エピソード11:三人分の足跡
俺たちは日の出から少し経った頃に町を出た。
どうやらそれは、ドランの希望だったらしい。
他の誰の希望でもなかった。
というのも、出発して二十分もしないうちに、フェンリクがまだ半分眠ったまま歩いていて、危うく柵の柱に突っ込みかけたからだ。
「お前、俺より朝が苦手なんだな」
俺はそう言った。
その事実をかなり嬉しく思っていることは、隠すつもりもなかった。
「俺は生きてる奴の中で一番、朝が苦手なんだよ」
フェンリクがぼそりと言った。
「そこだけは誇りに思ってる」
俺はこいつ、好きだな。
よし。
これで少しは楽になりそうだ。
その旅で最初の本格的な衝突が起きたのは、昼頃だった。
といっても、魔物でも盗賊でもない。
わざわざ誰かに話して聞かせるほどのことですらなかった。
食料だった。
「お前、俺の干し肉を食っただろ」
ドランが言った。
声は平坦だった。
手には袋が握られている。
朝の時点より、明らかに軽くなっていた。
「腹が減ってたんだ」
フェンリクはまったく悪びれずに答えた。
「お前、使ってなかっただろ」
「後で食うために取っておいたんだ」
「今がその『後』だろ。もう三時間も経ってる」
俺はこのやり取りを眺めていた。
自分には何の役にも立つ意見がなく、しかも絶対に口を挟むつもりのない人間だけが味わえる、あの独特の楽しさを感じながら。
ドランの目が、助けを求めるように俺へ向いた。
「俺を見るなよ」
俺は言った。
「俺は八歳の頃から自分の食料を節約してきたんだ。実年齢が八歳って意味じゃないぞ。子供の体に大人並みの知識があるとか、そういう八歳でもない。本当に八歳の頃からだ」
俺は胸を張った。
「だから今回は、この件から離れて見ている権利がある」
「それは正当な理由にはならない」
「俺が持ってる理由はそれだけだ。そして俺はそれを使う」
ドランはため息をついた。
何か、思っていたよりずっと面倒なものに参加してしまった男がつくような、そんな独特のため息だった。
そして、それ以上何も言わず、残っていた干し肉を三人分に分けた。
フェンリクは、あまりにも満足そうな顔をしていた。
これが、人がそばにいるってことなんだな。
大げさな出来事なんかじゃない。
ただ誰かが自分の干し肉を盗んで、それでも「まあ、これくらいなら言い争うほどでもないか」と思う。
そういうことなんだろう。
その日の夜、俺たちは早めに野営することになった。
主な理由は、フェンリクの朝の眠気がどうやら一日の始まりだけの問題ではなく、彼の生活全般に関わるものらしいと判明したからだ。
そしてドランも、半分眠ったまま歩いている人間を連れて、日が暮れるまで無理に進む意味はないと判断したらしい。
火を起こす。
夕食を済ませる。
そして三人で、長い一日歩き続けた後に生まれる、あの静かな時間の中に落ち着いていった。
俺は習慣的に、いつもの制御訓練を始めた。
手のひらの上に、小さく抑え込んだ炎を浮かべる。
その縁から、紫色の光がかすかに滲んでいた。
フェンリクはしばらく何も言わず、それを見つめていた。
そして、やがて口を開く。
「あれが、店主が見ていたオーラか」
俺は炎を見つめたまま答えた。
「そうだ」
「店主が、後ずさる前に見てたやつ」
「うん」
「それは何なんだ?」
来たか。
まあ、正当な質問だ。
「正直に言うと?」
俺は言った。
「俺にも完全には分からない」
手のひらの炎を消す。
「分かってるのは、それが混ざり合ったものだってことだ。基本的に、これまで俺のそれを見たことがある奴らは、誰一人として混ざるはずがないって言ってる二つのものがな」
俺は一度、言葉を切った。
「それと――かなり昔から生きていて、とんでもなく強い連中の中には、その混ざり合いが気に入らなくて、俺を殺そうとした奴らもいる」
手を握る。
完全に炎が消えた。
「それより先のことは、俺自身もまだ調べてる途中だ」
フェンリクは、それ以上追及してこなかった。
それがありがたかった。
ただ、ゆっくりと頷いた。
いつもの彼らしい、急がず、何でも一つずつ心の中にしまっていくような仕草だった。
「俺たち、二人とも似たようなもんかもな」
フェンリクが言った。
「自分たちが何者なのか、自分で決める前に、周りの連中に勝手に決められた」
……ああ。
そうだな。
たぶん、俺たちは似ている。
「そうかもな」
俺は答えた。
「理由は違うけど。形だけ見れば、同じなのかもしれない」
一方、ドランは何も尋ねなかった。
ただ、すでに十分鋭い刃物を、何度も何度も研ぎ続けていた。
宿屋にいた頃にも見た、あの習慣的な動作だ。
それでも、俺には分かっていた。
ドランは聞いている。
俺たち二人について何かを、自分の中にある静かな帳簿に、一つずつ書き込んでいるのだろう。
「そのうち、全部話すつもりなのか?」
ドランが、顔を上げずに尋ねた。
「そのうちな」
俺は答えた。
「別に、お前たちを信用してないわけじゃない。ただ……その一部はまだ――」
俺は言葉を探した。
「重いんだ」
それが一番近かった。
「知り合って一週間半くらいの二人に、全部まとめて投げつけるよりは……少しずつ渡していきたい」
「そうか」
ドランはそれだけ言った。
そして、それ以上は何も聞かなかった。
あっさりと。
まるで、それが当然のことみたいに。
自分自身の信頼を勝ち取ってきた人間っていうのは、そういうところがいい。
今日、全部を話してもらわなくてもいい。
それでも、お前と一緒に旅をする価値があるかどうかを決められる。
その夜、俺は荷物を枕代わりにして横になり、ゆっくりと燃える焚き火を眺めていた。
隣では、フェンリクがすでに小さな寝息を立て始めている。
炎の向こう側では、ドランがいつものように警戒を解かず、静かに座っていた。
明日は、二人分じゃなくて――三人分の足跡が残る。
小さなことだ。
……なのに。
なぜだろう。
俺には、それが小さなことには思えなかった。




