話し合い.3
「カイルさん、アニエスさんとはどんな話を?」
「そうだなぁ、主に戦闘についての話だね。仲間になってくれたから、皆の実力を知りたい感じだと思うよ」
「そ、そうなんですね」
良かった、それなら多少の自信はある。
アプサラスが憑依してくれて精霊化している間は、なんだか身体も軽いし、気持ち力も強くなってる気がする。私はこれでも、カイルさんと色々頑張って来たんだ。仲間になったばかりのアニエスさんに、実力不足と馬鹿にされるのだけは、嫌。少なくとも、そんな事は言われないはず。
その後、帰ってきたリリはアニエスさんへ悪態を吐いていた。ババアって。確かに出会った時はおばあちゃんだったけど、今はあんな綺麗な女性に……カイルさんも、なんだかアニエスさんの方ばかり向いて……もうっ! そんな事を考えていると、怒っているリリがこちらへやってきた。
「ほんとムカつくわぁ。アンタまだ、ババアと話してないわよね?」
「うん、今話してるんだと思うイッカク? さんの次になるのかな」
「あのババア、殺しても死なないタイプよ。向こう行った瞬間、それで脳天ぶち抜いちゃいなさい!」
セロシキを指差し、私が許す! というリリ。えぇ……流石に、そこまでは考えてもいなかった。リリはどんな話をしたんだろう? 尋ねようとした時、地面が光りアニエスさんが現れる。
アニエスさんは、私と眼が合っても表情を変えること無く話を進めていく。
「最後はお嬢だね、行くよ」
「は、はい」
「アニエス様、私も護り手として同行を許可して頂けないでしょうか?」
水鳥の姿となっているアプサラスが尋ねた。
「構わないよ、一緒においで」
こうして、私達は転移陣? の中へ。瞬間景色が一変し、周囲は全て森に包まれていた。……あれ? アニエスさんの家、半分位壊れてない? まさか……リリの仕業なの?
何があったんだろう、怖くてとても聞けなかった。
「とりあえず好きな所にお掛け」
アニエスさんに促され、私は対面の椅子へ腰掛けた。カイルさんから、アニエスは皆の実力を知りたいらしいと聞いているし、射撃の腕を確かめられるのかな……外す訳にはいかない、頑張ろう。腰のセロシキをそっと撫でる。
さて、とアニエスさんが話を始めた。
「そうだね……お嬢が何故、精霊化を果たせているか聞いてみようか。適性はありそうだが、それだけで出来る程精霊化というものは容易くはない」
「え、えっと」
急な質問で、思わず言葉に詰まってしまう。ゆっくりと、ジュエレールであったことを話していく。
「なるほど、どうりで……水の巫女候補、か。合点がいったよ」
アニエスさんは、私の話に納得してくれたようだ。……カイルさんの言う通りなのかもしれない。この人は、普通の人よりかけ離れた強さをしているけど、ちゃんと話し合いをしてくれる。東の森でイッカクさんを仕向けたのも、カイルさんに会いたい一心でとのことだったし。その辺りはちょっと複雑だけど……。
「そしたら、いつこのパーティーを離れても大丈夫だね」
「……え?」
これから良好な関係を作れたらいいな、私がそんな事を考えていると、アニエスさんからの不意な一言で頭が真っ白になってしまった。え……? どういうこと? アニエスさんは、苦笑しながら話を進めていく。
「お嬢とは元々話す事が無かったんだ。一応、線引きだけしておこうと思ってね。主様の手前、何も無い所へ放り出しても良くないなと。水の巫女としての道があるなら、憂いはないね」
アニエスさんの言うことが、頭に全く入ってこない。
「ど、どういう事です、か? せ、線引きって?」
私の質問に、アニエスさんが真剣な表情をしてこう、告げた。
「主様と冒険者ごっこをするのは構わない。だが、いざという時、私のやることが増えるのは困るんだ。その時だけ大人しくしてくれればいい。なんなら、ジュエレールに行けば歓迎してもらえるんだろう?」
「……え、えっ、と?」
「ハッキリ言わないと分からないのかい? その時になったらーーーー足手纏いは付いてくるな、そう言っているんだ」




