その7 ポイ捨て、だめだと思います
「うーん。」
伸びをしてから起き上がる。
その動作はいつも通り。
だけど、起き上がったときに見たものは、いつもと違っていた。
「は?どこここ?」
思わず声が出た。
見慣れた部屋はそこには無く、その代わりに暗い岩場があった。
洞窟っぽいかな?
イヤ、なんで?
幻覚でも見てるのかな?
それなら分析でわかるはず。
やってみよう。
分析!
種族:魔族 マデル族
名前:ミリル マデリミア(矢島優樹)
年齢:2歳
レベル:1
経験値:0/20
満腹度:23/100
ステータス
HP:639/639 MP:500/500 SP:576/576
攻撃能力:1375 防御能力:543
魔法能力:500 速度能力:503
スキル
{HP回復自動化Lv5}{SP回復高速化Lv3}{神の声Lv10}{分析Lv9}{言語理解Lv10}{気配感知Lv3}{打撃攻撃Lv8}{闇攻撃Lv6}{呪い攻撃Lv1}{闇強化Lv4} {計算Lv5}{視力増強Lv9}{聴力増強Lv8}{闇耐性Lv4}{睡眠耐性Lv1}{生命力増強Lv9}{技力増強Lv7}{攻撃能力大増強Lv6}{防御能力増強Lv3}
魔法
なし
闘法
{命闘法Lv6}{技闘法Lv4}{体術Lv1}
修練結晶:0
別に異常はないかな?
いや、見慣れないスキルがあるな。
睡眠耐性。こんなスキルなかったはず。
眠らされていた?
たまたまの可能性もあるけどそんなこと考えてたら始まらない。
とりあえず眠らされていたと考えて、何のために?
決まってる。騒がれないようにするためだ。
え?やけに冷静だなって?
そりゃそうだろ。
気づいたら転生してて、それからも色んなことがあったし。
もうたいていのことでは取り乱さんよ。
もうこの話はいいよな?
じゃあ話を戻そう。
で、結局のところ俺はなんでこんなとこにいるんだ?
まあ、捨てられたってことだろうけど、別に貧乏な訳でもなさそうだったのに、なんで捨てられたんだ?
政治的な理由の可能性もあるけど、それだったら捨てたって言って殺せばいいよなぁ。
殺せない理由があったのかな。
事実として捨てられたんだし、いなかったことになってるはず。
なら生き残って自由に生きてやる!
で、だ。
なんか気配感知が反応してるんだけど、これ危なくない?
なんでかって?
こんなThe・大自然で?幼児が?野生動物に襲われる?
死ねるよね?
てことで、逃げ、ん?
待って。
よく見たら、ここ行き止まりじゃね?
どうしようどうしよう。
痛いのは嫌だなー。
食べられるんだったら美味しく食べて欲しいなー。
・・・現実逃避してる場合じゃねえ!
あーやばいやばい!
もうすぐ来る!
やってきたのは、デカいムカデだった。
いや、キショイ。
めちゃキショイ。
「ガグジュ、ククク!!」
うわ!
巻き付かれた!
痛い。痛い!
締め付けられてる!
「クッソ!」
何とか右腕だけ振りほどいて、打撃攻撃と闇攻撃、あと呪い攻撃をONにしてぶん殴ってみた。
殴った部分が爆散した。
いや、は?
はぁぁぁぁ!?
こんなことある?
俺殴っただけなんだけど。
・・・とりあえずトドメ刺すか。
ふんっ!
「ガ......」
[マデル族 ミリル マデリミア(矢島優樹)のレベルが上がりました。]
[レベルアップ後のレベルは、2です。]
[HP、MP、SPが回復しました。]
[各種ステータスが上昇しました。]
[修練結晶を獲得しました。]
お?
レベル上がった。
なんか出た。
これが修練結晶かな?
食っとこ。
レベル上がる前にえげつない衝撃があったせいで全然驚かねー。
で、まじでなんで爆散した?
ムカデが弱かった説もあるけど、それでも爆散するか?
弱かったにしては締め付けられた時に大分痛かったし。
ムカデの防御が低かったのか?
例えば、俺だと攻撃だけめちゃくちゃ高いし。
ん?それどっちもじゃね?
ムカデの防御が低くて、俺の攻撃が高すぎた。
それに打撃攻撃とかが加わって爆散したと。
多分、これが正解だろ。
混乱してたからわからなかっただけで簡単なことだったわ。
よし、じゃあムカデも殺したことだし、ここ脱出するぞー!
おー!
「ふへっ。」
何か間抜けな声が出た。
まぁでも理由はわかってる。
腹が減ったからだ。
何言ってんだ、って?
人間、腹が減ったら何もできないんだよ。
起きた時点でだいぶ腹減ってたのに、ムカデとの戦闘(?)で空腹度がやばいことになってきた。
なんも食べないと多分あと1時間位で死ぬ。
でも、食えるものと言ったらムカデの死骸だけ。
さぁ、どうする?
詰みだよこんちくしょう!
さすがに、このグロいの食うわけには、んー。
とりあえず、1口。
ガブ。
苦っ。めっちゃ苦い。不味い。
ちょっとでも油断したら吐く。
てかちょっと吐いた。
でも意外と耐えられる。
俺の味覚おかしくなったんか?
こんなん食べて即全部吐かないなんて。
この先ここ出るまでこういうのを食べなきゃならないとなると、味覚狂ってたほうがいいか。
また食べます。
苦い。
またまた食べます。
苦いけど、さっきよりマシ。
またまたまた食べます。
さらにマシになる。
食べる。食べる。食べ・・・食、あれ、もうない。
無心で食ってた。
ステータスを見ると、空腹度が回復してる。
腹は満たされたけど、何か大切なものを失った気がする。
クソデカいムカデ食うって人としてどうよ。
自由に生きるために、ある程度我慢しないといけないってことか。
まぁ、慣れるかなー。
腹も満たされた。
気を取り直して、脱出だー!
おー!
・・・やっぱ吐きそう。