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隣の転校生は重度の中二病患者でした。  作者: 夏風陽向
「嫉妬と強奪の女王」
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嫉妬と強奪の女王 Part5

沙希との見回りを終えたその日の夜。黒山は部屋の明かりを消し、仰向けでベッドに寝転んで目を瞑り、昼間の大通りで包まれた白い霧を発生させた人物について考えていた。


白い霧を発生させた張本人が白河であることを黒山は確信している。


なぜなら、白河が黒山の「黒」を感じられるように、黒山も白河の「白」を感じる事が出来るからだ。


よって、白河が近くにいて能力を使用した事に疑いは無かったが、黒山の中にあった問題は「何故、白河がそこにいたのか」だ。


黒山の記憶では、白河が住んでいる地域はここから近いと言える場所ではなく、特別何か用がない限りこの街でまでは来ることはないはず。


だから「白河がこの街で何かを企んでいるのではないか?」「その目的はなんなのか?」という白河がこの街にわざわざ来た理由を検討する。


しかし、実際は本当に偶然、この街に来ていたというだけであって、そこまで考えるほどのことではなかった。


それでも、黒山が深く考えてしまうのには理由があり、そこには黒山が誰にも語ることが出来ない過去がある。


白河の性格と能力上、今回の事件に関係しているとは考えられないが、それでも黒山にとって「仲間に近い存在」といえる彼女らに近付けさせたくなかった。



(近いうちに、今度こそ決着をつけなければな……)



決して言うほど簡単なことではないとわかっているが、黒山は心にそう決めるのだった。


--------------------


翌日。黒山はここ最近、頻繁に起きている事件について「せめて梶谷と栗川だけでも守れるようにしよう」と考えた結果、安全対策を取ることにした。


その為に、とある人物へ電話を掛けた。



「もしもし?」


「透夜だ。1つ頼みたいことがある」


「えっ、何?」


「最近、重度の中二病患者の関係でクラスメイトにも危険が及んでいる気がする。そこで、その2人に御守りを渡して起きたいんだ」


「ふーん? わかった! それじゃあ、午後に私の家で御守りを作ろうか」


「ああ、よろしく頼む」



黒山が電話を掛けた相手は先日、鎌田の一件で、雪消の要請で応援に来てくれた梨々香だ。


梨々香は黒山達とは違う地域で同じ活動をしている。


一時期、黒山は梨々香と一緒に戦っていた仲なのだが、梨々香自身の能力が強力だった為、梨々香は1人でも十分に戦えると判断された。


しかし、梨々香の能力『奇跡を起こす為の魔法』はその名の通り、普通では起こすことのできない『奇跡』を起こす事が出来るが、起こした奇跡の規模によって支払う代償の規模も変わるのだ。


例えば、目の前に瀕死の状態の人がいるとする。


梨々香が能力……もとい、魔法を使えば、その人はたちまち元気になる。


そこで梨々香が支払う代償は、「本来死ぬ運命だった人が、次に死を迎えようとした時までの時間を梨々香の寿命から支払われる」というものだ。


たった1つ。神が定めたであろう運命に逆らうことで、梨々香の寿命が縮んでいく。


黒山がいれば、そういった代償を支払わずに済むのだが、黒山は梨々香の元から去ることになってしまった為、梨々香は代償を支払っていかなくてはならなくなってしまう。


そこで、現在黒山の保護者である沙苗が発案した物があった。


それは「御守り」。


沙苗が御守りを作り、梨々香の魔法によって『奇跡』を起こし、黒山の『拒絶』を御守りの効果とするもの。


一見便利だが、どうしても能力の代償を『拒絶』するものとして使うと1回で効果を失ってしまう。


だが、単純に相手の能力を『拒絶』することに関しては、1日程度は持つとされる。


一応、黒山自身が詩織と真悠を送っていくとしても、場合によっては守りきれない可能性もある。


相手が肉弾戦を持ち込んでくれば、戦闘中に逃がすことが出来る自信はあるが、能力を使ってきた場合は別だ。


あっちにもこっちにもと能力を放てる程、黒山の能力は便利では無い。


白河による『帳消し』のように、全体が対象となるものは、密着していないと能力でカバー出来ないのだ。


黒山は事情を沙苗に話し、ある程度ストックしていた御守りを貰って、梨々香の元へ向かう準備を始めた。


--------------------


一方その頃。奈月は沙希と一緒にいた。



「うーん……」


「まあ私も、偶然だとは思えないけれど」


「やっぱり? 透夜、何か知ってるんじゃないかな?」


「さあ? あの朴念仁は何を考えいるかわからないもの。知っていても教えてくれるかどうかはわからない」


「うーん……」


2人がいるのは奈月の部屋だ。


奈月は一人暮らしである為、人を招くのに誰かに気を使う必要が無いので、頻繁に沙希を招いている。


もっとも、都合が合えばだが。


2人が話している内容は「ここ最近、失恋で悩む人が多い」ということだった。


紅ヶ原女子高等学校は恋愛禁止ではない。……とはあくまで表向きの話では、実際は教職員が結構口出ししてくる。


「学生の本分は勉強」とよく言われるが、紅ヶ原では色恋沙汰で浮かれている生徒に厳しかった。


それは失恋で落ち込む生徒に対しても言えることで、このまま失恋で落ち込む生徒が増えていくと、学校側も何か対策を取ってくるかもしれない。最悪、恋愛禁止なんてことも。


他の生徒にとっても、奈月や沙希にとっても全力でそれを阻止したかった。



「そういえば……」


「んー? どしたの、沙希ちゃん?」


「いえ、昨日の見回りで、女子2人が揉めていたわね」


「えっ、なにそれ、どゆこと?」



沙希は昨日起こった出来事(もちろん、白河による白い霧の話を省いた)を奈月に話した。


幸い、そんな目立つ事件の後処理について聞かれることはなかったが、やはり奈月にも思うことがあるのだろう。珍しく真面目な顔をしている。



「ねえ、沙希ちゃん。もしかしたら、しおりんが何か知ってるんじゃないかな?」


「詩織? 確かに彼女は透夜と同じクラスな上に席が隣だものね」


「沙希ちゃん、連絡先知ってるんでしょ?」


「ええ。奈月さえ良ければ呼びましょうか」


「うん! でも場所がわからないだろうから、駅まで迎えに言ってあげよう!」


「そうね」



沙希は詩織に電話をし、状況を説明すると近くの駅を集合場所にした。



「さ、行きましょう」


「うん!!」



奈月と沙希は、詩織を迎えに行くために部屋を後にした。

読んでくださりありがとうございます! 夏風陽向です。


いつもより文字数的に半分の内容となってしまいました……。


というのも、三連休のうち、金土と仕事になってしまい、今週から交代勤務が始まってしまった為、書く時間を上手く作れませんでした。


黒山と白河の過去については、またどこかで書かせて頂こうと思っています。


出来れば次回はもう少し内容を多くしたいです。


次回の更新予定日は11月15日(水)です。お楽しみに!!

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