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前世に飽きた魔王の孫、世界に首を突っ込む 〜退屈だから全部かき回す〜  作者: 暇凡人T
二章 冒険者始動編

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その78 久々

 俺たちと風王龍が睨み合い、微妙な沈黙が流れていたところだった。

 風王龍の視線が逸れた。

 瞬間、風王龍の顔色が変わった。

 その視線は、翔を見ていた。

 少し離れた場所にいた翔に、今さら気づいたらしい。

 俺に、龍の気持ちなんかわからない。

 それでも、龍状態の翔としばらく過ごしたんだ。

 表情ぐらいは、少しわかる。

 口をあんぐりと開け、目を見開いている。

 あれは、驚愕している顔だ。

 

 それ以外にない。

 そして、風王龍は視線を戻す。

 その瞳には、憤怒と…憎悪が燃えていた。

 


 次の瞬間、未来予測が発動した。

 そこには、俺の目の前にいる龍がいた。

 それを見た瞬間、俺は刀を振りあげた。

 猶予は、一秒しかないから。

 時間がない!

 まだ風王龍は全く動いていないのに、俺は刀を振り下ろした。

 

 ガギィイン!


 耳障りな金属音が響く。

 今の今まで十メートルほど離れていた龍は、瞬きの間に俺と衝突していた。

 くッ…!

 衝撃が…重い!

 それに…


 ザクザクザクッ!!


 俺の体が切り裂かれ、至るところから出血する。

 コイツ、自分の周囲に魔法使ってやがる!

 攻撃は止めれるけど、これは無理!

 使うしかない!

 魔人化!

 急に、力負けして押されていたはずの刀が軽くなる。

 よし、パワーは勝ってる!

 ならこのまま…


 バサッ!


 押されているのに気がついたのか、風王龍は即座に空へと離脱した。

 チッ!

 逃げたか。

 しかし、早いな。

 体感時間大延長を持ってしても、見えなかった。

 引き伸ばされた時間は五倍以上のはずなんだけど…

 これ、前の風王龍より早いんじゃないか?

 魔法の強化のせいかも。

 まあ、負けるつもりはないけど。


 「行ってくる。」


 俺は、そう二人に告げて重力磁場を発動し、宙へと跳んだ。

 そのまま自分を無重力状態へと変化させた。

 ただ、このままだといい的。

 ・・・あれ、やってみるか。

 俺は足元の重力を操り、俺の足裏を反発させるような状態を作り出す。

 たぶんこれで…

 俺は、無重力を解除した。

 ・・・おお、立てるじゃん。

 なら、できる。

 もっと自由に、戦える。

 あのときの、カイルのように。

 風王龍が、翼を動かす。

 これは、来るな。

 俺は、跳んだ。

 そう、これはカイルの模倣だ。

 空中を蹴り、縦横無尽に戦うカイルの真似。

 空中で戦うには、これしかない。

 俺の真下を風王龍が通過する。

 そしてまた、今度は横に、さっきまでの重力状態を作り出す。

 で、跳ぶ。

 風王龍が気づいて追いかけてくるから、また跳ぶ。

 引きつけて引きつけて…いいところで反転!

 下に向けて跳ぶ。

 そんでこのまま…!

 抜刀!

 

 ガッギィィィィン!


 重力磁場で強化された運動エネルギーと魔人化が乗った攻撃は、さっきの音より大きな轟音を生み出す。

 だが、削れない。

 確かに首へと打ち込んでいるのに、負傷する様子がない。

 ・・・硬っすぎ───!


 バッゴォン!!


 俺は、一瞬で吹き飛ばされた。



 視界が回り、吐き気が出てくる。

 刀には衝撃が走った。

 それが腕まで伝わってきて、体が痛みに震える。

 懐かしい感覚だった。

 あのときと、同じだ。

 ・・・何が起きた!?

 俺は風王龍を見る。

 そこには、蛇腹のように波打っている鱗があった。


 「・・・あっ。」


 鏡鱗か。

 すっかり忘れてた。

 効かないわけだわ。

 久々だな、これも。

 鏡鱗の突破方法って…リミットブレイクと、鱗落としか。

 でもリミットブレイクは…

 俺は下を見る。

 そこには、誰かを後ろに隠しながら上を見上げるカイルと、魔法の準備をしている翔が見えた。

 その周囲は、魔物まみれだった。

 魔物はカイルたちでどうにかなるとして…

 リミットブレイクなんかしたら、百パー巻き込むね。

 鱗落とししかないな。

 久々だな、使うの。

 でも、鱗落としなんかできる隙あるか?

 ただでさえ早いのに、鱗を削ぐための攻撃入れる隙とかある?

 それに、あいつ風を纏ってて近づくだけでちょっと傷つくんだが。

 まあ、やってみるしかないか。

 俺は体勢を立て直し、また空中に立つ。

 すると。


 [スキル{跳躍}のレベルが上がりました。]

 [レベルアップ後のスキルレベルは、10です。]

 [スキル{跳躍}のスキルレベルが10になったことにより、スキル{跳躍}がスキル{空間跳躍}に進化しました。]

 [スキル{空間跳躍} を獲得しました。]

 [獲得したスキルのレベルは、1です。]


 久々にスキルが進化した。

 空間跳躍…?ってなんだ?

 まあ今はそんなこと考えてる暇ないか。

 俺はその場を蹴り、龍の方向へと移動する。

 そして、今立っている位置に、重力磁場を使おうとして…

 ・・・ん?

 重力磁場より安定した、硬い感触の足場。

 何故か、もう足場があった。

 これ、もしや…

 空間跳躍…?

 もしそうなら好都合!

 重力磁場を全部攻撃に使える!

 俺は空を蹴り続け、重力を進行方向に乗せる。


 「グオオオォォォン!!」


 だが、風王龍も向かってくる。

 それならと、俺は地面と並行になるように、体を捻る。

 そして、空中を蹴る。

 重力に逆らった方向へ跳んだ俺を追いきれなかったのだろう。

 風王龍はその場で止まった。

 今だ!

 その隙を、俺は見逃さない。

 風王龍の体の真横に出ていた俺は、すぐに刀を振るう。

 上手く鱗の間に滑り込ませたのを確認し、力いっぱい空を蹴り、重力をかけた。


 バリッ…バリバリィィン!!


 久々の、鱗の剥がれる音。

 それと同時に、俺のすぐそばを魔法が通り過ぎた。

 ・・・えっ?

 

 チュドォオン!


 なんの魔法かも見えないまま、それは轟音と共に風王龍に突き刺さった。

 黒色の煙が上がり、焦げた匂いがしてくる。


 「優樹!カイルさんが行かせてくれた!俺も手伝わせてくれ!」


 ・・・翔だった。

 ふわふわと飛んでいて、まさに風の精霊。

 どうやら風の魔法を応用して、ここまで飛んできたみたい。

 器用だな。

 翔が来たなら安心だ。

 

 「当然!援護は任せた!」

 

 久々の、本気の共闘。

 見せてやるよ。

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