⑫悪魔
コンビニエンスストアの仕事は仕事が多すぎてかなり大変だった。
ホットと呼ばれるチキンや肉まん、おでん。
公共料金の支払、粗大ごみ券や宅配の受け取り。ネット予約のイベント入場券の発行他上げたらきりがない。
だからアルバイトのなりてが少なく外国人も多くいる。
ただ塾は見せかけの時給は高いものの準備や採点が多く実際の時給はかなり少ない。
底辺の仕事などこんなもんだと言いきかせ手を動かしていた。
公務員か大企業に入れないと悲惨だ。
簿記一級とか取っておきたいがアレはかなり面倒なのでパスして学校の成績でなんとかしようと思っている。
珈琲メーカーを洗ってる時に退勤の時間がきた。
新彼女の玲奈が外で待っていた。
彼女の分まで稼がなきゃならないので実はかなり大変だ。
就職したらもっと大変と言い聞かせバイトをしている。
今年に入って四人目の彼女。
流石に自己嫌悪するが無垢な玲奈のことは嫌いじゃない。
綺麗でかわいいだけじゃなく最近は家事も頑張ってくれてる。
ただ彼女になってくれた経緯がわかるだけに複雑だ。
俺は静に連絡を取れないが玲奈は頻繁に静と連絡を取っているようだ。
その内容は聞いてもいいだろうから廃棄弁当食べながら静とどんなやり取りしてるのか聞いてみた。
するとおいしいお店とか芸能人とからしかった。
俺と付き合ったこと言ったのと聞いたら当然言ってると答えた。
静に応援されてるよとのことだった。
複雑な気持ちは当然込み上げてきたが茜が憎い静なら当然かとも思った。
うちに戻るとタンクトップ着てたので嫌な予感はしてたのだが玲奈が前かがみになった。
かわいいブラが丸見えだったが玲奈を制止した。
気持ちはありがたいけど性欲が最近すごくないんだごめんね。
玲奈はむくれていたが事実なんだから仕方がない。
そういえば同棲彼女って初めてなんだなとロフトで寝ながら気が付いた。
もうちょっと付き合ったら襲っちゃっていいのかなとか考えてしまったのでロフトの柵に頭を打ち付けた。
そもそも中学二年生じゃないか玲奈だって。
常識が逝っているので顔を洗いにキッチンに行った。
翌日は茜が遊びに来た。
いつもと様子が違うので何事かと思ったが久々の戦士茜だった。
なんとか本体の隙を見つけ出て来たのだという。なんというか済まない。
わたしが多大な迷惑を掛けたようだ。懐かしいやり取りに感動を覚えた。
玲奈が今にも噛みつきそうな顔をしていたがこの子は茜の別人格だと伝えると首を傾げた。
わたしの不甲斐なさのせいで皆を苦しめてしまった。
正直なんでこうなったかわからないんだ。
「気持ちについてはどうなの。君も本体も本当に俺のこと好きなんだろうか」
直球で聞くとこくりと頷いた。
それじゃ洗脳じゃないってことね。
だけどあの場に妙なAIか精神体が居たのはたしかだ。
君はともかく本体の方は信じられない。
その後本体が来たので当たり障りない会話に切り替えた。
「今もうひとりのわたしが来たでしょ。何はなしてたの」
と聞かれたので、君が暴走してることの謝罪と二人とも俺のことがすきだとかそういうお話だったと答えた。
「わたしって暴走してると思う」
茜が聞いたので頷いた、明らかにおかしい。
誰なのかわかんないけど君を操ってる存在がいる。
この間君がきた時近くに居たのでわかったと本当のことを伝えた。
茜は真剣に考えていた。
海デートして以降だよとヒントもあげた。
「もし精神を操れる存在が居たら本当に手の打ちようがない。
宗教とかもそうなんど強制的に言うこと聞かせられるならもうアウトな存在だ。
SFではよくあるけど2024年現在それは無理とわかってる」
茜は何か深刻に考えてからコロナのようなオーラを出した。
玲奈は最大警戒態勢を取ったが茜はすぐにそれを解除した。
もう大丈夫かな、その変なものは焼いたよと彼女は言った。
テンションが少し下がって普通の中学二年生に戻ったようだった。
戻った?というと頷いたので聞いてみた。
「俺と静を強制的に別れさせたこと覚えてると聞いたら」
真っ青な顔で記憶にないと言う。
すぐに取り消すねごめんなさい。
と謝られたが終わったことだからいいよ。
君の責任じゃなかったんだし。
それにもう玲奈と付き合ってるんだ。
元には戻らないんだすべてが。
なんだかよくわかんないが俺の世界は元に戻ったけど静とはもう戻らない。
この事実を受け入れないといけなかった。
お試しとは言ったけど静と戻れるようになったからさようならはない。
この子の気持ちも本物だと分かるから。
...モテ期なんて要らなかった。
誰か一人と末永く一緒に居られたら良かった。
静との想い出で押しつぶされそうなので基地に行ってコカインを決めた。
喧嘩売って来る酔っ払いが居たので右フックでKOした。
遅くなったが彼らは米兵だ。
看護長の静が手当てをしにこちらに来た。
静には会話解禁になったことは伝えなかった。
明日は玲奈とデートだからだ。
いろんな事情があったとはいえ彼女は玲奈だ。
彼女には俺が行きたいとこ優先させてもらった。
昼食を摂って適当に買い物とかしたら吉祥寺のライブハウスに行くことにした。
5バンドくらい出るがハードコア分野でかなりうるさい。
知り合いのバンドが3番目に出るからそれ目当てで。時間が来たので行くことにした。
入口が一階でライブハウスは地下だ。
地鳴りのような低音が轟いた。
デスメタル歌いだがまあまあ上手い。
知り合いはギターを弾いていたが上手さより曲の良さが魅力だ。
ドラムも前の人をクビにしただけあって手数が多い。
ベースが聞きづらいのはこの手の音楽のお約束だった。
5曲聞いて他のバンドに変わるので外に出た。
玲奈にどうだったと聞くと気に入ったようだった。
また来ようと言ったら嬉しそうだった。
その姿がすごくかわいかったのでキスをした。
家に戻ると二人とも風呂に入った。
パジャマ姿の玲奈はかわいい。
続けてシャワーを浴びたのだが入口が開いた。
もう玲奈見ただけで半勃起以上するまで調教されてたので下半身を慌てて隠した。
首をかしげながら玲奈は出て行った。
なんとか隠せたようだった。
あれはなんだと思うかい。たった一人で対峙する敵がいた。
「人型というより人間だと思いますよ」
茜と玲奈の強さを見てそう確信していた。
俺が一週間居た間に人間用カプセルがあったんですよ。
それだと思いますね。
彼らには特別な使命も隊長も居ない。
ただ単体で戦うだけなんです。
玲奈と同じです。
茜もそうだったと思います。
強いと思いますか隊長。
「一人で居るし警戒度最大だと思う。ただ人型の装甲はシールドだけなので弱い。そこを突きたい」
ちょっと主力二人にも聞いてきます。
茜は強いのが残っているとは考えずらいが新型の可能性があるのでわたしが行くと言った。
「寝てるだけで敵の情報知らなくてすいません。わたしより上なら茜さんがいいかも知れませんねと言った」
結局部隊に被害は与えたくないので俺、茜、玲奈で出ることにした。
すると敵がいきなり飛びこちらに来た。
虚を突かれた戦車隊に被害が出た。
俺たちを無視だと?アンドロイドかと考えていると更に戦車隊へ攻撃を加えようとしたので玲奈が丸いシールドで防いだ。
.277 FURY弾を俺はありったけ叩き込むがシールドに吸収された。
玲奈はそのままソードで交戦、茜はビームライフルで離れて攻撃だ。
第二弾の.277 FURY弾を浴びせながら指示を出した。
「玲奈、敵のが強いと思ったらすぐ下がれ。絶対だ」玲奈は頷いた。
二人がシールドを張りながらソード戦をしている間全力でライフルで援護。
押してる展開の中前に放つソードが胸元を捉えたかに見えた瞬間玲奈が切られ弾き飛ばされた。
茜はまだ行くな。
玲奈の治療が先だ。
その間も弾丸を畳み込むが弱る兆しがない。
治療を終えると茜は宙に舞った。
装甲車が来たので玲奈を乗せた。
静が乗っている。
対峙する二人。
茜は手をださない。
敵も手を出さないので.277 FURY弾叩き込み反応を見るが微動もしない。
「茜、行けるのか。無理なら帰ってこい」
そう言うと茜は問題ないと無線で言った。
後は任せるしかない。
10分は続いたであろう睨み合いの後茜は青い焔に包まれた。
両手で剣を握り敵に突っ込むとそのまま胴体から突き破り背中に出た。
爆発はせずそのまま敵が落ちてきた。
茜に治療をしてもらい俺が運んだ。
「これは人間なんだな」
茜がこくりと頷いた。
火力がかなり強かったので全裸に剥いて両手両足に手錠をかけ地下牢に放り込んだ。
話せるのなら尋問するので決して俺と茜以外は近寄らないように。
と言って戦闘終結を宣言した。
そして俺は走って玲奈の元に向かった。
静が裸にして身体を見ていた。
慌てて彼女は隠そうとしたが彼女なのだから構わないだろうと真剣に言ったのでそのまま状況を伝えてくれた。
「大きな傷は茜さんが治してくれましたが全身打撲のような状況です。ショック死は早く駆け付けたので防ぎましたが完全に治るまではかなり時間が掛かりますね」
敢えて玲奈の力を底上げするために無茶をさせてしまった。
完全に俺のミスだった。
それからしばらく塾の合間に静は来てくれた。
静が居ないと分かってる時は茜が来て看病した。
身体は俺が拭いてあげた。
全裸になってもらうがいやらしい気持ちにはならなかった。
こんなことになって申し訳ないと思いながら拭いてから下着と病院着を着せてあげた。
「お前たちは何なんだ。何故我々の前に現れるんだ」
全裸で両手両足の自由を奪われた少女の口に咥えさせたタオルを外し質問した。
喋りそうもないと思ったので思いっきり頬をはたいた。
痛いのは嫌だろう。
さっさと吐いてしまえ。
乳を乱暴に引っ張りながら言った。
どうやっても喋らないつもりか。
明らかに玲奈とは違った。
俺は小窓を目隠しし内側から鍵を掛けた。
この場合2時間は外から開かない。
拷問用の鎖で縛り吊るした。
お前の攻撃で仲間に死人が出ている。
いい加減言っちゃわないか。
これ以上はやりたくないんだ。
知らないならやめる。
しかし何も答えない。
言葉はわかるのか。
と英語と日本語両方で言ったが返事がない。鞭で拷問を始めた。
すると痛いと日本語で声を発した。喋れるじゃないか。
「質問に答えろ何のために戦っているんだ」俺は言ったがまた黙ってしまう。
鞭で30分叩いたが結果は変わらないので鎖から下ろし床に寝かせた。足枷は邪魔だから外した。
一番効果的な拷問に移る。俺は荒々しく挿入した。四回目を終え五回目に入るところで観念したようだ。
わたしたちはただの駒。意志を持つAIが我々を支配している。アレは会話や薬がなくても人の心を操ってしまう怪物... と言ったところで果てた。




