女剣士は令嬢と共に・序
すごく。短い序章です。
それは、夏休みを迎える直前の暑い時期だった。
小学生の頃、たった1年程という短い期間を一緒に過ごした初恋の「男の子」と再開し、積もる話で勝手に盛り上がった土曜日があっという間に終わり、それぞれ日曜日を過ごして月曜日になった。
紅ヶ原女子高等学校に通う天利奈月と地嶋沙希は、いつもより元気よく登校してきた。
奈月は剣道部の朝練習に出るため、帰宅部の生徒よりも早く家を出る。
沙希はというと、彼女はあくまでも帰宅部なので、もう少し遅くの登校でも十分に間に合うし、母親に送っていってもらえば更に問題ない。しかしそれでも、唯一無二の大親友である奈月と一緒が良く、時間を合わせて沙希も早めに登校していた。
(……あら?)
沙希はふと、奈月の顔を見て気になったことがあった。
つい先程、合流した時点ではいつもよりも明るい表情をしていたというのに、学校へ近付くにつれて、やや曇り模様になっていたのだ。
誰相手でも「ビシッ」とモノを言う沙希だが、それは奈月相手でも例外ではなかった。
「奈月、ちょっといいかしら?」
「ん、なーに? 沙希ちゃん、どうかした?」
「『どうかした?』じゃないわ。滅多にない程暗い顔をしているわよ? 何かあったの?」
「え……あ、ああ! 大丈夫! なんでもないよ!?」
奈月は沙希に心配掛けさせまいと嘘をついた。
これが他の相手なら「そう……」程度で終わったかもしれないが、沙希には『繋がられる為の類似点』という能力がある。その気になれば、奈月の意思がどうあろうとも心を『繋げる』ことができる。
しかし、沙希はそれをむやみやたらと使わなかった。
「……覗くわよ?」
「うっ……! わかったよぉ、白状するー……」
奈月にはその脅しがどういう意味を指しているかが正確にわかった。
話そうが隠そうが結局、沙希には知られてしまう。
ただその際、沙希に課せられる「代償」を考えれば、大人しく白状した方がお互いにとって賢明であると言える。
奈月はうなだれながら、沙希に話を始めた。
「沙希ちゃん、小池秋穂ちゃんって知ってるよね?」
「ええ。知ってるも何も、たまに奈月がその子の話をするじゃない」
「うん、その子。……でね、ボク。秋穂ちゃんのお姉さん、春美さんから今度の練習試合でやる団体戦に誘われたんだ。でもボクは団体戦があまり好きじゃなくて……」
「それで? 何か手を打ったのでしょう?」
「……うん。そこで、ボクの代わりに秋穂ちゃんはどうかはな? って、大森先生に推薦したんだけど、却下されちゃった」
読んで下さりありがとうございます! 夏風陽向です!
今回の異常な文字数につきましては「書く時間がなかった」といった感じです。
今週末は引っ越しを予定しており、その準備があった為が1つ。
それからホワイトデーが近く、クッキーを作っていたという所存です。
今週は引越しの関係で忙しいですが、それでも一応、少しずつでも水曜日に更新はさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします!!




