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「え? 何か手段があるんですか?」


 リーリルの師匠に妙案があるらしかった。


「ああ、本当ならこんなにも親身に相談に乗ってやる義理はねぇんだがな。なにせリーリルの紹介だ、無下にはできねぇ、普通はこんなにも構いやしねぇんだからな」


 ありがとうございます。


「その方法なんだが……剥ぎ取りギルドのマスターを訪ねるといい」


「剥ぎ取り……ギルド?」


 よく分からないワードが飛び出してきた。


「なるほど、確かにここまでくればそれが一番早いかもしれませんね……」


 リーリルさんもご納得のようだった。


「あの、なんなんですかそれは。是非教えてください」


「ああ。実はこのナナカラ街には『剥ぎ取りギルド』っつぅギルドがあってな。まぁ言葉のまんまなんだが解体を専門とするギルドだ」


「え……ギルドって冒険者ギルドとは違うんですか?」


「あんだおめぇそんなことも知らねぇのか?」


「ガンバさん、ピースさんはこの街に来たばかりで常識が抜けてる部分があるんですよ」


「はぁ、変わったやつだなぁ」



 呆れながらもリーリルの師匠は俺に詳しい所を教えてくれた。



「なるほど……つまりギルドは何個も種類があって、その中の一つってことなんですか」


「そうだな、因みに冒険者ギルドは頂点中の頂点だな、国をまたいで運営されてるこの世界最大の独立機関だ」


「へー」


「剥ぎ取りギルドは結構最近できたんだ。ギルドを発足させるには領主の認定が必要なんだが、少し前に要請が通ったみてぇだ。俺たちも今はそのギルドに所属してる」


「リーリルもか?」


「はい」


 ほえー、そんなことになってたんだ。


「ギルドができたおかげで、解体業が街全体に認められるようになっていって、かなりやりやすくなった。ギルドマスターには感謝してるよ。まぁまだギルド自体はこの街にしかねぇが、いずれは他の街にも進出していくみてぇな話はしてたな」


「そうなんですか」


 この世界に関する知識が一つ増えた。




「じゃあそのギルドマスターさんに頼めばなんとかしてくれるかもしれないということですね。その方は信用しても大丈夫なんですか?」


「ああ、問題ないと思うぜ。ひょうきんで知的で誰にでも優しい、完璧な性格をしてるからな。お前さんも少し話せばすぐに分かると思うぜ」


「私も会ったことがありますが、素晴らしい人だと思えました」


 リーリルも同感のようだ。

 マジか、そこまでの人なのか。

 ちょっと想像がつかないが、二人にそこまで言わせるなら本物なのだろう。


「分かりました、そこまで言うなら信じてみます」


「ああ。まぁお前の力を告白しても言い触らしたりなんかはしないだろうさ。それだけ信頼に足る人物だ。俺が紹介してやろう。しかしこの後仕事が入ってるんだがな……」


「あ、じゃあ私がお連れしますよ! ギルドには行ったことありますので」


「おう、俺の紹介だと言っといてくれ」


 トントン拍子で話が進み、何やかんやでリーリルから数珠つなぎ的にギルドマスターとやらに会えることになった。

 







「ここがそのギルドか」


 目の前には古くも大きな建物が待ち構えていた。

 木造のなんの工夫もないような建物で、唯一看板に『ようこそ、剥ぎ取りギルドへ』と書かれている。


「広場や地下空間もあるので、見た目よりも結構広いんですよ」


「そうか。まぁギルドマスターってくらいだから解体の腕もあるんだろ? 引き受けてくれるならとっとと依頼して即帰ろう。しかし肝心のギルドマスターはいるんだよな」


 ユイセと今後の打ち合わせみたいな予定もあるしな。

 あぁ何時からとか特に聞いてないから、もうすでに待たせてしまってる可能性もあるけど……まぁ細かく約束してるわけじゃないから、ひたすら笑っとけば大丈夫だろ。


「それは分かりません……とりあえず来てみたって感じなので。でも流石に誰かいるとは思いますので」


 それだけ言うとリーリルは扉の方に向かって進みだした。

 俺もそれを追いかける。

 なんだろ、この世界の女の子って結構ぐいぐい行く気がする……日本の閉鎖的な文化とはちょっと違うってことなのか。こういう姿勢から学ぶことは多い。


「すみませーん」


 中に入り、リーリルが声を上げる。

 入る前はてっきり冒険者ギルドのような広々としたエントランスが待ち受けているのかと思いきや、簡素な受付のようなものとテーブルが何個かあるだけだった。まぁ十分広いと言えば広いが。


「……誰もこないな」


「いないなんてことがあるんでしょうか。カギは掛かってなかったですし……」



 とん。とん。とん。



 すると奥の方から足音のようなものが聞こえた気がした。


「私ちょっと奥まで行ってきますね」


「いや、誰か来たみたいだぞ」


「え?」


 やがてその人物は受付の奥から姿を表す。


 その人物は男だった。

 割と年は取っていて、四十代くらいに見える。

 そして一番の注目は着ている服装だった。

 なんといえばいいのか、中華風の変わった装いをしていたのだ。


「…………」


 その人物はただただ物静かに、こちらを見つめてきている。

 え……こわ。


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