第19話 潜入
お久しぶりです。
気づいたら、最終更新から四か月―――――光陰矢の如しですね(怠けてただけってわけじゃないんだからねっ)
こちらも適当に更新していきますので気づいたら読んでやってください。
「さて、受付を済ますか」
工夫や給仕は日雇い制で、受付があってそこで登録をすると番号の書かれた札を貰い一日の仕事の終わったときに札と賃金を交換する仕組みだ。
ほかの工夫に混じって忍び込もうとしたが案外、警戒が厳重でそれは難しそうなので今日一日は工夫や給仕として仕事をすることにした。
「あぁ~汗水たらさなきゃなんねぇ」
ルカは不満そうだが、イゼリナは
「料理を作るだけで済みそうなので楽です。それに王女様からお金をいただいて、こうして別の仕事も同時並行でやれてお金をもらえる。案外、稼げてありかもしれません」
と、機嫌がいい。
登録を済ますといっても、番号のついた札をもらうだけですぐに終わった。
「んじゃ、またあとでな」
「はい」
「う~い」
二人は仮設の炊事場へと向かっていき、俺は他の工夫とともに一か所に集められた。
工事現場全体を仕切る現場監督からの指示をもらうのだ。
「今日は、逆茂木をこの砦の周りに設置してもらう。木材が重たいので三人くらいの集団で運ぶように。では、とりかかれ」
監督の指示のもと、けだるげに工夫たちが動き出す。
「兄ちゃん、新顔だな」
一緒に材木を運んでいる男が、そう言って話しかけてきた。
「えぇ、今日からです。よろしくお願いします」
男は、シャツ一枚で熱そうにバタバタと仰いでいた。
「こうして仕事ができるからいいが、なんたってこんなときに戦支度を始めるのか……偉い人の考えは今ひとつわからねぇや」
世間話をする体で、男はそう言った。
もしかしたら何か情報を得ることができるかもしれないので、そのまま話を続けていく。
「戦をするのですか?」
「お前、そんなことも知らないのか?」
男は、不思議そうな顔だ。
「なにぶん、こちらに着いたばかりで……右も左もわからないんですよ」
よどみなく嘘を言う。
「大変な時期に来ちゃったね。亭主を軍隊に取られたって女は、この街には大勢いるよ」
「戦争といっても、どことやるんです?」
男は、首を傾げた。
「わかんねぇなぁ。隣国とやるってわけじゃぁねぇらしいし」
隣国としないのであれば、やはり内乱か……。
「来たばっかりだろうけどよぉ、この街から出ていくことを勧めるぜ」
これ以上、男から得られる情報は無さそうなのでこの話題を終えることにした。
夕方になり街の教会の鐘が鳴り響くと、労働は終わりとなった。
札と給金とを交換してルカとイゼリナと合流した。
「そっちはどうだった?」
そう訊くとルカはニヤリと笑った。
「よくぞこのルカ様に訊いてくれた」
別に、お前に対してだけ訊いたわけじゃないぞと思ったが機嫌が良さそうなので放っておくことにした。
「はい、亭主を徴兵されたって女性が数多く見受けられました」
イゼリナが、はしゃぐルカをしり目にそう言った。
「ここは、ルカ様が言うところだろ!? なんでお前が言うんだよ!!」
ルカは憤慨してたが気にせず話を続けていく。
「それは、こっちでも聞いた。他には何かなかったか?」
「おう、それならあるぜっ!!」
ルカが挙手して指名して欲しそうにしていたが
「はい、塩の価格がひと月ほど前から高騰しているという話を耳にしました」
イゼリナが華麗にルカをスルーしてそう言った。
「なっ……!? また言われた……」
「こういうのは、二度やるのがお約束かと思って」
落ち込むルカをごめんねとイゼリナが慰めている。
徴兵されたというのは、挙兵の予兆とみて間違いないだろう。
そして塩の値段の高騰――――――王都でも値が少し上がっていたとイゼリナが言っていたが、このフィリップ公爵領の中心都市バイエルンにおいては、王都で値が上がるよりも早くそして高く値が上がっている。
元の価格との差額は、どこへ行ったのか――――――これが挙兵への軍資金になるのなら辻褄が合う気がする。
ならば、金の足取りを探るのが一番の早道か。
「一つ思いついた。どうも塩の値が上がったというのが気になる。明日からは、塩と金の足取りを調べるぞ」
俺の考えついたことにイゼリナも気付いたのかハッとした顔になる。
「なるほど……そういうことですね」
一方のルカは、機嫌も立ち直り
「お、足取りを追いかけてドンパチか!!」
と何も考えて無さそうな顔でそう言った。
「まぁ、そうなる可能性が高いな」
「ルカ様の腕の見せ所だぜ」




