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霧の夜に灯る明かり

アルフレッドは興味深げに景色を眺めている。

隣にはハンドルを握るゼノが鼻歌まじりで楽しそうに

運転をしている。

挿絵(By みてみん)


アルフレッドとゼノは大きな事件が解決して

久しぶりにまとまった休みを取ることになった。

ゼノが雑誌を広げてアルフレッドの前に突き出す。

ゼノ

 「アルフレッド、休みはここに行こう!」

アルフレッド

 「嫌だよ。

  僕は休み中は読めなかった本を読む

  ことにしているんだ。

  他の人と行くといい。」

ゼノがしかめっ面なる。

 「お前、休み中ずっと部屋に籠るつもりだろ。

  今年はお前が初めてアステリアに来てからの夏だ。

  お前に見せたいものがあるんだよ。」

アルフレッド

 「見せたいもの?

  何を見せたいんだ。」

ゼノ

 「お。興味を持ったか?

  それは見てからのお楽しみだ。

  きっとお前も失望させないさ。」

アルフレッドは少し考え

 「・・・。

  運転は君がするなら行ってもいいぞ。」

ゼノが嬉しそうに

 「本当か?じゃあ早速宿を取らなきゃな」

アルフレッドは苦笑いする。

昨年の秋にアステリアに来てから

ゼノと相棒になってから初めての夏は

故郷と違い、湿度の低く過ごしやすい。

アルフレッドは気に入っていた。


アルフレッド

 「で。どこに案内してくれるんだ?」

ゼノ

 「海辺の街、アーリルだよ。

  アステリアの東部地方にある

  観光都市だよ。」

ゼノが雑誌をアルフレッドに渡す。

人魚伝説の残る街『アーリル』

あなたも人魚に会いに来ませんかと書かれている。


アルフレッド

 「人魚か・・・」


ーー海辺の街アーリル

ホテルにチェックインを済ませた二人は

早速、街を散策することにした。

海辺の観光地として有名なこともあり

観光者向けの店が立ち並ぶ。

ゼノ

 「ベアトリスさんへのお土産は何がいいかな」

アルフレッド

 「この街は人魚の伝説でも有名みたいだな

  その関連のグッズを売る店も多い。

  あのストーンショップはどうだ。」

ゼノ

 「よさそうだな。入ってみよう」

店内には様々なストーンが並んでいる。

ネックレスやブレスレットに加工されたものも

多く展示されている。

ゼノとアルフレッドは店の中を見て回る。

アルフレッドがネックレスを手に取る

蒼く透き通った宝石に蔦のよう絡まったシルバーの

ネックレスだった。

売り場のポップには

「人魚が身に着けたとされる海の妖精のネックレス!」

ゼノ

 「アルフレッド。

  それが気になるのか?」

アルフレッド

 「ああ。とても綺麗だ。」

ゼノ

 「いいんじゃないか。

  ベアトリスさんも喜ぶよ。」


その後もいろいろ店を見て回り夕方になる。

ゼノ

 「腹が減ったな。何か食べよう。」

アルフレッド

 「あの店はどうだ。

  地元食材の店らしいぞ。」

ゼノが店の前のメニューの看板を見る。

 「海鮮料理が多いみたいだな。

  ここにしよう。」

ガヤガヤ

店内は観光客だけでなく地元の住人も

多く利用していてにぎわっている。

アルフレッド達は

店員が薦めてきた料理とビールを頼む。

男の客

 「聞いたかまた例の灯台に明かりがつくのを見たって話し」

女の客

 「私も聞いたわ。

  霧が出る日に廃灯台に

  明かりがついているらしいわよ。」

男の客

 「不信に思ったやつが廃灯台に行って

  昇って行ったら誰もいなかったって話じゃないか。

  階段は一つしか無いのにな。」

女の客

 「幽霊の仕業じゃないかって言われてるわ。」

ガヤガヤ

ゼノ

 「幽霊ねえ。」

アルフレッド

 「見間違いだろ。」

店員

 「お待たせしました。

  当店自慢の海鮮料理です。」

地元で捕れた魚のムニエル、貝の酒け蒸し焼き

魚介とトマトなどの野菜をワインの煮つけ。

ビールがジョッキで置かれる。

挿絵(By みてみん)


ゼノ

 「おいしそうだな!」

アルフレッドはビールを飲む。

 「ビールも美味しい。

  料理に合うな。」

アルフレッド達は料理とお酒を楽しむ。

ゼノ

 「はあ。美味しかった。」

アルフレッド

 「そうだな。特に貝の酒け蒸し焼きが美味しかった。」

ゼノ

 「あの蒸し焼きに使ってるワインは

  ボトルで販売もしてるらしいから

  買っていって作ってやるよ。」

アルフレッド

 「本当か。楽しみにしている。」

ゼノが背伸びをする。

ゼノ

 「さて食後の散歩に浜辺でも歩かないか。」

アルフレッドがうなずく。


ーー浜辺

アルフレッド達はゆっくりと浜辺を歩く。

ゼノ

 「・・・。残念。

  今日は霧で見えないな」

アルフレッド

 「霧がどうかしたのか」

ゼノ

 「ああ。それは・・・」

ゼノが途中で話を辞めて

何かを見つけたらしい。

アルフレッド

 「どうした?」

ゼノ

 「灯台に明かりがついてる・・・」

アルフレッドも灯台の方を見る。

 「・・・。確かに明かりが見えるな。

  もし誰かが無断侵入しているなら危険だ。

  灯台に行ってみよう。」

アルフレッドが走り出す。

ゼノ

 「待てよ。アルフレッド。」

ーー灯台の下

アルフレッド

 「まだ、明かりはついてるな。」

アルフレッド達は灯台の扉を開けると

階段を昇っていく。

辺りは静まり返り、

僅かに波の音と古い木製階段の軋む音だけが響く。

最上部のライト(光源)がある部屋に入る。

ゼノ

 「ライトが消えてる。

  階段は俺たちが昇ってきたやつだけだ。

  誰が消したんだ。」

アルフレッドはライトを調べる。

どうやらライトは魔法石に

光魔法をかけて光源としているらしい。

アルフレッドが魔法石に触れると、まだ熱が残っていた。

アルフレッド

 「まだあたたかい。」

ゼノ

 「本当に幽霊の仕業か?」

アルフレッド

 「・・・。

  明日、明るくなったら

  詳しく調べよう。」

ゼノ

 「そうだな」

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