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第11話 そして、実は…なテインの秘密

 月日がたつのは、早い…


 『師匠』から剣を教えてもらい始めて、2年がたった。


 僕は7歳になっていた。


 初めは、剣だけだったのに、いつのまにか増えてしまい、色々教えてもらえるようになった。


 文字が読めないと言うと、まず書くことからと、練習用の本を渡された。

 わからないところは、きちんとおしえてくれる。

 おかげでちゃんと文字が読めるようになった。


 料理はしたことがないというと、まずはさばき方からと、帽子からうさぎを取り出して、ささっとさばいて見せてくれた。

 実践も、できるまで何日か付き合ってくれた。


 他にも、縫い物だったり、鉱物の見分け方だったり、宝石の価値だったり、分野を選ばない。

 



「君は本当に覚えがいいよねえ」


『師匠』は、感心するように言う。


「『師匠』の教えがいいんです」


 話し方を変えたのも『師匠』のすすめだ。


「…で?本当のところは?」


 あれ?ごまかせなかったか…


「…なんで、そう思うんです?」


「ふむ…そうだな。君は不自然に子どもらしくないからだよ、少年」


 …やっぱり気付いていたのか?


 この人は侮れないな。


「そうですね。『師匠』には、話してもいいかもしれません」


 そう、僕の二番目の秘密。


「僕は、実は…」





「『声』が聞こえているんです」




「『声』…?」


 『師匠』は、少し眉をしかめる。


 頷いて、振っていた剣を止める。

 

 ちなみに、今までの話は全部剣を振るいながらしていた。


「はい。なんの声かはわからないんです。


 ただ、昔…赤ちゃんの時から、4歳くらいまでは、たぶん毎日聞こえていました」


 まあ、赤ちゃんの時は記憶なんてないから、多分としか言いようがない。


「…今は?」


「あんまり聞こえないです。いえ…人数が減ったのか、あまり『声』がしなくなっていったんです。


今でも、聞こえています。


ただ、『師匠』のことは教えてくれないんですが…。


 僕が大人みたいと言われるのは、その『声』のせいです」


 ふむ…と『師匠』は相槌ともとれる返事をする。


「…『声』と会話をしていたのかね?」


「はい。『声』はたぶん年齢がかなり上の方々だったと思うのですが、難しい言葉の説明や、意味のわからないこともちゃんと説明してくれました。


 僕は、その『声』と一日中話していたので、よく1人でぼんやりしているように見えたかもしれません。


 それに、考え方も、子どものそれとは違うものになったかもしれません」


 なるほど…と『師匠』は呟く。


 『師匠』が考え始めたので、僕は剣をまた構える。



「それは…おそらく…」


 今日の熟考は、短かった。

 しかも、僕にもよくわからない『声』の正体を知っているかのようだ。


「…『精霊』だね」


「『精霊』!!!?」


 え…!!え!?


 精霊って喋れるの!!?


「精霊も喋れるよ。彼らは意志のある存在だからね。


 ただ、その声は、残念ながら、聞こえる人はほぼいない。


 見える人もほとんどいない」


 君は貴重な存在ってわけだ。と、師匠は笑いながら言う。


 僕は嬉しかった。

 だって、僕のこんな冗談みたいな話を聞いてくれる。

 真剣にその正体をかんがえてくれる。


 今の僕には『師匠』だけが、僕の世界で唯一の話が出来る人なんだ。


「ふむ…今まで考えなかったわけではないが、君は魔法も使えるかもしれないな」


 魔法!!?


「だが、私は魔法を教えるには、些か…」


 ぶつぶつと呟いている。


「…よし!!明日、初期魔法を教えるのにふさわしい者をつれてくるとしようかね」


 あれ?『師匠』がなんだか、黒い笑みを浮かべている?


 なんだろう?なんだか企んでいるような?、





 そうそう、僕は7歳になってから、外で少し仕事をするようになった。


 孤児院では7歳になったら、職業体験?みたいなことをする。


 それは、下働きだったり、給仕だったり、靴磨きだったり…


 とにかく、いろんな仕事の手伝いをさせてもらって、自分にできる仕事をさがす。


 僕の場合は、八百屋さんの売り子だ。


 お金の計算も『師匠』に教えてもらってたけど、なぜだか店の奥の仕事よりも店の前で声を掛けてくれればいい、と言われた。


 ここに座って、にっこり笑ってくれれば、それでいい、と…


 意味が分からない。それは仕事なのか?


 でも、売上が伸びた、と女将さんが喜んでいて、いつも孤児院にお土産を持たせてくれるようになった。


 他のお店からも、八百屋に飽きたらおいでと言われたので、孤児院を出ても、やっていけそうだ。


 お昼からはいつも、店に向かう。


 そんな時でも、ちゃんと腕と足に重りをつけて鍛えている。


 何度か、へんなおじさんに声をかけられたけど、走ってしまえば、僕の足に追いつける人はいなかった。



 全部『師匠』のおかげだ。


 そろそろ、もう一度剣の相手をしてほしい。


 最初の時、1年前相手をしてもらった時は速過ぎる剣に対応できなくて気絶しちゃったけど…今度はもうちょっと大丈夫な気がする。


 あれから、舞う様に振るう『師匠』の剣を何度も見せてもらったし!!









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