会場を出て
「マリアンネはどこかしら?」
アタシは会場の扉が閉まると、病弱の演技の為に丸めていた背筋をすぐに正し、一緒に出て来たメイドたちにマリアンネの居場所を聞いた。
会場のどこにもマリアンネの姿が見えなかった。
嫌な予感がするわ。
「マリアンネは裏門の警備に出ています」
「警備?」
マリアンネはメイドをやっているけど、この屋敷の使用人の中で誰よりも強い。
マリアンネの仕事にはアタシの警護も含まれていて、幼いアタシに、父は最高のメイドをつけてくれた。
だから、マリアンネには警備を任せられるほどの実力はある。
あるけれど、よりによって今日の屋敷の警備をマリアンネに行かせるなんて最悪よ!
いつもならアタシの警護が優先されるはずなのに。
今日のアタシには、警護を付ける価値もないということかしら。
「部屋には私たちが連れて行くようにと仰せつかっております」
「……それは、いいわ。一人で部屋に行けるから。アナタたちはパーティーの仕事に戻ってちょうだい」
マリアンネを探しに裏門へ行くには、このメイドたちが邪魔になる。
ここでメイドたちと別れて、そのまま裏門に向かいたい。
「いいえ。必ず連れて行くようにとのことです」
いつもはアタシに近付くことさえ嫌がるメイドたちなのに、その態度は頑なだった。
なるほど。
このメイドたちは見張りってわけね。
部屋に閉じ込めてしまえば、マリアンネを付ける必要もない。
きっと父から強く命令されていて、アタシが何を言ってもこのメイドたちは聞かないわね。
ならここで押し問答していても時間の無駄。
今は少しでも時間が惜しい。
「わかったわ」
アタシはメイドたちを連れ、足早に部屋へと戻った。




