その31 空間の裂け目
なんだ今の爆音!?
なにかが割れたみたいな…
ん!?
巨大蛇も頭にデッカい傷が出来てる?
HPもかなり減っている。
なんで?
翔が抵抗して傷つけたんだろうか。
まあHPは少なければ少ないほど戦いやすい。
長期戦になりづらいからね。
てか、引き寄せは成功したけど、翔は遠ざけられたかな?
もう見えない距離ではあるけど。
わからないことが多すぎる。
とりあえず、翔のいる方角と巨大蛇の間に立とう。
移動した先で、不思議なものを見つけた。
これ…なんだ?
まさに空間の裂け目みたいな、割れ目みたいな…
例えるなら…何もないところが裂けて銀河が見えてる、みたいな?
ちょっと説明しづらい。
とりあえず、鑑定!
空間の裂け目:強力な負荷がかかって空間が裂けたもの。裂ける瞬間に周囲にとても強力な次元属性の衝撃が発生する。その後も自然に修復するまで影響を及ぼし続ける。
んん?
ひとまず巨大蛇の傷の原因はこれっぽい、けど、なんで出来たんだ?
かなり危険なものみたいだけど。
まあ、巨大蛇の鱗貫通してダメージ与えてる時点で危険なのはわかる。
出来た原因なんて考えても仕方ない。
これには近づかないようにしよう。
さぁ。
もう一度、巨大蛇と戦おうか。
でも、もう重力磁場は使えない。
オーバーヒートした。
今頼れるのは自身の体と、魔人化のみ。
勝てるかは…わからない。
正直、十中八九負ける。
でも、これはやらなきゃいけない戦いだ。
「すぅー、はぁー。」
行くぞ!
まず狙うは、あの頭の傷。
あそこならある程度、鏡鱗がないはず。
さすがに頭を両断すれば…死ぬよね?
剣を構え、走り出す。
すぐに巨大蛇の近くに辿り着く。
尻尾で薙ぎ払われるが、俺は既に跳躍している。
それに当たることはない。
傷を狙って、思い切り、剣を、振り下ろす!
ガギン!
弾かれた。
ちょっと狙いが浅かったか?
それもあるだろうけど、単純に頭の防御が硬いと考えてもいいかも。
どっちにしろ、繰り返し攻める以外に選択肢はない。
・・・頭を下げてもらった方がやりやすいな…
よし、引き寄せるか。
重力磁場で、って使えないんだった!?
完っ全に頭から抜けてた!
最近は、重力磁場に頼りすぎてたのかもしれない。
その上、格上、どころか同格との戦いも少なくて感覚が、ってやばい!
これじゃ、ただ敵の目前で隙を晒しただけの人だよ!
ドゴォン!
あっぶな!
巨大蛇が頭で突っ込んで攻撃してきたが、ギリギリで回避に成功する。
ん?頭で突っ込む…?
攻撃できるじゃん!
すぐに剣を振る。
波動!からの一閃!
ガギン…ズガァン!
どうだ?
魔孔眼でじっと見る。
灰色の閃光…つまりは重力属性の色が見える。
咄嗟に、俺は防御姿勢を取る。
ドッッガァァン!!
俺の体がゴミのように吹っ飛ぶ。
「ゴッフッ──」
壁に打ち付けられ、思い切り血を吹く。
「はぁ、はぁ…」
た、助かった。
さっきもこの攻撃で気絶したんだろう。
もし、今の攻撃、防御してなかったら…
・・・考えたくもない。
てか、また重力の向き変わってるな。
横向き重力に。
このままだとアイツのとこに行く手段がないんだけど。
・・・いや、その心配はないみたい。
巨大蛇が俺の視界に入る。
あっちから来てくれた。
すぐに攻撃を仕掛ける。
思いっきり跳んでからの空中で、抜刀波動!
ガギィン!
なんか…この方が頭は狙いやすいな。
上下移動が楽だからかな?
あと、波動のおかげで攻撃が届かない、なんてことがなくていいね。
今後は、全部の攻撃に波動が発動するようにしておきたいな。
ん。
また重力の方向が変わった。
下向き重力に戻ってしまった。
しかも、かなり強い。
動けはするけど…
頭を狙うのは難しくなった。
どうすれば…
別の場所狙ってみるか?
さっきまで攻撃してた胴体の傷狙えるかな?
もうそれ以外に選択肢はない気がする。
それでいこう。
とりあえず、地鳴剣!
地面が破壊され、大量の土が舞う。
これで目眩ししつつ接近。
俺は魔孔眼でくっきり見えるからね。
目的の場所へ到着する。
多分ここが傷のはず。
通用するかわからないけど、思いっきりいこう。
今使える、ありったけの強化スキルを使って!
剣を全力で振り下ろす。
ガギギィン!
ぐっ、案の定弾かれた…
もう、魔人化のタイムリミットも迫ってる。
決着をつけないと…
でも攻撃力が足りない…
なにか、攻撃力を上げる手段はないのか?
どんな代償があってもいい。
ここで勝たないと…翔に顔向けできない!
・・・あ。
いける…のか?
いや、でも…
・・・やるしかない、か。
よし!
「あそこ」まで走れ!
見つけた!
空間の裂け目!
あれを利用できれば…
空間の裂け目のすぐそばに行き、俺は深呼吸する。
「すぅー、ふぅー。」
決意を固める。
俺は、剣を右手で握り締め──
右腕を、裂け目へ突っ込んだ。
「痛ッッッッッ!!!」
リミットブレイクの痛みが生易しく感じるような激痛が走る。
「ぐぅぅぅぅ…ふっ!」
苦痛に耐えながら、腕を裂け目から出す。
その腕と剣は、青く、煌びやかに発光していた。
「はぁ、はぁ。」
腕が、痛い。
でも目論み通りなら、これで相当攻撃力が上がるはず…!
周囲に、あんな強力な衝撃を出すんだから、裂け目自体に相当な攻撃力があると見て、腕を突っ込んだんだ。
その攻撃力をこの身に纏えないか、と思って。
こっちにもダメージがくることぐらいわかってた。
・・・けど、まさかこれほどとは…
ここまでやったんだ。
巨大蛇にも多少は効くはず…!
リトライだ!




