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 保冷ボックスを購入し、店を出た。


「ありがとうございましたぁ。またお越しくださあい」


 店員に見送られ店を出る。


 シュン。


 保冷ボックスを、異空間に収納した。


「おお……何度見てもすごいです」


「まぁめちゃくちゃ高かったけど、これがあるかないかでだいぶ違うだろ。多分牛一頭分はまるまる入るよな?」


「多分入りますよ」


 これで俺が解体場を往復する手間が少し省ける。本当はもっと買いたかったけど、予算が足りないからな、貯めてからまた買いに来よう。


「どんどん依頼を受けないとな。ちょっとやる気出てきたかもしれん」


「ピースさんて冒険者なんですよね? ランクはいくらなんですか?」


「ん? 俺か? Fランクだな」


「え? ピースさんがですか?」


「まぁな。まぁ俺の秘められた力は軽くSランクをも凌駕するだろうけどな」


「はぁ、まぁでもあながち否定できないところが流石ピースさんて感じです」



 その後俺達はだべりながら、ちょこっとだけ屋台で串焼きを買ったりしてギルドへと帰った。当然串焼きは奢ってあげた。

 串焼きは羊の肉みたいで美味しかった。羊の肉の味あんまり思い出せないけど。




 ギルドに帰った時には12時を回っていた。

 ギルドの建物の中には時計があり、確認できるのだ。


「暇だなぁ。依頼でもいくかー」


 俺は酒場の席にがっぽりと座りながら、足を組み天井を見上げる。

 残りの二匹の牛の解体は現在リーリルに任せている。

 解体が終わったら保冷ボックスに入れてもらうようにしてあるので、夕方くらいに一旦回収すればいいだろう。


「暇すぎる! 依頼を受けよう!」


 俺は依頼ボードの前にやってきた。

 この時間はギルド内に冒険者もそんなにいないので、ほぼ独占状態だ。まぁ何人か酒場の席で飲んだくれてはいるが……


「とにかくランクを上げてかないとなぁ」


 ランクを上げれば良い依頼を受けれるようになる。

 となれば沢山のお金を貰えるというわけだ。

 資金が増えれば、できることも増え、異世界生活がはかどる。こういう仕組みなのだ。


「流石はFランク……どの依頼も報酬しょっぱすぎるな……あれ? でもこのゴブリン討伐の依頼だけやけに高い……金貨二枚。かなりいいんじゃないか?」


 ゴブリン……異世界ファンタジーには欠かせないモンスターだ。

 ちょっと興味もあるし、サクッと狩ってくるか。


 俺は依頼を剥ぎ取り、受付まで行った。


「すみません、これ受けたいんですけど」


「はい、えーっと、ゴブリン討伐、ですね」


 担当してくれた受付の子は、これまた見たことない眼鏡の子だった。


「これだけ妙に報酬が高かったんですが、どういうことなんですか?」


「ああ……これはですね……」


 受付嬢はなんだか微妙な顔つきになった。


「ああ、やられちゃったんだよね!」


 その受付嬢の横から見慣れた受付嬢が飛び込んできた。


「ちょ、ちょっと、ヴィヴィ」


「この前というか、確か二週間くらい前だったかな? うちのギルドから討伐に向かったFランクパーティーがいたんだけどね。返り討ちにあって全滅しちゃったんだよ」


「えー、マジか」


 驚いた。死人が出てるのか。


「それで状況も分かんないから、危険度が高いと見なされてちょっとだけ報酬が上がってるんだよね。そういやなんでEランクの依頼になってないんだろう? その予定じゃなかったっけ?」


「……たぶん現状はやつらが特に悪さとかしてないからだと思う……ゴブリンは一体ごとでみれば人間の子供くらいの強さなんだけど、頭のいいリーダーを持つと途端に統率力が上がって厄介になるの。今回もそのパターンかも」


「なるほどな。でも報酬が良いってのなら受けてみようかな」


「えぇ!? ピースさんがですか? 無理無理、一人でどうにかなるような相手じゃないですって。そういや昨日の牛乳牛の依頼って結局どうなったんですか?」


「余裕だったよ」


「え……ほんとにクリアしてきたの?」


「面白そうだし受けてみるよ」


「まぁ正直いわくつきの依頼ですので、片付けてくださるというのなら助かります。でもピースさん……でしたっけ。お一人で受けられるんですか?」


「まぁ俺からしてみたら大抵のやつは足手まといだからなー」


「凄い自信だ……こんなに自信がある人を見たことがない」


 俺の適当なセリフに戦慄する眼鏡の受付嬢。


 まぁゴブリンだろ? 流石にそんな奴らにやられてるようじゃ、異世界ファンタジーは務まらないよ。


「まぁ見といてよ。俺の成り上がりを目撃する第一人者になれると思うよ」


「……なんか凄いですね……。でもなんででしょう、微妙に頼りになる感じがしなくもないような」


「えぇー、キリノってピースさんみたいな人が好みなのー?」


「はぁ? 何言ってるんですかっ、そんな感情覚えた覚えは――」


 ほっぺを引っ張り合っていた。


「何の話してるの?」


 そんなところにさらに見知った顔が登場した。


「あ、ユイセさん」


「実は……」






「なるほど……被害が出てるとしたら厄介かもね。ゴブリンは人が思う以上に狡猾だから、戦闘経験を積むと学習しちゃうのよね……」


「そうやってDランクの依頼とかにまで上り詰める群れもありますもんね」


「うーん」


 ユイセは顎に手をやり考えていた。

 そして、


「よし分かった。その依頼、私が受けるわ」


「は!?」



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