第16話 嘘つき同士は
よ!元気してるか!?
風邪引いたら俺にくれな!!
仕事サボりたくって オラ ウズウズすっぞ!!
まだあのゲームに入り浸っていたい。
手紙を書き終え自室を弾丸のような勢いで出て王の寝室に向かう。音の無い全力疾走で寝室に向かうも流石に王族の部屋付近になると警備兵が多くなる。普段ならそこまで多く感じないのだが今のヘレンの状況ではまるで人工過密のようにさえ感じてしまう。
兵士だけなら無理に突破しても構わないのだが召使いには流石に乱暴な手段に出ることはできない。召使いはもともと奴隷だった者が多い。彼らにまで手を出せばあのマイリアン達と同じレベルにまで堕ちてしまいそうな気がした。
・・・いや、青龍教に身を置いているアタイだ。マイリアン達よりよっぽど腐っているか、今更手段など選ぶまいよ。
「ごめんね」
ヘレンが近くにいる女性の召使いの身にまとっている全てを一瞬で破り白い肌、乳房、下半身が露わになる。一瞬何が起きたのか理解できなかった被害者だが理解した後の行動は決まっている。
「 」
被害者は叫び声をあげて胸と下半身を手で隠し屈みこむ。
その姿を兵士や他の召使いも発見し兵士たちは下心、召使いたちは心配し被害者に駆け寄ってくる。
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
そして全員がその異変に気が付いた。
いくら喉から空気を外に投げ出しても
舌と口をどう動かしても一切言葉にならないのだ。
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
パニック状態に陥った面々の前にヘレンが堂々姿を現し一言呟く。
「声の盗人」
全員がヘレンに注目する中
ヘレンは弱い電撃を手に纏わせる。
「意識を強奪する者」
ヘレンが掌にふぅっと息を吹きかけると電撃の粒が風に吹かれたタンポポのように、しかしそれよりも早く力強く空気中に広がり電気の粒に触れた者たちの全員の意識を奪った。
「う 」
その様子を見た少し離れた所に居る、兵士が悲鳴をあげようとしたがヘレンに距離を詰められると声は失われ、静かな絶叫が喉を震わせた。
兵士の口に人差し指を押し当ててヘレンが今にも消えてしまそうなほどか細い声で耳打ちする。
「なぜ?って顏だねあなたも地下に居た?私は、お前たちに殺された零面相の・・・亡霊」
亡霊と聞くや否や体が震え目頭には涙が溜まる。
「 !!!」
そのまま強烈な電撃を浴びせると兵士は気を失いその場に倒れる。そしてエアとペンナの部屋の前にたどり着くと扉の隙間へ手紙を差し込みそのままルミアの部屋へ向かった。
あと、5分もない。
同じような手段で警備を全滅させてルミアの部屋に着いた、あと3分程か。
音もなく扉を開く。足音もない、家具や床建物が立てる軋む音に風の音と鳥の声も全てを静寂で包み込んだ。
一切の空気の振動が排除された空間でヘレンはルミアの寝ているベッドに腰かけ、穏やかな呼吸を繰り返すルミアの顏に優しく愛おしむように指先だけそっと触れた。
静寂が支配するこの場所で静寂を破るのはヘレンだった。
「ごめんねルミア、私行かなきゃ・・・」
ヘレンの視界が滲み透明な雫が頬を伝いベッドシミを作る。
ひとつ、ふたつ、みっつ
数えてられない程たくさん作った。
「傍で守ってあげられなくて・・・ごめんね、でもずっと誓いは守るから」
際限なく溢れる雫を袖で拭って、まだ溢れるから滲んだ視界のまま立ち上がるとルミアは寝返りを打ってこちらに背を向けた。
・・・少し時間が過ぎてしまっただろうか。時間が惜しい、窓から飛び降りて全力で走っていくしかない。
窓を開け放つと風の音が部屋に入り、ヘレンの顏をまるで慰めるように撫でてルミアの方へ通り抜けてゆく。
「さようなら、ルミア様」
「いか・・ないで・・・」
小さな声に驚きヘレンはそっと後ろを振り向いた。
しかし、ルミアはこちらに背を向けたままだ。
それを確認すると寝言かと安心して窓に向き直った。
「私も・・・一緒に行きたい」
今度は振り向かないでただその場で固まった。
「また、いつか会えたら・・・一緒に行きましょう」
「・・・うん」
「・・・嘘つき同士は、」
「・・・お互い、大変だね」
ヘレンが窓から飛んだ。
ルミアの枕のシミはベッドのシミより
大きかった。
これで更新ペースは元通り~・・・
かもしれない・・・
無理かもしれない・・・
ダメかもしれない・・・
見放されてるから問題ないかもしれない・・・
過去編の出口がどんどん遠ざかる・・・
閲覧数が駄々下がりするのが見える・・・
ま、いっか ←パーフェクトダメヒューマン。




