調査の翌日
迷いの森、その調査に入った翌日。一泊した俺は、昨夜の怒涛の展開とは打って変わって、微かに聞こえる鳥のさえずりと木々の間から差す陽の光で眼が覚めた。お腹にはライムが乗っている。どうやらお気に入りのようだ……他の所より柔らかいのかな? 鍛えてるつもりなんだけど。俺は半身を起こし背伸びをする、新鮮な空気が身体に入って気持ちがいい。
「おはよー!」
「うん、おはよう。今日も元気だな、ライム」
「げんきー!」
「さ、とりあえず中央まで行こうか」
部屋を出て中央広場まで行くと、住民の殆どが集まっていた。先に中央へ来ていたアメルが、声を掛けてくれた。
「カイルさん、おはようございます」
「おはようアメル。よく眠れた?」
「はい。気持ち良くって、つい」
俺も、と言ってお互いに笑い合う。そんな俺達を見つけたイッカクが、ゆっくりと近付いてきた。アニエスに従っているとはいえ、希少種のオーガ。流石におっかないんだけど。
「遅カッタナ。飯ハ出来テイルゾ」
「ごめん、ぐっすりだった。アニエスは?」
「昨日見セタ通リダ、一度眠ルト中々起キナイ。今マデ禄ニ眠ッテイナカッタカラ、尚更ダ。下手ニ起コスト、コノ地ガ危険ニナル」
だから部屋に置いてきた、とイッカクは言っていた。ウィッチの一件があった昨夜、イッカクに担がれていたアニエス。今日もあんな感じだったんだろうな。
俺達はイッカクと共に、ペトリアークの所へ挨拶に行く。昨日歓迎された時と同じ位、豪華に見える食事が並べられていたが誰も手を付けていない様だった。
「おぉ、カイルさん。お待ちしておりました」
「ペトリアークさん、おはようございます。朝なのに、なんだか豪勢な食事ですね」
「いやいや、カイルさんのおかげでアニエスも動ける様になりましたし、ウィッチ達も無事に撃退することが出来ました。ここでは、食事位しか出せませんので。これは、ささやかながらお礼となります。カイルさんが来られたら始めようかと」
そうだったのか、待たせちゃったみたいだ。俺は広場にいる住民へ向けて会釈をした。すいません、これでも早起きだったんです……。
「さ、皆の者。今回の立役者が来て下さった。森の恵みに感謝をし、食事を頂こう」
ペトリアークさんの号令で、朝食が始まった。皆美味しそうに食べている、中にはかきこんでいる人も。マジでお待たせしました……。
気を取り直して。俺も眼の前にある食事を頂くため、腰を下ろした。木の実だったり、野草だったりと、森の恵みというだけあって、どれも採れたての様だった。
でもなんでだろう? 俺とアメルの前だけ、何故か森で獲ったであろう肉が焼かれて置いてある。なんだか、た、食べにくいな……。そう思っていた時にペトリアークさんから声が。
「これは、今朝若い衆が獲ってきたものです。是非、カイルさん達にと」
「俺達だけみたいですけど、良いんですか?」
「元より、我らエルフは余り肉を食しません。若い衆も感謝をしているのだと思います。ささ、遠慮なく」
遠くで、俺達を見ているエルフ達が。あの人達が獲ってきてくれたのかな? それこそこんがり焼けていて、美味そうな肉だ。遠慮なくかぶりついた。獣特有の臭みも無く、ほんのり爽やかな草の香りがする。
「……美味い!」
「おいしいです……!」
俺達は、思わず声を上げてしまった。向こうではハイタッチをするエルフ達。ライムにも肉を味わってもらいながら、和気あいあいとした時間を過ごしていった。




