?」
「アル兄さん、そのくらい分かってますって。」
クロスが窓の外をみると日が暮れていた。
「おっ、もうこんな時間か。一旦、落ちてから飯食ってくる。」
そういってクロスが席を立つとアルフレッドとブルースも一緒に席を立つ。
「じゃ、僕も夕飯食べるんで落ちますね。で、アル兄さんとクロス先輩はこの後どうするんですか?」
「ん~、今日はこれで終わりにしようと思う。」
「俺は23時位までしてると思う。」
それを聞いたブルースは、少し悲しそうに言った。
「そう・・・ですか。5年ぶりに会えたんですから、3人で狩りに行きたかったんですけど、仕方ないですね。」
それを聞いたアルフレッドが、ニヤニヤしながらクロスに言う。
「あーあ、少しは空気読んでやれよ。」
「はぁ?俺が悪いのかよ?」
クロスは少し考えてから答える。
「じゃあ、22時頃で良いなら。」
「本当ですか!?それじゃあ22時に中央広場に集合で良いですか!」
「了解だ。」
「オッケー。」
それからフレンド登録をすると、クロスは買い物をしてからログアウトするという事で二人と別れ、買い物を済ませるとマチルダ嫗の家でログアウトしたのだった。
名前 クロス 性別 男 職業 侍 Lv8
種族 鬼人族 格 酒呑童子
冒険者ランク F
スキル 刀術Lv4 格闘技Lv8 投擲Lv4 気配察知Lv10 気配遮断Lv4 魔力操作Lv1 索敵Lv10 威圧Lv8 暗視Lv1 裁縫Lv6 料理Lv1




