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トロイメライ
このエピソードはとても短いですが、作品の中で大事なところになります。
琴音の初恋が、ただの夢でなく、これからの物語へ静かにつながっていく場面です。
琴音は眠りについた。
けれど、雫が枕に滲んでいた。
川のせせらぎの音が残っていた。
寝息がようやく聞こえてきた。
「今日は夕日がきれい。あそこの野原に横になろう。ああ、今日も試験の結果が悪くて先生から怒られた……私って馬鹿なのかな……昨日、あれだけ勉強したのにね。まあ、いいか……よし、頭の休憩、休憩」
「どうしたの? さっきから独り言を言って」
「ええ……聞いていたのですか」
「ああ、鳥のさえずりが聞こえてね。君も可愛いね」
「じゃあ、私が鳥なら肩の上にとまってもいいですか? そこからなら夕日がもっときれいに見えます」
「じゃあ、ほら、僕の肩にのせるよ」
「駄目です」
「どうして?」
「恥ずかしいですし、私は重いですよ」
「だって、君が僕の肩にとまりたいと言っただろう」
「いえ……」
琴音ははっと目が覚めた。
初めて出会った時の夢だった。
川崎先生の優しい笑顔が頭から離れなかった。




