三対一
赤と青、二体を足止めしていたことはある。その時よりは、動けるようになったはずなんだけど、俺は何度も地面を転がっていた。
三体目の青色のオーガ、こいつが二体の隙を消すように攻撃してくるから、反撃する猶予がない。それに、オーガ達の連携も、ぎこちないながらに出來ている気がする。
イッカクが鬼火である朱を、こちらへ浮遊させて周囲を確認出來ているから、ギリギリなんとかなってるけど。それでも防戦一方だ。ライムと融合してるからなんとかなってるだけで、普通の人なら多分死んでる。それに、イッカクの方は何も見えない。それでも、鬼火が絶えていないから、やられてはいないと思う。
とはいえこれ……詰んでない?
俺は迫りくるオーガへ意識を向けつつ、アニエスに連絡を試みた。オーガ達の攻撃が止むことは無い。
(アニエス、アニエス!!)
(……お、主様か。そんなに慌ててどうしたんだい?)
(手詰まりだ! 助けがいる!)
(……イッカクはどうした? まさか、やられたのかい?)
(いや、鬼火がっ! あるから、それは大丈夫だと思うけどっ!)
青の攻撃をなんとか受けながら、返事を待つ。なんなら今すぐにでも召喚したい位だ。だけどその場合、今の戦況を詳しく伝えとかないとな。
そう思った俺に、アニエスから予想外の返事が。
(なら大丈夫だ、私が行くまでもない。主様が全てを出し切って、それでも駄目だった時はイッカクが助けに入るはずだ。そもそも、その領域でイッカクが負けることは有り得ないしね)
(え!?)
(それとも主様は……今の弱いままで、いいのかい?)
アニエスは、どうしてもと言うなら行こうかい? と意地悪に、少し楽しそうな口調で告げてきた。
(……また後で連絡する)
(ふふ、朗報を待っているよ)
連絡終了、成果はありませんでした。畜生、後で覚えとけよ。
一足飛びで後方へ下がり、オーガとの距離を取った俺。剣に触れ、魔力が流れていくイメージをする。剣の根本から、光の筋が伸びていくのを確認し、こちらへ駆けてきたオーガの攻撃をーーーーそのまま喰らう。と同時に、武器を持っている腕を斬りつけた。
「ガッ!」
相打ち。俺は地面を転がって、慣れたもので再び起き上がったが、青は腕を切断されたことにより、痛みのせいで動きが鈍くなった。相打ちでも明確なダメージを与えることが出来た。ほんと、切れ味半端ないなこれ。
流石に味方の攻撃中に、相打ち覚悟で攻撃を挟んだりはしてこなかった。されたらどうしようかと思ってたし。
相打ち上等の攻撃。ライムが居てこそ成り立っている、不格好な戦い方。
ーー今はこれでいい。やれることは全部やってやる! 俺は魔力が絶えない様、剣に触れながら吠えた。
「さぁ、かかって来いよ! 次はどいつだ!?」




