第七話
四つ目のエリアの最後、五つ目のエリアへ行く入口へ到着する。
入口は、向こう側を見通せないが、ぽっかり穴が空間に開いているように見える。
クーちゃんと五尾は二人一緒に中へ入る。
ちょっとした広場になっていて、四つ目のエリア同様、床も壁も真っ白の迷宮だった。唯一空だけが青白かった。
「最後のエリアも迷宮のような場所ですね」
クーちゃんが言った。
「だが、モンスターはあんな変な感じだぞ」
体全体がメタルボディのクマが三体居た。
クーちゃんは驚きで動きが止まる。五尾は速攻で三体の方へ向かっていく。
五尾でさえ、鉄パイプで二撃与えないと倒せないので、今まで通り一撃と言う訳には行かなかった。
「とりあえず、安全地帯がそこにある。入るぞ」
五尾と一緒にクーちゃんは安全地帯に入る。
「メカメタルクマは、動きは速くないが、装甲が硬い。そして今のところ弱点がわからない。そもそも弱点はないかもしれない」
クーちゃんは、背中に冷や汗をかく。
「俺は、ここで通用するんでしょうか?」
クーちゃんは不安になって聞いた。
「四つめのエリアのモンスターは、鉄パイプで弱点を突ければ、一撃で倒せた。今回はその弱点がないみたいだ。突進コンボ自体は通用するだろうが、倒すために何回攻撃する必要があるのかで、難易度が上がるな」
クーちゃんはより一層不安になった。
「まずは、試してみる事だ。ピンクリボンはちゃんと強くなっている」
怖気づいている場合ではないと思い、気分を奮い立たせる。
「俺はマップを確認する魔法を使う」
「突進コンボが通用するか試したいので、メカメタルクマと戦っても良いですか?」
「魔法を使っている間はフォロー出来ないぞ」
「構いません」
「なら、疲労が回復したら行ってこい」
五尾は、呪文を唱え始める。
安全地帯からちょっと離れた場所に、メカメタルクマが三体現れた。
一体だけなら良かったのに。仕方ないやってみるか。
クーちゃんは一番右端にいるメカメタルクマに突進攻撃をする。鉄パイプから、激しい反動があったが、そのまま突進で離脱する。クーちゃんの背中があった空間にメカメタルクマの爪が空を切った。クーちゃんは振り返り、もう一度、突進のスキルを使って攻撃する。そして離脱する。
「まだ、ピンピンしてるよ。効いてるのかな」
クーちゃんは、もう一度突進攻撃をしようとしたら、別のメカメタルクマのタックルを受けてしまう。
気が付くとクーちゃんは、泣いている愛奈に抱きしめられていた。
俺、メカメタルクマに不意打ちを食らって倒されたんだ。折角、五つ目のエリアまで行けたのに。悔しい!
クーちゃんは、一人寂しく泣いている愛奈をどうにかして助けたい気持ちが強くなる。
落ち込んでいる場合者じゃない。愛奈ちゃんを助けなくちゃ!
クーちゃんが再び観念投影世界の自分のコンソールルームに戻って来ると、やっぱり五尾が待っていた。
「すみません。俺のせいでまた失敗して」
「気にするな。クエストはまだ受注できる。またチャレンジするんだろ」
「もちろんです」
クーちゃんは、コンソールを早速操作する。
今回のチャレンジでどのぐらい経験値が入ったのか確認すると想像以上には、経験値が入っていた。と言っても、四レベルへのレベルアップは遥かに遠い。しかし、朗報は突進スキルのスキルレベルが上がっていた。突進しているときの最高スピードのアップ、ほんの少しだが、方向のコントロール、突進中の攻撃などの行動の精度が向上したことが分かる。
「ジミーに成長しているだろ。その地味な成長がピンクリボンを強くするはずだ」
「ありがとうございます」
「出発の準備をしろ」
クーちゃんは、クエストへの準備を整えると、出発する。
クーちゃんと五尾は、途中、回収できるアイテム等を丁寧に集めながら進み、あっと言う間に四つ目のエリアに入って直ぐの安全地帯まで来る。ここまで休みナシで来たので、五尾が魔法を使うのと、クーちゃんの休憩も兼ねている。
「ピンクリボン。訃報が一つある」
「な、何すか!」
クーちゃんは身構える。
「四つ目のエリアの中ボスがすべて復活している」
「そ、そんなあ。あんなに苦労したのに」
クーちゃんは心底ガッカリする。
「今度は、もっと積極的に中ボスを攻撃してみるか?」
「え。良いんですか?」
「良いも、悪いも、少しずつでも、目標を高くして行かないと、成長できないだろ」
クーちゃんは、嬉しい気持ちもあるが、巨大な木彫りのクマ人形に炎の息を吹きかけられたのを思い出し、身震いする。
「肝心な戦い方だが、巨大な木彫りのクマ人形の隙を見つけたら、突進コンボで攻撃し、必要に応じて離脱する。今までと同じだ」
「結局同じなんですね」
クーちゃんは苦笑する。
「巨大な木彫りのクマ人形の主な隙についてだが、三つある」
三つもあるのかと、クーちゃんは意外に思った。
「一つ目は、誰かが標的となって集中攻撃をされているとき。この場合は、突然標的が変わる場合もあるので、一撃入れたら、必ず離脱すること。隙がもっとあるように見えても初めの内は、一撃入れたら必ず離脱すること」
クーちゃんは、苦笑しながら受け入れる。
「二つ目は、雑魚モンスターの召喚の溜めているとき。この場合が、一番の隙だ。溜が終わったら、雑魚モンスターが殺到してくる。その雑魚モンスターのいる方へ離脱する。仮に追撃があっても、雑魚モンスターが盾になるかもしれない」
「なるほどー」
「三つ目は、炎のブレスを吐くために溜めているとき。この場合は、巨大な木彫りのクマ人形の背後側へまわり込みながら連撃を繰り返す。炎のブレスを吐き終わるまで離脱しない。吐き終わったら離脱する」
「え。ブレスを吐き終わってから離脱するんですか?」
「ブレスは近距離にいる方が避けやすいからな。ブレスを吐き終わったら、次の行動にうつるから、こっちは先に離脱するんだ」
「なるほど」
「後は、戦い方だが、突進一回分ぐらいの位置で待機、正確には、雑魚モンスターと戦う。そして隙が見えたら攻撃だ」
「雑魚との戦いも突進コンボ使っているのにですか? 難しすぎるような」
「だから、練習する価値があるんだろ。そして、できるように成れば、確実に強くなれる」
クーちゃんは自信なさげにしている。
「初めから出来なくても良い。それに、最後のエリアも一回でクリアするのは難しいだろう。と言うことは、ここの中ボスも何度か戦うことになるだろう」
クーちゃんはウンザリした顔をする。




