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第四十二話 2度目の別れ


スピルは、覚悟を決めた

剣を伸ばし吸血怪人となった父を巻き取り、優しく包んだ


(優しかった父さんが、人を殺してしまう前に俺がトドメをささないと…)

スピルは最も苦しまない毒を精製して、父親に差し込む


「ごめんよ、父さん…」

父の体からゆっくり力が抜けていくのを感じる

「ス…ピ…ル…強く…なったな」

父親はゆっくりとした言葉で喋りかけた

墓を暴かれ、怪人にされたとはいえ父と再開できたこと、そんな父が優しく自分の力を認めてくれたことにスピルは涙を堪えきれなくなった

「父さん 俺、これからも頑張るよ この国もこの国に住む人たちも守ってみせる」

スピルの言葉を聞いて、父は優しくうなずいた

そして、全身の力が抜け、2度目の別れが訪れた

対照的に、スピルが刀を握る力は強くなった

(ありがとう…父さん)


スピルが感傷に浸っている間にも、次々と吸血獣が進軍してくる

(これ以上は持たねえな…)

レキンは踵を返してボベに向かって叫んだ

「ボベ!スピルとテイロスにミネルブラッドを渡せ!」

ボベは一瞬驚いてから、ミネルブラッドの入った鞄を漁り始めた

(あの2人に合う石…これとこれだ…!)


ミネルブラッドには大きさと質による適正がある

適正の合わない石を使って異能を強化しても万全に活かせるとは限らない

通常はこの石の選定の時点で時間がかかる

だがボベの観察眼は、異能持ちに対して適正、あるいは適正に近いミネルブラッドを見繕うことができた

「テイロスさん…!スピルさん…!受け取ってください…!」

ボベが2人に向かってミネルブラッドを投げる

テイロスは一回でキャッチできたが、スピルの位置には遠く届かなかった

「まずい…!」

石のもとに吸血獣が向かう だがその歩みをカルモが止めた

「おりゃ!」

「カルモ…!ナイス…!」

「任せとけって!スピルさん!受け取ってください!」

ミネルブラッドを拾ったカルモは改めてスピルに投げる

今度は届き、なんとかキャッチに成功する

ミネルブラッドを握りしめた瞬間、2人は力が増していくのを感じた

「これは…!」

「体の芯から末端まで元気になっていくようだ!これなら一気に…行ける!」


「ロビトゥラ・デア・サビーレ!」

「ロール・アンブレラ!」

テイロスの召喚していたティロサウルスが吸血獣の群れに突撃して薙ぎ払い、今までより長くなったスピルの剣が枝分かれし傘のようになり薙ぎ払った吸血獣を

絡め取ってバラバラにしていく

ある意味凶悪とも取れる強力なコンボで吸血獣は数を減らした

その空いた隙間に巨大なツノを持ったヤギの吸血獣が突進をしてきた

「俺がやる!」

スピルが前に飛び、剣を突き出しツノと激突させるような構えをとった

「ブラッドストライク!」

ブラッドスコーピオンの硬化能力が剣先に集中し、ヤギのツノとぶつかり合う

その勢いのままツノが砕け、剣が突き刺さった

「やるじゃねえか!」

思わずレキンが声を上げる 見事なまでの完勝だった

その後も朝になるまで戦いは続いたが、他の場所を防衛していた隊員も集まり無事に5人は戦い抜くことができた

-------------

翌朝

「街がとんでもない騒ぎになってると聞いて急いで駆けつけたが…」

カラパッサは防衛地点の様子を見てかなり驚いていた

『レキンたちがかなり頑張ってくれましたよ』

『彼らは将来有望ですね 隊長』

「うむ…!本当によく頑張ったぞ若者ども!」

満面の笑みを浮かべるカラパッサ隊長の近くで、お互いの背を借りて仮眠をとる5人の姿があった


続く


ボベの能力は今の所警察隊の中では異能ではないという判定を受けています

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