第九話
クーちゃんと五尾は、四つ目のエリア、三体目の最後の中ボスがいる広間の手前に居た。
「準備は良いか?」
五尾が聞くと、クーちゃんは頷く。
二人は、広間に入って行くと、巨大な木彫りのクマ人形が突然現れた。続いて、壁から大量に通常の大きさの木彫りのクマ人形とクマ頭人形が現れ、クーちゃんたちと巨大な木彫りのクマ人形の間に布陣する。
げ。そう言えば、一回目の時もそうだったよな。
クーちゃんは、雑魚の多さに辟易している間に、戦闘開始と同時に五尾は颯爽と巨大な木彫りのクマ人形へ雑魚モンスターを倒しながら、接敵する。
クーちゃんは、無理をせずにまず、雑魚モンスターを次々とやっつけていく。
いくら攻撃力が増したとは言え、巨大な木彫りのクマ人形の攻撃を五尾の様に避けられる訳ではない。大きな隙ができるのを待つしかない。
しっかし、二刀流は楽しいな。雑魚が次々倒せて良いや。
クーちゃんは、雑魚退治を楽しんでいた。そのおかげであっさり雑魚が減って行く。
すると、巨大な木彫りのクマ人形は、雑魚を召喚するための溜めに入る。
クーちゃんは、チャンスとみて、突進コンボを決めた後、連続攻撃をする。二刀流による連続攻撃である。かなりのダメージを与えた。
クーちゃんは、一斉に出て来た雑魚がクーちゃんたちに迫ってくるので、雑魚を倒しながら巨大な木彫りのクマ人形から離脱する。
すると、もう一度、巨大な木彫りのクマ人形は、雑魚召喚の溜めに入る。クーちゃんは慌てて、巨大な木彫りのクマ人形へ突進コンボを決め、連続攻撃をする。
クーちゃんは、片手で雑魚を倒し、片手で巨大な木彫りのクマ人形を攻撃した。
五尾は、ただひたすら、雑魚の攻撃を避けながら、巨大な木彫りのクマ人形を攻撃し続けていた。
巨大な木彫りのクマ人形が雑魚を再び召喚する。雑魚が再び殺到する。クーちゃんは再び雑魚を倒しながら離脱する。
しかし、巨大な木彫りのクマ人形は、反撃せずに再び溜めに入る。
「ピンクリボン。気を付けろ。今度の溜めは、炎の玉の攻撃だぞ」
クーちゃんは、辺りに大量に雑魚がいることを確認すると、巨大な木彫りのクマ人形へ突進コンボを決め、連続攻撃をする。
すると、カンカンカンと言う音がすると、巨大な木彫りのクマ人形が徐々に透明になり、消滅する。
「やった~。勝った!」
しかし、まだ、気を抜けなかった。巨大な木彫りのクマ人形が召喚していた雑魚が大量に残ったからだ。
「せっかく、勝てたのに。水を差す奴らだ」
クーちゃんと五尾は、雑魚の掃討をする。
雑魚を掃討すると、広間に安全地帯が発生した。その安全地帯には、再び宝箱が置かれていた。
クーちゃんの五尾は、安全地帯に入って行く。
「この宝箱。何が入っているんだろう。性能の良い防具とか入っていると、次のエリアで役に立ちそうなんですけど」
五尾は、短く鼻を鳴らす。
「罠はないようだぞ」
五尾は、淡々と言った。
クーちゃんが、宝箱をあげると、鉄パイプが出て来た。
「な、なんで鉄パイプなんだよ」
五尾は、鉄パイプに分析の魔法をかける。
『
アイテム
延長用鉄パイプ 両手用武器の鉄パイプと繋げて使用可。 すべてのヌイグルミに使用可能。
このクエスト内のみ 有効
』
「これって、攻撃範囲が広がるってことですかね?」
五尾は、延長用鉄パイプをじっくり観察する。
「お前が今使っている片手用鉄パイプには繋がらないぞ。両手用鉄パイプに繋げて使うようだ」
これって得なのか? あまりお得とは思えないのだが。
「二刀流で戦うのと、どっちが良いと思います?」
「考えるまでもないだろ。二刀流の方が良いに決っている」
「やっぱり、そうだと思ったんです」
「とりあえず、俺の鉄パイプに繋げて使ってみるか」
五尾が持っている鉄パイプを地面に置くと、その隣に一直線上になるように延長用鉄パイプを置く。
五尾はそれぞれを前足で触ると一本に繋がる。
五尾は咥えて、鉄パイプを振回してみる。
「うん。悪くない。このまま使ってみるよ」
五尾は、端から三分の一ぐらいの位置を加えて、鉄パイプを振回してみる。
「悪くない」
「なんか。ただでさえ、強い五尾さんがさらに強くなった見たいです」
「まだ、本番で使っていないので、分からないが、威力は変わらないと思うぞ」
クーちゃんは残念がる。
五尾は、しばらく休憩すると、新しい武器の使い心地を確認すると言って、先に行ってしまう。
クーちゃんは、回復のため、まだしばらくジッとしている必要があったので、帰ってくるのを待っているとすぐに戻って来た。
「使い心地はどうですか?」
五尾は少し考え込む。
「可もなく、不可もなくだな。使いこなすにはもう少し練習が必要のようだ」
少しは、強化されたと思ったけど、大丈夫だろうか? 俺は強くなったと思うけど、五つ目のエリアで通用するほど強くなったのかな。
「不安か?」
ポツリと五尾が聞いた。
「そ、そんなことはないです」
「なら、良いけどな。お前の持ち主も、近々には殺される心配はない。一度や二度の失敗は気にするな。この辺での戦闘はピンクリボンにとって、かなり経験値が入るはずだ。何回やり直すことになっても、損んじゃないはずだ」
「お言葉ですが、俺はすこしでも早く愛奈ちゃんを助けたいんです」
「気持ちは分かるが、失敗してもリキャストタイムしか日本では経過しないないんだぞ」
クーちゃんは、黙ってしまう。
「クリアできるのに、ワザと失敗しろと言っているじゃない。失敗を恐れるなと言いたいんだ」
「それは分かっています。でも、メカメタルクマに二刀流が通用するかどうか、心配なんです」
「心配するだけ無駄だ。やってみないとわからん」
「それは、そうですけど」
「なら、五つ目のエリアに行ったら、メカメタルクマと一対一で戦えるようにしてやるから、戦う練習するか?」
「お願いします」
クーちゃんと五尾は、五つ目のエリアへ到着する。
一回目に来た時と同じで、入口から入るとすぐに、ちょっとした広場と、床も壁も真っ白の迷宮になっている。
すると、三体のメカメタルクマが現れた。
五尾は、三体ともあっさり倒す。
「確か二撃入れないと倒せなかったのに、一撃で倒せるようになったんですか?」
「いや。ちゃんと見ろ」
五尾は、 延長用鉄パイプを装着する前は、短い鉄パイプの端を口で咥えていたが、今は、全体の三分の一ぐらいの位置を咥えている。
五尾は、長い方で一撃、短い方でトドメを差すコンボをやっていた。五尾がとても早く微妙な動きをしていたので、クーちゃんでさえ、一撃で倒したように見えていた。
「なんか五尾さんばかり強くなって行くようだ」
「安心しろ。お前もちゃんと強くなっている」




