伝承と現実の違いです1
翌日…
ロッカーに果たし状が入っていた
「…」
そっとゴミ箱に捨てようとしたら後ろから馬鹿二人が現れた
「楓にラブレター?そんなの僕許さないよ楓は僕の…」
おもいっきり渾身のちからをこめて殴った
月夏は隠し事ができない
ゴミ箱に捨てるより燃やした方がいいかもね
塵も残さず中身も見ずに燃やした
だって、校舎裏に来いとか昔からあったことだからね
放置放置。
今日はシルクスがギルドに呼び出されて私一人の登校
仙人のところに行って授業サボタージュだわ
座学はカイルさんに教わったから別に行く必要性を感じない
「シルクスに怒られるのではないかのう…」
「学院で習う座学はカイルさんが事細かく教えてくれたしそれ以上の知識も叩き込まれたから平気。逆に一人でいた方が危ないから院長の所で鍛練した方がいいってさじーさまシルクスから全幅の信頼を受けてるね」
羨ましい
多分私の事を考えてくれての事だっていうのは分かるけどやっぱり信用されてないんだなあ
まあ、仕方ないよね昨日襲われたばかりだもんピリピリするよね
あれ?でも、勇者が居るってことは魔王も居るってこと?
「じーさま、魔王って居るの?」
「…いきなりなんじゃと思えば創世記に魔王は居なかったろうに」
「うん、でも友好の神が創世記に同じ立ち位置立ったはず」
「ふむ、カイルの言った通り頭は回転が速いのう鈍いわりには」
それが院長の答えなら間違いなく今回の騒動に王家が関わってくる。
創世記に確か友好の神子が王家になった経緯は友好の神が一番強い人を作ったからだったはず
「じーさま、友好の神子は封印の鍵なの?」
もし私がわからない創世記の既述があるとすれば友好の神が封じられていると考えるのが妥当だ
他の神子もそうなんじゃないだろうか
勇者はまあ、器として神子の力を受け入れる為に選ばれるんじゃなかろうか
「…一人では封印は解けないのじゃがのう、神子が友好の神に命を捧げるのが封印を解く友好の神子の役目じゃ。」
「…もう一度封印するには全神子の力を勇者に集めて勇者自ら鍵となる必要があるんだね」
「ほんに鋭いのう…加護者は神子の力を最大限引き出すための鍵じゃ」
「私は本来戦神と癒し神の二柱の子供だよ?私が、例えばシルクスを復活させたいと思ったらどうなるの?」
「…神の子が降りてきたことがないからのう…前例がないものはなんとも言えん」
ああ、暗殺者さんが王家に使えてる意味がなんとなく分かった
友好の神子を友好の神の封印を解く為に捧げるのに、王家の手は汚したくないから創世記の頃は暗殺ではなく神官みたいな役割を担っていたんだよ…
それが時代と共に他の仕事…王家に仇なすものを駆除して来たのが今の暗殺者さんのお仕事なんだ
封印を解かなくちゃいけない事になっていなかったから王家に友好の神子が生まれ続けている
「シルクスは二柱の神子でしょ?その場合私も手伝って戦神と癒し神の力を受ける器として負担減らせるかな?」
「勇者にその気はないだろう」
いつの間にか後ろにいたシルクスに思わず飛び退いた
「居るなら居るって言って!」
「無理だろうお前の力が流れてるんだ気づけないと思うぞ。言おうとしたら学院長に黙らされたし」
じーさま…
じっと見てるとそ知らぬふりをしてきっと私の驚く姿を見て楽しんでるんだな…
「友好の神子は死ぬ気はないだろうな。むしろ勇者と結婚したくて堪らないんじゃないか?自己犠牲の精神はないと思うがあの神子には」
「そうだけどさ、あの神子を王族が封印解くのに無理矢理あの暗殺者さんを使う事だってあるでしょ?」
少し考えながら私はシルクスの言葉を待った
「他国が攻めてきた時と言うことか?」
「そう、創世記の時代に出てくるのは二人の神子、だから他国にも神子はいるような気がする」
そう、記録に残っていたのは友好の神子は二人
一人は冒険心が強く山を越えていったと書いてあった
なら友好の神子は他国にもいるということそいつが攻めてこない保証は何処にもない