K-その1 転生
岩田翔君視点です。
今後からたまに他視点が入るようになります。
読み飛ばさない方がいいと思います。
人より大きいトカゲとその2倍程の大きさの蟻が争っている。
この光景を見た優樹はどんな反応するんだろう。
困惑するかな。傍観するかな。
明らかに不利なトカゲを応援してくれるかな。
最初は困惑するかもしれないけど、優樹なら傍観していられる訳ないから、どっちかを応援するか、俺が想像できないようなことをするかも。
時々、優樹は俺にはできないようなこともやってしまうから、、、
なぜこんなことを考えているかというと、現実逃避だ。
どうしてこんなことに、、、
意識を取り戻したとき、俺はトカゲになっていた。
しばらく放心した後、色々考えた結果、優樹に貸してもらった本で読んだ転生というのがしっくりきたのでとりあえずそう考えていくことにした。
どうやら洞窟にいるっぽいので、とりあえず進んでみると、ツルハシのようなものを発見。
ツルハシに握った跡があって、それから考えると俺は人間より大きそうだった。
さらに奥に進んで行くと、巨大蟻とばったり会ってしまった。
逃げようとしたら先回りされて、噛みつかれた。
蟻デカ過ぎるだろ。俺簡単に食われるぞ。
こんなでかい蟻地球上にいなくね?
・・・ここ地球じゃないな、ってそんなこと考えてる場合じゃない!
痛い!
食われる!
でもどうすれば、、、
優樹ならどうする?
抵抗するだろう。
でも、暴れたら後で怪我をするかも
いや、暴れなかったら、死ぬだけだ!
死にたくない!
「ガアアアァァァッッ!!」
なんか威嚇できた。
でもこれで離れるような奴じゃない。
抵抗するしかない!
俺も噛みついて首をブンブン振ってみる。
苦い。まずい。でもやるしかない。
ブチッ!
噛み切れた!
「キシュゥゥウゥ!」
巨大蟻も離れた!
逃げたいけど、逃げられる気がしない。
殺すしかない!
よし、やろう。
覚悟が決まった!
「グガアアァァァッッッ!!!」
威嚇しつつ巨大蟻の目に向かって走る。
まだこの体に慣れてないから遅いけど、精一杯の速度で。
なんか爪が鋭そうだから引っかくことにした。
いくぞ!
ザクッ!
「キシャアァァァァッッッ!!?!」
指が刺さってしまったけど片目潰した!
一旦離脱。
戦ってて思ったけど、この蟻はそんな強くない。
でかいだけで、固いわけでもなく、力が強いわけでもない。
その証拠に、噛みつかれたとき死ぬほど痛くは無かった。
だからたぶん、やれる!
蟻の急所は知らないけど、とりあえず脳を潰せばなんとかなるはずだ。
頭を狙おう。
さっき潰した右目の方から攻めよう。そっちは見えないだろう。
走るのにも慣れてきた。
次で仕留める。
「ガアァッッッ!」
走る。
「キシャアァァァッッッ!」
巨大蟻も大アゴを全開にしながらこっちに向かって来る。
でも、ここで素早く右に行けば!
ガチン!
すぐ横で思いっきりアゴが閉じる音が聞こえた。
あれを食らってたら危なかったかもな。
「キキキシュゥゥ?」
よし!混乱してる!
今のうちに!
跳ぶ。
ビュン!
は?
なんかめっちゃ高く跳べた!?
まあ、いい。
このまま重力に任せて!
うおおおおおぉぉぉぉぉ!!
「ゴグアアアアアアアァァァァァァッッッッッ!!!!!」
「キシュ!?」
グッサァ!
「キッシャアァアァァアァァァァァァッッッッッッ!!?!?!!?」
腕を思いっきり潰した右目に突っ込んだ!
このまま奥まで突っ込んで暴れる!
メキメキゴチャグチャ!
「キシュッシャアァァッ!シャアアッァァァァァァァァァ、ア、ァ。」
蟻はビクビク動いていたが、それもだんだん収まっていった。
やったのか?ツンツン。
・・・よっしゃあ!
俺は腕を引き抜いてガッツポーズをした。
と同時に、脳に声が響いた。
[スキル{神の声}を獲得しました。]
[獲得したスキルのレベルは、1です。]
[今後、スキル{神の声}によるナレーションを開始します。]
[スキル{神の声}獲得以前のナレーションは、以下の通りです。]
[スキル{集中力増強} を獲得しました。]
[獲得したスキルのレベルは、1です。]
[風幼龍 なし(岩田翔)のレベルが上がりました。]
[レベルアップ後のレベルは、2です。]
[HP、MP、SPが回復しました。]
[各種ステータスが上昇しました。]
[修練結晶を獲得しました。]
[風幼龍 なし(岩田翔)のレベルが上がりました。]
[レベルアップ後のレベルは、3です。]
[HP、MP、SPが回復しました。]
[各種ステータスが上昇しました。]
[修練結晶を獲得しました。]
戦闘直後で興奮状態だった俺の頭は、何が起きたのかわからなかったから聞き流してしまった。
普段はこんな無茶なこともしないし。
おかしくなっていたんだ。
落ち着いてきたころ、聞き流してしまったことを後悔しつつも、考えてもしょうがないとも思ってしまったから、聞いたことは直感に任せて行くことにした。
考えずに行けるほど俺は直感で生きてないけど。
そう、優樹とは違うんだ。
優樹。
俺はまだ生きてるぞ。
優樹もこの世界に来ているのか?
それなら、生きて会おう。
生きて会って、今度こそお前を助けて見せる。




