70 勉強はしたくなかった!
「それでは、再来週から試験なので頑張ってくださいね!」
担任教師からの発言の後、クラスメイトはそれぞれの反応を示した。
「マジかよ〜…もうそんな時期か…」
「勉強してる?」
「全然。一ミリも」
帰る支度をしながら絶望する男子たち。
「今日勉強会する?」
「ありー!」
「というわけでお願いします!」
「私もかい…まあ良いけど」
「ありがとうございます!!」
色々言いながら普通に勉強して平均以上の順位を狙う女子たち。
そして、完全に不適合者な二人…!!
「え、てすと…?」
「何言ってんの?てすとなんて言葉が存在するわけないじゃん。相変わらず百合は馬鹿だね〜」
「だ、だよね〜…。そんな日本語聞いたことないもんね…!」
「はははっ!当たり前じゃん!」
完全に現実逃避する百合と心花。二人はいつになく馬鹿な会話をしていて、近くに来ていた葵をドン引きさせてしまう。
「あ、あの…なぜかお二人とも知能が下がってませんか…?」
「何言ってるの?私たちは至って普通だよね?」
「当たり前じゃん。あたしたちは超絶常識のある女だからね!あたしたちにわからないことは誰にもわからないはずなんだよ!!」
「…………」
段々葵が呆れ始めてきた。流石にこれ以上の悪ノリは良くないと感じ、仕方なく現実に目を向けることにした。
「はは、ははははは…。テスト…ね…。うん、わかってはいるんだよ…?そろそろ向き合わないといけない時期だって…」
「でもそんな簡単に手が動いてたらこんな馬鹿になってないわけだからさ…。もういっそ諦めた方が幸せなのかなって」
ちなみに中学時代の成績は百合が平均ぐらいで心花が平均以下である。
百合は危機感を感じ始めたらイヤイヤ言いながら手を動かすタイプなので、一応平均ぐらいでなんとか持ち堪えることはできる。
しかし問題は心花だ。彼女は生粋の勉強嫌いで、今までで平均以上どころか平均点すらとっているのをみたことがないレベルだ。毎回赤点ギリギリを行き来していて、たまに先生に呼び出しを食らっていた。
そんな彼女が高校に来ても勉強をしないと言っている。中学よりも難しくなるはずなのにこのままで着いていけるのか、恋人としてとても心配である。
「諦めるのはまだ早いよ!心花はやればやれる人だって信じてるから!」
「それアンタに言われても全然やる気出ないんだけど。一応アンタも今はこっち側じゃん?」
「っ……確かに…」
彼女の言う通り、まだ勉強を開始していない今の百合と心花は完全に同レベルだ。これからの頑張り次第では心花に抜かれる可能性もあるため、百合は何も言えない立場なのである。
だがしかし、それは既に賢い人間が現れた場合はひっくり返る。例えば入試でトップの成績を収めた人とかが現れれば二人は完全にひれ伏すしかなくなってしまうわけで。
「あの…もしよかったら私が教えましょうか?」
「「よろしいんですか??」」
「は、はい…。構いませんけど…」
「「よろしくお願いします!!」」
噂をすれば入学試験一位の人が現れた。
そう、葵は美少女なうえに頭も良いのだ!完璧すぎて本当に恋人候補なのか疑ってしまう!
まあでも本人がこう言っているわけだし、彼女の厚意にしっかり甘えておくことにする。
「じゃあえと…明日早速始めますか?」
「そうだね。そろそろ始めないとマズイかもしれないし」
「え、明日からやんの?まだ耐えれるくない?」
「そう言って赤点取ってるの何回も見たことあるよ」
「…い、今まではそうだったかもだけど!!JKになったあたしは一味違うんだから!!」
ちゃんと認めれば成長が見込めるはずなのに。この子は一向に自分の頭の悪さを認めようとしないからいつまでも赤点ギリギリなのである。
だがしかし今回は説得する人数がいつもより多い。それならば彼女に頼るのが一番良いだろう。
「この子はもうダメだ。私の手に負えない。じゃあ後は任せたよ。賢い人」
「え!?百合さん!?」
「わかった。私がどうにかしよう」
「「「え???」」」
サラッと長い金髪を靡かせる、気高く美しく咲き誇る花のような少女が現れた。
そう、入学試験第二位の花園菫だ。




