最高のプレゼント
「ど、どうかしら?」
アタシは寝室から出て、ソファに座っているリーゼロッテの前に立った。
「とっても似合ってる」
「そ、そう?」
アタシはその場でクルリと一回転する。
水色に近い青のドレスがふわりと広がり、胸まであるサラサラの金髪も一緒に広がった。
寝室の鏡の前で確認したけど、なかなか、いえ、かなり可愛く仕上がったとアタシも思うわ。
目つきは悪いけれど、ジークベルトはイケメン男子。
透き通るような白いスベスベの肌。
筋の通った高い鼻。
清楚な薄い唇。
細いすっきりとしたアゴ。
例えるなら、神話の女神のような美しさ。
ジークベルトの顔には、美少女の要素がこれでもかと詰め込まれていた。
……目をのぞいて。
とりあえず、そこは置いておく。
リーゼロッテがプレゼントしてくれた青のドレスは、金髪がよく映え、エクステも良いものなのか、地毛の輝くキューティクルに負けずに馴染んでいる。
これなら誰もエクステとは気付かないだろう。
ドレスのふんわり感を楽しみたくて、アタシはまたクルリと回った。
「ウフフ。ありがとう、リーゼロッテ」
嬉しさに思わず顔がゆるんでしまう。
「ううん。とっても可愛い」
リーゼロッテも微笑む。
ドレスはアタシにとって、最高のプレゼントだった。
天にも昇る嬉しさよ!
リーゼロッテがソファから立ち上がり、アタシに右手を差し出す。
「さあ、一緒に出かけよう」
そうだったわ。
リーゼロッテのプレゼントはドレスだけじゃなかったわね。
本番はこれから。
初!
街へのお出かけ!
せっかく『最弱種族の竜槍者』と同じ世界観なのに、アタシはまだこの屋敷と近くの森までしか見られていない。
大好きなライトノベルの世界を見物出来るって、ファンからすればよだれが出るほどの興奮ものよ。
魔法なんかは前世を思い出した三日後に、魔力を使い果たすまで堪能し、ぶっ倒れた。
今、思い出してみると、その件も両親の軟禁決断に拍車をかけたのかもしれない。
熱が快復したと思ったらいきなり女言葉を使いだし、さらには魔力が尽きるまで魔法を使い続けたのよ。
狂ったと思われてもしかたない気がするわ。
でも、しょうがないじゃない。
魔法が使えるとなったら、誰だって試してみたくなるでしょう?
それが、ちょーっとやりすぎてしまっただけなのよ。
まあ、やってしまったことを今さらどうこう言っても、どうにも出来ないものね。
死亡フラグを避ける手助けになったと思えば、無駄でもなかったはず。
不毛なことを考えるのはよしましょう。
今は街へのお出かけが優先!
なかなか手を取らないアタシに、リーゼロッテが首を傾げてしまっているわ。
アタシはリーゼロッテの手に、自分の手を重ね、肯定の意思を示した。
リーゼロッテは花のつぼみがほころぶように微笑んだ。




