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第27話 グレた

あ~あ、俺もグレよっかな。

仕事疲れたよ。


腹痛いし、なんか最近腹下してばっかなんだけど

どういう事?ふざけんなよ、なんで腹を下してばかりなんだよ

誰のせいなんだよ。

誰か俺の事呪ってんのか?

いつも通り家じゃパンツ一丁でアイスクリーム貪り食ってるだけぞ。

一体のどこに腹を下す要素があるっちゅうねん。

謎やわ。永遠の謎やわ、〇ナン君が来ても解決してくれないよこの事件

迷宮入りだよ。

秘密の場所でルミアとガーダーが対峙している。ガーダーは秘密の場所にいる間だけ鎧を外し地味な暗い色の服を着るようになっていた。


「うりゃあ!」


ルミアの放った回し蹴りをガーダーは片手で簡単に受ける。

すかさずにガーダーは掌底で反撃したルミアは両手をクロスさせ攻撃を防ぎ後ろに少しノックバックする。


バランスを崩しかけたルミアはバク宙で距離を離し着地と同時に攻撃の体勢を整える。


攻撃を防いだ部分がヒリヒリするが向こうも本気で攻撃した訳ではないので問題ない。


距離を離したら予想通りガーダーが一気に距離を詰めてきた。


待ってましたと言わんばかりにルミアは重心を後ろから前へ

流れるようにシフトしていく。


重心移動の勢いと全体重を乗せた渾身の右ストレートをガーダーの顏に当てに行く。


しかしガーダーは紙一重で体を逸らしてルミアのパンチを躱した。


「ぬッ!?」


空振りしたルミアの背後に回ろうとしたガーダーだったがルミアは想定外の動きをする。


空振りした勢いを殺さず片足を軸に重心を無理やりコントロールし身体を左回転させる。ガーダーの懐目掛けて放ったのは裏拳だった。


この2撃目をガーダーは今度は上半身のみ逸らし裏拳を避ける。体を掠めただけでダメージは無い。


「足がお留守だ」

「きゃ!」


無理な重心移動を行ったので足元は隙だらけだった。


軽く足払いを仕掛けただけでルミアは派手にすっ転ぶ。

次のルミアの出方を伺っていると転んだルミアが起き上がる様子が無い。足でも挫いたのかとガーダーは心配になってしまった。


「?・・・どうした」


ルミアの顏を覗き込んでみるとひっくり返ったままルミアはニタニタしている。


心配するガーダーの顏をみたルミアは満足そうに「私の勝ち」としたり顔をしてみせた。


「??」


ガーダーは首を捻るばかりである。


「じゃーん!」


寝そべったままルミアが掲げたのは見覚えのあるがま口財布だった。


「あ!」


もしやと自身の懐を探ると案の定財布が無い。


「裏拳の時か・・・」

「そ、私の勝ちだよ」


上半身を起こしてルミアが上機嫌で笑いかける。


「そんなルールじゃ・・・」

「じゃあ中身貰っていくね」

「え・・・?」


ガーダーが困惑した様子を見せるもルミアはお構いなく財布の中身を全部取り出してナヨナヨに萎れた財布をガーダーに投げつけて返した。


「じゃあ、町でゴハン食べてくるから。付いてこないでね」


手を振りながらルミアが町に下りてゆく。ガーダーはその様子をポカーンと口を開けてみているだけだった。


「昨日の給料・・・全額入ってたのに・・・・」


これを皮切りにルミアが周りに接する時の態度が大きく変わってしまった。


「あ、マウスリップさん今朝のパン不味かったよ、才能ないんじゃないの?」


「!?」


廊下ですれ違いざまに猛毒をぶち込まれた。あまりにも唐突、しかも人の事を悪く言ったことが無いルミアの口から出た言葉。


マウスリップはショックが大きすぎて言葉が出ず目玉をひん剥き、顎は外れルミアが居なくなった後も大臣に揺り起されるまで硬直していた。


事情を説明したマウスリップだが大臣は「聞き間違いに決まってる」と信じてくれなかった。


しかし翌日の夕方


「ルミア様どこに行ってたんですか!」

「うるさい、ハゲ」

「え?髪が増えた?」

「・・・耳腐ってる?」

「耳の形が美しい?いやーそんなに褒めてもなにも出ませんよルミア様~」


既にルミアはその場に居ない。

大臣が壁に向かい自画自賛の辞を並べ立てているのをマイリアンが発見し引っぱたくと正気に戻った。


「ルミア様があんな暴言を吐くなんて・・・」

「いや、単に母親に似たんじゃないですか?」

「違うモン!ルミア様そんなんじゃないモン!」

「うわ、口調がキッッモ!!こいつ狂ってやがる!!!」


まだ錯乱状態から脱し切れていないようである。


それからも召使いに悪質なクレーマー紛いな発言が目立ち城内ではルミアの話題が絶えることが無くなった。


そんなことを繰り返しルミアは城内で孤立を深めていく。


それに引き換えゲバルトはおとなしいものでゲバルト様とルミア様が入れ替わったのではないかと噂がたつ程であった。


ただ不思議な事に兵士に対して悪質な言動をすることはなかった。(ガーダーは除く)


そしてルミアが城に居る時間は益々短くなり町に頻繁に出歩くようになる。


「ねえ、君!」


町中で聞き覚えのある声で話しかけられた。ルミアが振り返るとそこには剣を背負った少年、勇者ヲォルトがいた。


「・・・こんにちは」

「今日はどこに行くの?迷子にならない??」

「・・・平気だよ」


正直ルミアはをヲォルトとは関わりたくない。

あの日の事、人の首が落ちるシーンを思い出してしまうのだ。ルミアはそそくさと人ごみに消えてゆく。


「あの子、大丈夫かな・・・?こっそり付いていこうかな今日暇だし・・・」


ヲォルトはルミアの後をこっそりと尾行し始めた。


―― 城内 ――


「預言士様、ルミアが外に頻繁に出てるらしいじゃないですか」


預言士に声をかけたのはマイリアンである。


「だからなんだい?」

「邪魔者が居ない今ならルミアの暗殺が達成できるのでは?」

「余計なことをするんじゃないよぉ・・・あの作戦の目的は達成したのさぁ」

「目的・・・?しかし預言に従うならルミアは殺すべきでは」

「ヒヒ!大丈夫さねぇ・・・放っておいてもルミアは死ぬだろうよぉ」


聖書にはルミアの生死は書かれていない。だが、あの状態で生き延びるはずは無いのさぁ・・・

今更解説 名前について


星母マリアでは名前の後ろには苗字ではなく両親の名前が入ることが多いです。

当然地域によって違ったりしますが。

王家や偉大な功績を残した場合はその名前が苗字になってたりします。


例えばルミアのフルネームは

ルミア・エア・ペンナです。


ゲバルトは

ゲバルト・エア・ペンナ。


ヲォルトは

ヲォルト・チープ・ダクト・パチン


エアは歴代の王族が嫌いなあまり継がれてきた名を棄てるという

とんでもないことをしています。

国民と大臣をねじ伏せるのに大分苦労しています。


ヲォルトは代々勇者の家系であり

初代勇者のパチンと言う名をを継いでいます。

・・・ちょっと訳アリというか秘密のある家系ですが。


どうでもいい情報ですがヲォルトには兄がいました

勇者であることを疑問に思い家を棄て国を飛び出したヤツ。

バァルトです。

エアと同様名前も棄てています。

ただこの物語の登場キャラではないので

生存人数にはカウントされません。


どっかでろくでもない事を企みながら楽しく

生きているようです。

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