両親の考え
マリアンネが側にあり続けるなんて急に言い出した理由は、すぐに分かることとなった。
自室を出て、パーティーの控室に行くと、そこには両親と、メイドのスカートに掴まって立つ、金髪の可愛らしい小さな男の子がいた。
落胆した顔で出て行った見舞いの日以来の両親との再会で、何も聞いていないアタシは父から衝撃的な話を聞かされた。
大きな瞳で興味深げにアタシを見つめてくるこの男の子は、アタシの弟だった。
あら?
ジークベルトに弟なんて設定が『最弱種族の竜槍者』の中にあったかしら?
なんて若干の現実逃避をしつつ、父の話を聞いていると、どうやら今日のパーティーは最初に顔出しするだけで、アタシは病弱を理由にさっさと自室に引っ込めということだった。
招待客に挨拶もせず主役がいなくなるなど、とんでもなく失礼に当たるけど、病弱ってことなら、まあ、許される。
今の病み上がりな顔なら、病弱に真実味が出るから、ケガを負ったのはちょうど良かったと父は鼻で笑った。
挨拶は両親と弟で回るらしく、それはつまり……。
病弱な兄が家督を継ぐことが出来なくとも、弟がいるから大丈夫というアピール。
なるほど。
弟が産まれたから、周知のためにもパーティーも開いたのね。
婚約披露を兼ねたパーティーなら規模も大きく、弟の周知徹底にはちょうど良かったってとこかしら。
つまり、アタシはお払い箱だと言外に伝えられた。
パーティーの流れは、リーゼロッテに支えられながら会場に登場し、アタシとリーゼロッテの仲の良さを招待客に見せたら、礼をしてアタシだけ会場を出て行けと説明を受けた。
そして、会場を出た後は、自室にこもって部屋から出るなと言われた。
父の蔑んだ言いざまに、アタシは空笑いしか出なかったけれど、パーティーを早々に抜け出せるのは助かるので、アタシは素直に従うフリをした。
覚悟はとっくに出来ているわ。
今さら父の態度に傷付くこともない。
それに、パーティーを引っ込んだあと、自室にいると思われれば、誰かに煩わされることもなく自由に行動が出来る。
マリアンネと一緒に、自室にこもっていてもいい。
死亡フラグを回避するにはもってこいの状況で、父の命令は願ったり叶ったりだった。
大人しくパーティーに出て、アタシは言われた通りにふるまった。
リーゼロッテに支えてもらえなければ、立つことも出来ない病弱な姿を。
この婚約が揺るぎないことがわかるように、リーゼロッテと仲睦まじい姿を。
そして、メイドたちの手を借りて、アタシは速やかに会場を後にした。




