表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世に飽きた魔王の孫、世界に首を突っ込む 〜退屈だから全部かき回す〜  作者: 暇凡人T
一章 迷宮編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/102

Y-その1 勇者の子供

 大きな城の中、一つ、沢山の人が集まっている部屋がある。

 全ての人が上品な服を着ていて、皆がかなりの地位にいることがわかる。

 そんな人々は、一人の子供を見るため遥々やってきた。

 そんなことある訳ないと言う人もいるかもしれない。

 が、遥々やってくる価値がある子供なのだ。



 「あれが勇者の子ですか。」

 「・・・どう思う?」

 「なんとも言えませんな。」

 「儀式の開始はまだか?」

 「もう少しのようです。」

 

 

 そんな風な声が山ほど聞こえてくる。

 まだ5歳の子供を舐めまわすように見るなんて。

 

 「これより、ユーリオン・ダルコ・ウェルネスの鑑定を開始する!」

 「ユーリオン・ダルコ・ウェルネス!壇上へ!」


 この城の主が子供に告げる。

 この場の主役の子供が壇上に姿を表し、止まる。


 「鑑定。」

 

 壇上に待機していたローブを着た男がそう呟く。

 俺は、その男が息を飲んだように感じた。

 男が天井から吊るされているスクリーンのようなものに近づいていき、そして触れた。

 スクリーンに何かが表示される。

 直後、周りが騒がしくなった。

 スクリーンに表示された子供の能力が桁違いだったからだ。

 俺としても驚いた。

 軟禁されてただけなのに、そこらの大人よりステータスが高いからだ。

 そう、この子供、ユーリオン・ダルコ・ウェルネスは、俺だ。



 俺には前世の記憶がある。

 日本という国で中学生をやっていた記憶が。

 いわゆる転生だ。

 でも、死ぬ直前の記憶だけがない。

 いつも通り授業を受けていたら意識を失って、目覚めたら転生していた。

 状況的に転生以外ありえなかったというだけで、最初は何が起こったのか全くわからなかった。

 だって、起きたら赤ん坊になっていたんだから。

 転生と気がついてもしばらく認められなかった。

 だって、俺はあの生活に満足していたから。

 自分が望んだ学校に行って、親友もいる。

 家に帰ったら家族がいて、まあ普通と言えば普通だけど、大切な日常だった。

 


 俺は変な世界に生まれた。

 ゲームみたいな世界だ。

 ステータスやスキルがあって、レベルを上げるためには生き物を殺さないといけない世界。

 この世界が地球と違うと気づいた時はパニックになった。

 だって、周りに誰もいないのに声が響いたんだから。

 そのうち理解できるようになったけど、俺がこの変な世界で生きていけるか心配だった。


 

 俺が生まれた国は、ウェルネス王国という国だ。

 どうやら今の俺は、この国の王子で、勇者の息子らしい。

 なのにほぼ軟禁。

 その代わりただただ教育された。

 何言ってるかわからないから、言語理解のレベルを頑張ってあげたんだ。

 そのおかげで、普通よりかなり早く喋れるようになった。

 勇者といえば、世界を救うためになんかしているイメージがあるけど、こっちの勇者もそんな感じらしい。

 魔物と戦って、魔族と戦って、人類の希望として生きていく。

 何回勇者の冒険譚を聞かせられたことか。

 お前も同じようになれと言わんばかりに、ね。

 そんな勇者、先代が戦死してから不在らしく、俺が勇者候補として注目されている。

 そのせいで最近は戦闘訓練しかしてない。

 まだ幼児なのに。

 転生しなかったらこんなキツいこともなかったはずなのに。

 ・・・なんで転生しなきゃならなかったんだ!

 転生なんかしたくなかった!

 俺のことをみんなが見てる。

 勇者の子として、もちろん後を継ぐのだと。

 期待されてるのはわかる。

 でも、過度な期待は期待される側からしたら害でしかない。

 俺には重すぎる。

 俺はただの中学生でいたかった。



 自分語りはこのくらいにして、式に戻ろう。

 この儀式は、鑑定の結果を周りの人に見せるという物で、注目されていて身分のあるものにしか行わないらしい。

 それも大体集めてやるもので、個人でやることは滅多にないらしい。

 今回は個人、俺のみでやっている。

 鑑定というのは才能のあるものにしか扱えないため、代々鑑定士をやっている家系のものに頼んでいる、ってさっき言ってた。

 さっきローブを被って俺の近くにいた人がそれだと思う。

 あの人がスクリーンに触れた瞬間に表示されていたしな。

 そういえばチラッとしか見えなかったし、しっかり見ておこう。

 えーと、何々?


 種族:人族

 名前:ユーリオン ダルコ ウェルネス(雪野洋平)

 神名:転生勇玉

 年齢:5歳

 レベル:1

 経験値:0/10

 満腹度:54/100

 ステータス

 HP:564/564 MP:786/786 SP538/538

 攻撃能力:732 防御能力:510

 魔法能力:1278 速度能力:547

 スキル

 {HP回復自動化Lv2}{MP回復高速化Lv4}{SP回復高速化Lv1}{神の声Lv10}{分析Lv1}{言語理解Lv10}{魔力知覚Lv5}{魔力制御Lv4}{気配感知Lv2}{打撃攻撃Lv1}{光攻撃Lv4}{光強化Lv5}{祈祷強化Lv1}{計算Lv7}{視力大増強Lv2}{聴力大増強Lv3}{味覚強化Lv4}{触覚強化Lv3}{光耐性Lv4}{睡眠耐性Lv1}{集中力増強Lv3}{魔力増強Lv6}{技力増強Lv3}{攻撃能力増強Lv6}{防御能力増強Lv1} {魔法能力増強Lv8}{速度能力増強Lv2}

 魔法

 {火魔法Lv1}{光魔法Lv7}{祈祷魔法Lv3}

 闘法

 なし

 修練結晶:0

 スキル一覧表

 魔法一覧表

 闘法一覧表

 得意属性・苦手属性


 スキルは予想通りだけど、ステータスがこんなに高かったなんて。

 最近はステータスを見ていなかったから驚いた。

 

 「静まれ!」

 

 ざわついていた周りが、静かになった。

 さすが、この国の王だ。

 

 「これにて、ユーリオン・ダルコ・ウェルネスの鑑定を終了する!」

 

 これで終わりか。

 なんかあっけなかったな。

 壇上から降りて出口へ向かう。

 ・・・視線が痛い。

 

 

 「ユーリオン様、威厳のある御姿でした!」

 「さすが、人族の希望となる御方!」

 

 自室に戻った瞬間、そんな声をかけられた。

 

 「威厳なんかなかったと思うけど。」

 「いえいえ、先代勇者様も霞むような凛々しいお姿でしたよ。」

 

 ・・・これはきりがないな。

 この人は乳母のスアン。

 元々冒険者だったらしいけど、生まれた時にはもう俺の側にいて、教育は大体この人にされた。

 元冒険者ってこともあって、護衛の役割も兼ねている。

 このままだと会話が進まないので、話題を変える。

 

 「そんなことより、何か進展はあった?」

 「それが、、、全く進展がない状態でして、、、申し訳ありません。」

 「いいよ、元々薄い望みだったし。」

 「いえ、必ず見つけ出して見せます!」

 「それなら、9歳以上でもいいから探してくれ。」

 「承知いたしました。」


 そうか。

 俺以外に転生した元クラスメイトが居ないか探してもらっていたんだけど、見つかってないらしい。

 まあその方法が、9歳以下で神名を持っていて、神名に「転生」が入っている、って条件で探してもらっているから見つからないのも無理はない。

 だから、9歳以下の条件を外してみてもらう。

 仲間がいないのは寂しいから。



 この世界には、「俺」を理解してくれる人はいないんだろうか。

 元の世界には沢山いたのに。

 この世界では、勇者の子供としてしか見られていない。

 それがたまらなく辛い。

 俺は将来勇者、人族の希望として生きていかなければいけないんだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ