求愛と破壊のすれ違い part23
すいません、今回は忙しくてこれしか更新できませんでした!m(_ _)m
クラスメイトにわざわざ知らせてもらうことなく、黒山と真悠の存在に気付いた颯太は、先輩相手に一切怖じけず、堂々と2人がいる教室の入り口まで歩み寄った。
「どうしたんすか?」
呑気でもなく、かといって2人を邪険に扱うようでもなく、至って普通のテンションで颯太は尋ねた。
事態が事態だというのに、いつも通り無表情な顔をしている黒山がそれに答えた。
「梶谷の様子がおかしい」
それから黒山は、昨日の放課後に詩織が唯香から助けを求めるメッセージを受け取り、真悠を教室に置いて助けに行ったが、戻ってきた時にはまるで別人のようだったという出来事と、それに唯香はもちろん、充もおそらく関わっていだろうという話をした。
「颯太の周辺では何かおかしなことが起こらなかったか?」
そう聞かれると、颯太にとっても身に覚えがある話だった。
突然、唯香は充と付き合うことになり、そして今日、いきなり唯香の態度が急変した。
単に急変しただけならあまり気にしなかったかもしれないが、昨日の放課後、帰る直前の唯香の態度を思い出してみると、かなり不自然に感じる。
「ない、といえば嘘になるかもしれないっすけど……」
何よりも不思議なのは、唯香は充を。充は唯香を選んだというのに、詩織が今日も「充や唯香と共に行動している」というところだ。
これではまるで、充が唯香だけを選んだわけではなく、少なくとも二股……場合によってはハーレム状態になってしまう。
だが、それでも颯太には「そんなことはしない」と言った友人の行動だとは思えなかった。
「気にし過ぎじゃないっすかね。あいつ……充は確かにモテるっすけど、誠実なやつです。唯香と付き合うと決めた以上、詩織先輩に手を出すようには思えないっす」
結局、颯太は友人の無実を主張した。
しかし、黒山は納得しなかった。
「だといいが、俺は萩野充が元凶だと思っている。本当に無実ならそれに越したことはないが、早くても今日の放課後に問い質すつもりだ。……颯太はどうする?」
「俺は……」
友人の無実を信じていながらも、颯太は真相について考えていた。
本当に無実なら疑った黒山を責めるところではあるが、有罪なのであれば話は別だ。友達といえど、唯香を誑かしているのであれば―――
(やるしかねぇ……けど)
「俺は充を信じる……っす。あいつは友達っすからね」
「そうか」
颯太は友人を信じることにした。事実、態度こそはどこかおかしかったものの、唯香は充と一緒にいる間は辛そうな表情を見せない。それどころかむしろ、幸せそうにも見える。
もちろん、唯香を思う立場としては胸に突き刺さるものもあるが、思っているからこそ邪魔をしないし、させたくない。
「……黒山先輩」
「なんだ?」
「早くて今日の放課後に決行と言ってましたけど、俺は反対っす。もっと様子を見るべきじゃないかと」
「断る」
黒山の感情を読み取れない黒い瞳が、颯太を冷たく見据える。
即答で答えたが実際、黒山は颯太の言うことには一理あると思った。しかし、充が詩織に何かしらの危害を加えていることは真悠の能力による副作用でわかっている。
颯太の意図を理解したわけではないが、理解したところで詩織に危険が及んでいる以上、黒山としては悠長にしていられなかった。
だがそれは、結果として颯太の怒りを買う発言だった。
颯太にとって大切な存在である、唯香と充の気持ちは何も考えられていない決断だったからだ。
冷たく黒い瞳で見る黒山に対し、颯太は先輩相手に隠す気もなく怒りを顔に表した。
「……どう考えるのかは勝手っすけど、今の段階であいつらに何かするようなら、俺は許さない」
「…………」
「俺の知る黒山先輩は冷静な人っす。ちゃんと様子を見てからの行動を」
「1つ言っておくが、萩野充は颯太と同じように力を持っている。それだけでも即座に対処するべきだと俺は思うが?」
「だとしてもっす。力持つ奴が皆んな、悪い奴ってわけじゃないっしょ? ……失礼します」
颯太にとって、充が力を持っているという情報はむしろ安心に繋がった。無力ではないということは、唯香をちゃんと守れるということでもあるからだ。
とてもまだ「話が終わった」という状況ではないが、颯太は無理やり話を切り上げて、自分の席に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これ以上の話が望めないことは、黒山本人はもちろん、一緒にいた真悠にもわかったので教室へ撤収することにした。
「良かったの? 黒山くん?」
「何がだ?」
「だって、ふーた君の協力が必要だったんじゃないのー?」
「いや、あれば楽になった、というくらいのものだ。協力を得られなかったとしても、ちょっと面倒になるだけで支障はない」
「ほんとー?」
「ああ」
もし、これで唯香にも明確な被害があって颯太が協力してくれるのであれば、充に近付きやすくなっていただろう。
だが事実、断られてしまったどころか、軽く対立してしまったので協力は絶望的だ。
となれば、充の動向を伺って接触するしかない。
黒山は真悠の話に少しだけ意識を傾けながら、放課後の段取りを考え始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
周りから「触らぬ神に祟りなし」と思われるほど、颯太は怒りを露わにしていた。
そこに次の授業の準備をする為に戻ってきた唯香が目の前の席に座り、後ろから充が軽く背中を叩いてきた。
「ああ? 充か」
「どうしたんだい、颯太? 何時もに増して怒っているようだけど」
「ちょっとな。……充、お前」
「ん?」
「……ああ、いや、なんでもねー」
「……? そうかい?」
颯太は一応、充に「お前、本当に唯香だけを見ているのか?」と聞こうとしたが、本人がすぐ目の前にいるし、それは充に疑いをかけることにつながってしまうように感じられた。
不思議そうな顔をして去っていこうとする充を、颯太はもう一度呼び止めた。
「おい、充」
「なんだい?」
「俺は、てめーのこと信じてるからな」
「……? ありがとう?」
それが充に……友人にやっと言える言葉だった。
読んで下さりありがとうございます!
ちよっと体調を崩してしまったり、人生で1番大きな買い物をする為の手続きで忙しかったりしたので、これだけですが、次回はちゃんとします!
それではまた来週。お楽しみにしてくださると嬉しいです!




