その4 生きたいので強くなることにしました
加筆、修正版です。
かなり変わってます。
なんだ!?
なにが起きた!?
俺は音がした方を見る。
するとそこには、床に散った窓ガラスと…
フードを被っている、妙に存在感の薄い人がいた。
誰こいつ。
窓から入るのはどうかと思いますよー。
明らかに不審者な服装してるし、常識ないのかな?
俺もこっちでの常識はないけどさ。
「€£][!」
俺の側に立っていた怪物が、そう叫んだ。
そして、俺と不審者の間に入った。
なんだって?
よく見ると、不審者は短刀のようなものを持っていた。
え?
もしかして、ガチのやつ?
そして、見ていたはずの不審者が消えた。
どこに───
次の瞬間、俺の目の前に不審者がいた。
・・・え?
なんで、ここに?
短刀が、俺に迫る。
え、やだやだ…
死にたくない…
俺は体を動かし、なんとか逃げようとする。
だが、動けない。
体が幼すぎる。
せっかく、転生できたのに…!
誰か、助け…
ドゴォン!
もう目前まで迫っていた短刀が、俺の視界から消えた。
巨大なハンマーが、不審者を吹き飛ばしたんだ。
そして、その勢いで、不審者のフードの下が露わになった。
その不審者の顔は人間と違いがない…というか、人間の男そのものだった。
え?
この世界にも人間っているの?
てか、今のハンマーは?
俺はハンマーの方を見る。
すると、そこには筋骨隆々の角が生えた怪物がいた。
苦虫を噛み潰したような表情で、そこに立っていた。
こいつはなんだ?
あの人間をぶっ飛ばしたってことは、味方…なのか?
「$々€]『<£,〆…」
そう人間が喋り、また俺に向かってくる。
だが、怪物も動いた。
「+€※!」
怪物が叫び、ハンマーを振り下ろす。
グチャッ!!
鈍い、とても鈍い音が鳴る。
白かった絨毯が、紅く染まる。
すぐに、ハンマーが退かされた。
そこにいたはずの人間には…頭がなかった。
あの怪物は、一撃で相手の頭を潰していた。
その瞬間、充満する血の匂い。
うわ…グロっ。
赤ん坊にこんなもん見せんなよ。
まあ、でも。
助かった…
俺は安心して、体の力が抜けた。
この世界は、なんなんだろう。
人を殺しても普通のことのように振る舞って。
生まれたばかりの赤ん坊の命を狙って。
人の命をなんだと思ってるんだか。
・・・人が一人死んでるのにこんな落ち着いてる俺もやばいがな。
人としてどうかと思うわ。
もう人じゃないけど。
早くもこっちの世界に染まり始めてるのかもな。
まあ、そんなことはどうでもいい。
なんにせよ、こんな風に戦わなきゃいけない世界だとしたら…
強くならなきゃ、生きていけないと思う。
それなら、強くなろう。
この世界を、もっと見て回りたいから。
・・・とりあえず今後の目標が決まったな。
この世界で生き延びる。
そのために、強くなる。
スキルをゲットしつつ、ゲットしたスキルのレベルを上げる。
それで強くなれるのか心配だから、一応体も鍛えとく。
そういう方針で。
で、こいつは誰だよ。
急に現れて人を殺してさ。
俺はじっくりと怪物を観察する。
ここで初めて見る、男の怪物だ。
角の見た目は、あのベッドに寝転がってる女の怪物と一緒。
そしてたぶん、俺とも。
つまり…
俺の父親の可能性もあるのか。
じゃあ、暫定父親としておこう。
・・・こんな怪物の父さん嫌だけど。
いや、俺も怪物に転生したんだ。
怪物なんて呼ぶのはやめようか。
男、女とか特徴で呼ぼうっと。
「€€々『]、‘&,!」
「‘<*?€<*|;“*?」
「£々〒]”$〆『※<€!」
男(暫定父親)は荷物を置いて、ベッドで寝ていた女(暫定母親)に必死に呼びかける。
それに対して女は、緩慢な動きで男に応えた。
相変わらず何言っているのかわからん。
赤ん坊の俺の居場所がないよぉ。
[スキル{言語理解}を獲得しました。]
[獲得したスキルのレベルは、1です。]
お、新しいスキルゲーット!
言語理解か。
翻訳機能でもついてるのかな?
「え?※,’々?」
「き〆£“※じ&『=<ら$〒々_、ひ^”+・う。」
「ま$〒!£+ル&“{]ょ.『?」
「あ=、&”『※よ。」
うっわ。
一部日本語に聞こえる。
なんかちょっと不気味…
結局何言ってんのかわかんないし。
例えるなら…開発途中のAIみたいな?
まーこのスキルもレベル上げてくしかないか。
「よ&]〆…〒い』『.※な+\?=[に『}{,じ\$€。」
「い.“※〆な〒々・+ゃ…^&、{€せ』\$『う,。」
「わ〒$€^か』]>,が、々[※{の』£・=け〆<。」
「す『〆々、〒と.,※“き〒$\{い』。&+<く>・€£げ}^・_た、※。」
「か〒〆“『ま.£。」
しばらく俺の側にいた鱗の女は、男に何かを言われて礼をして出て行った。
この暫定父親の男、もしかして結構偉い人なのかも?
そんなことを考えていた俺は、男に持ち上げられる。
うげ。
抱き抱えてられてる。
気色悪い。
こんな、筋肉ダルマに抱かれるなんて…
「うあぁぁあ!ああぁぁ!」
精一杯の抵抗をしてみる。
たぶん無駄だと思うけど。
「げ々]£‘な,『、々〆つ〒』>+。」
やっぱり脱出できなかった。クソッ。
ん?
今…一瞬だけど俺の父親に睨まれた?
まさか、俺が転生者ってことに気づいてる?
・・・いや、それはない。
見た感じは完全に赤ん坊だろ?
仕草もわざわざ赤ん坊に寄せてるんだ。
バレるはずない。
多分、睨まれたのは気のせいだったんだろう。
さすがに普通の赤ん坊を睨むはずもないし。
ましてや自分の子をね。
しばらく時が経ち。
ガチャ!
勢いよく扉が開いた。
「ご>%^*か!?““€+ヌ_=!」
すると、大量の人がなだれ込んできた。
人って言っても、見た目はさまざま。
人間にかなり近くて、それでもどこか違ったり。
トカゲみたいな顔で、会話できるのか怪しかったり。
それでも共通してるのは、みんな俺の親であろうベッドで寝ていた女に、敬意を持っているように見えるところ。
見た感じ、上下関係があるみたいだな。
やっぱり、俺の親は権力者なんだろうか。
・・・まあどうでもいいか。
とりあえず、現状はただの無力な赤ん坊だから、まずは自力で動けるようにしておけば安心かな。
ハイハイを習得しないと…
「ミ*<+“は?$\>%す€?」
「だ|‘*=!も%、’^*い“^*$ん<^+。」
[スキル{言語理解} のレベルが上がりました。]
[レベルアップ後のスキルレベルは、2です。]
よし!
早速レベルアップ!
さて、どうなったかな?
「ま%か$^ま_ひ|€く“く=>は…こ+ご*;び_も$%ふ;し“€ほ\が++で^ょ=|?」
うん!
まだわからん!
こりゃ大変だぞ…?
まぁ改善してるだけましか?
・・・そうだ。
天の声に質問していかないと。
襲撃があったせいですっかり忘れてた。
まだ周りはバタバタしてるけど、無視して質問していこう。
そんな呑気な俺は、まだ知らなかった。
生まれた瞬間から、俺は歓迎されてなかった。
・・・邪魔者だったということを。




