その11 最後の主
死骸だらけの中、俺はまた敵を見つけた。
シルエットしかわからないけど、かなり歪な形をしている。
気配感知にはアイツ以外の反応はない。
あいつがこの地獄最後の魔物だ。
あれだけいた魔物を俺1人でシバいたと考えると、なんとも言えない気分になる。
途中からは退屈な作業だった。
最後にアイツを仕留めてここを脱出しよう。
アイツは多分まだ俺に気づいてないと思う。
だから、先制で一発でかいのをぶち込みたいんだけど。
何をするか。
・・・フル強化して突っ込むのが良くね?
雑だけどそれがいいか。
とりあえず魔法で武器作ろう。
素手で突っ込むのはイヤだ。
闇剣!
魔力目一杯注いで、完成!
よーしこれで行くぞー。
ちなみに闇剣は闇魔法のレベル上げたら使えるようになりました。
フル強化!
突撃ー!
うおおおおおおー!
ドッパァン!
よし!
上手くいった!
けどこいつ何?
なんか色んな生き物の体の一部が生えてるんだけど。
まあそんなことより、これでかなりダメージが入ったはず。
鑑定してみるか。
種族:魔物 キメラスライム
進化ツリー
名前:なし
神名:冥主
年齢:56歳
レベル:29
経験値:345/1560
満腹度:39/100
ステータス
HP:427/427 MP:4596/4596 SP:1572/1572
攻撃能力:2135 防御能力:209
魔法能力:5284 速度能力:1263
スキル
{MP回復自動化Lv8}{SP回復自動化Lv3}{神の声Lv7}{魔力知覚Lv8}{魔力制御Lv9}{気配感知Lv3}{打撃攻撃Lv5}{激流攻撃Lv1}{酸攻撃Lv7}{水大強化Lv1}{酸強化Lv3}{念操作Lv3}{聴力増強Lv5}{触覚強化Lv6}{打撃耐性Lv8}{水耐性Lv9}{酸耐性Lv5}{魔力大増強Lv1}{技力増強Lv5}{攻撃能力増強Lv5}{魔法能力大増強Lv2}{速度能力増強Lv3}
魔法
{激流魔法Lv3}{氷魔法Lv1}{酸魔法Lv5}
闘法
{魔闘法Lv5}{技闘法Lv2}
修練結晶:80
スキル一覧表
魔法一覧表
闘法一覧表
得意属性・苦手属性
スライム!?
ノーダメ!?
しかも強!?
やばいやばい!
落ち着け!
・・・よし。
一旦全速力で離れた。
どういうこと?
どんだけ防御が高くてもダメージは入るはず。
それにアイツの防御はかなり低い。
本来なら一撃で終わっていたはず。
そのはずがアイツは生き残って、さらにノーダメージときた。
どこかにカラクリがあるはず。
鑑定結果をじっくり見てみよう。
まずは上から、キメラスライムを鑑定。
キメラスライム:スライムの変異種。核の周りに発生させた粘膜で死体の細胞を取り込み、粘膜に取り込んだ死体の組織を生成する。種族技能-粘膜生成、細胞吸収
なるほど?
それのせいでスライムに見えなかったのか。
スライムを鑑定。
スライム:グルメート大陸最弱の種。スライムの体は本体の核とそれが生成する粘膜で構成されており、核が砕けない限り粘膜は無限に生成することができる。
スライムは核を粘膜で守っているのか。
俺は粘膜を斬っただけだったからダメージが入らなかったんだな。
てかグルメート大陸ってなに?
グルメート大陸:別名魔の地。他の大陸より魔物が強く、ダンジョンも多い。魔族が多く暮らしている。
そうなんだ。
今はそこまで重要じゃないな。
今考えるべきことは、アイツをどうやって倒すかだ。
うーん、どうしようか、な!?
まずい!?
追ってきた!
集中してて目の前にくるまで気づかなかった!
スライムの形が変化、触手が出てくる。
ドプン。
取り込まれた!?
痛い!
これは、酸か。
早く出ないと、、、
・・・これなら出られるか?
行くぞ。
ズズッ、、、パァン!
よっし!
上手くいった!
これはこの地獄で殺戮してるときにゲットした、刀剣術Lv1、剣戟球。
周囲を一気に切りつける技だ。
これで脱出出来なかったら終わりだった。
ん?また来た!
ジャキン!
よし。
今回は取り込まれる前に対処できた。
うわ、いっぱい来た。
オラオラオラオラ!
うーん、どうしよう。
核の位置がわからんから攻撃を捌く以外のことができてない。
そもそも攻撃を捌く以外のことにリソースを割けない。
動きがまったく読めないからな。
威張って言うことじゃないって?
その通りでさぁ。
話を戻そう。
このままだとジリ貧だ。
そのうち俺が捌けなくなって、取り込まれて、その先は、、、
考えたくない。
でもなんか打開策がないとこの通りになるだろう。
俺の貧弱な脳みそだとなんも思いつかねー。
こんな時翔が居てくれたらなー。
ん?なんか一歩デカい触手が来てる?
まあいけるいける。
おりゃあ!
ドガガン!
「ガハッ!?」
硬い!?
潰れる!
痛い、痛い、痛い!
「ゴブッ。」
まずい。
もうHPとMPがほぼない。
HP無くなったら死。
MP無しだと魔人化ができないから脱出出来ても詰む。
それにこの体勢だと剣戟球も打てない。
詰んだかもしれない。
なんでだ。
今回は真面目にやったのに。
深く考えずに打ち合ったのが良くなかったのか?
イヤ、俺は最後まで足掻くぞ。
その意思を打ち砕くように、スライムがもう一本、巨大な触手を作り出し、無慈悲に叩きつける。
スライムが満足して触手を退かした時、そこには破壊の痕跡と、ボロボロになった闇の剣が残っているのみだった。




