第一話 血の蠍、相対す
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1987年 ルーマニアのある酒場にて
「偉大なる指導者と母なる大地にかんぱーい!」
ある集団が酒盛りをしていた
酒場には集団と数人の客がいて、国営放送をテレビが流していた
彼らは国家警察隊 国と民衆を守り闘うものたちだ
「今日は俺は6体も吸血獣を狩ったぜ!」
「お前のは低ランクのやつだろ 俺は強いのを3体倒したぜ!」
彼らにとって吸血獣を何体倒したかは仕事であると同時に自身の力の誇示の象徴でもあった
そんな中項垂れる男が一人
「ちくしょおおお今日も一体も倒せなかった」
「しょうがねーよスピル お前弱いし」
「ハッキリ言うなよ! 俺だって警察隊の隊員なんだ!明日こそは倒してやる」
「いいぞ坊主その域だ!ハハハ」
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宿舎に戻ろうとするスピル
「早く強くなって姉さんや母ちゃんの生活を楽にしてやりたいぜ…」トボトボ
そんな時近くの通りから悲鳴が聞こえた
声のした方向に走るスピル
そこには吸血獣と一人の女性がいた
「早く逃げて!」
女性を市街地の方へ逃し銃を向けるスピル
「でやがったな吸血獣!」
銃に血の弾丸を込めて発射する
吸血獣は通常の生き物よりも大きく、的がデカいが専用のデバイスを使わないと倒せない
ヒラの隊員は血を引き出す腕輪とこれに連動した拳銃と剣を携帯している
弾丸は当たったがあまり効いてないようだ
「ならこれで!」
剣を抜こうとした瞬間
ズドン!
彼の体に大きな穴が空いた
「クソ…こんなところで」
薄れゆく意識の中スピルは母と姉のことを思った
「ごめん…二人とも」
スピルは走馬灯のようにあの日のことを思い出していた
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『父さん!死なないでよ!』
『スピル……母さんと姉を大事にするんだぞ』
『父さん!』
墓前でぼうっとするスピル
『スピルあんたいつまでそうしてるつもり?』
『姉ちゃん……だって』
『父さんが死んでも私たち3人で父さんの分も国に尽くすのよ!あんたがいつまでもクヨクヨしてんじゃないわよ!
ルーマニアの男に生まれたんだから強くなりなさい アタシはともかく、母さんを守れるくらい強く』
『姉さん……俺強くなって警察隊に入るよ!姉さんも母さんもルーマニアの人たちも守れるくらい強く』
『そうよ!男の子はそのくらい前向きでいなさい!』
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目が覚めるスピル そこは宿舎の医務室だった
「ようやく目が覚めたかいスピルくん といってもあの傷でこれだけ早く目が覚めるなら大したものだ」
そこには医務室の主ピンテアがいた
「俺どのくらい寝てましたか!?あの吸血獣は!?」
「おっとあまり興奮するなよ まだ完全に治ったわけじゃない」
「君が遭遇した吸血獣は現在も捜索中だ 足が速いのか擬態ができるのかなかなか見つからないようだ 今は午前5時 君が運ばれてから大体7時間くらいだ」
発見された吸血獣は通常短時間で倒されるためそこまでの時間がかからない
7時間逃げられる個体は実質逃げ延びたようなものだ
「まあそう暗い顔をするな 市街地に現れたとあって結構な隊員が探しているし、そうなれば吸血獣の被害も出にくいだろう 奴らは警察隊の姿を避ける傾向があるからね」
「ありがとうございます……俺腹を貫かれたと思ったんですけど、ピンテアさんが治してくれたんですか?」
「貫かれた?いや、君の状態は確かにひどかったけど穴なんてなかったよ もし貫かれていたのなら私の力を持ってしても君は助からなかったかもしれない 少なくともまだ治療中だ」
ここでピンテアの顔がスピルにグッと近づく
「被害女性の証言といい君の腹を貫ぬかれたという話といい……君、まさかあのブラッドスコーピオンと戦ったんじゃ?」
「えっ……」
言いかけたその時だった
ガシャーン!
医務室の窓が割れそこには男が立っていた
「見つけたぜピンテア!今度こそボスのところまで連れて行ってやる!」
「やれやれ…また君か いい加減警察隊にでも入ってそのしぶとさを人のために活かせばいいのに」
「うるせえ!黙ってやられちまいな!」
男が飛び蹴りをかます ピンテアは難なく防御で凌ぐはず だった
バキっ
「ぐっ!?」
「ピンテアさん!?」
男の蹴りが見事にピンテアに刺さる
「おとくいの防御はどうしたよ!まあいいさ!ここでお前をのしてボスのところまで連れて行きゃいいだけだからな!」
「待て!お前の相手は俺がする!」
スピルの声に男は視線を向ける
「なんだテメェ 力も混ざってないような雑魚がしゃしゃりでてくんじゃ…ねえよ!」
「がはっ!」
男の攻撃になす術もないスピル
「この国では強い奴だけが生き残れる!お前みたいに力に目覚めてない奴は俺みたいにローカストの力を持ってるやつに一方的に潰されるのさ!」
男は【ローカスト】 つまりバッタのような強いバネの力を持っていた
(あぁ……俺はまたやられるだけなのか 強くなるって誓ったのに……)
ボコボコにされ遠のく意識の中でスピルは声を聞いた
『強くなりたいか 少年よ』
「当たり前だ!みんなを守れるくらい強くなりたい!」
『ならば我の力を欲せ 欲したからには闘え! 我が名は……』
「ブラッドスコーピオン!」
その瞬間スピルに血によって形成された鎧が出現した
「なんだ…テメェも力を持ってんじゃねえか」
「スピルくん……君は」
「少しは楽しめそうだな!いいぜかかってこいよ!」
「俺は……」
スピルの脳内に浮かぶ大切な人たち
「俺は人民を…大切な人を守る為に闘う!」
ローカストを貫く勢いで拳を振りかざすスピル その一撃は重くのしかかった
「グハッ!」
ローカストが倒れ込む
「やるじゃないかスピルくん!君の力 ブラッドスコーピオンでローカストを倒したよ!」
スピルに駆け寄るピンテア
「カッコよかったぞスピルくん」
ピンテアの笑顔が姉の面影を見せる
「俺が……この力で」
ジンとするスピル
「さて……スピル君がその力に目覚めたと言うことは例の吸血獣はやはりスコーピオンで決まりだ その鎧についてはまだ完全に研究が進んだわけではない。ぜひ協力してくれるね?」
ピンテアさんのすごみに気圧されるスピル 答えは一つしかなかった
「は、はい……」
2話に続く




