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 少し歩くと、中央大通りなる場所付近までやってきた。

 確かに凄い人で溢れかえっている。

 屋台なんかも沢山並んでるぞ。ぷちお祭りかよ。


「いい匂いがしてきましたね」


「この街で有名な食べ物とかってあるのか?」


「有名な食べ物? さぁ、私はこの街から出たことないので分からないですね。でも大体のものは美味しいですよ」


 なんだそれ。というか俺もまだこっちに来てからこの街しか訪れたことないけど、世界の構造とかってどうなってるんだろう。やっぱり何個か大陸があって、国もいくつもあるのかなぁ。とういかここがなんて国なのかもよく分かんないわ。知らなくても支障ないから知る必要もないか。


「私もそこまで頻繁に来るわけじゃないんで、案内人が務まるかはちょっと微妙かもですが」


「ふーん」


 俺は歩くついでにその辺の屋台を軽く覗いてみる。

 果物を売ってるのか。えーっと、ピスレイツオ三個で300ドリア。うーん、分からん。


「いろいろ見てしまうとお腹が空いてきちゃいますね」


「なんか良いのがあったら買っても良いんだぞ?」


「いいですよ。私はピースさんと違ってお金持ちじゃないんで」


 いや、奢ってあげようかなと思ったんだけど……そういう文化ってこの世界にないの?



「こるらあああああああ!! 待てえええーーー!!」



 歩いていると、そんな声が聞こえてきた。

 見てみると、一人の男の子が野菜か果物をいっぱい抱えて走っているのが分かった。

 その後ろをおいちゃんが追いかけている。


 男の子はうまい具合に人を避けながら、まるでラグビー選手のように進んでいく。

 え、これってもしかして……。


「こら!」


 だが正義感の強い人が男の子の進路をを羽交い締めにしていた。


 すぐに複数人で取り押さえられる男の子。


「誰か衛兵を呼んでくれ!」


 にわかにざわつく現場。

 ああ……こりゃあれですかね。万引き的なあれですか。


「いやねぇ」


「あの汚い服、スラムの子よ絶対」


「なんで領主様はアレを放ってるのかしら」


「対策はしてるらしいぜ? でもどこからともなく湧いてくるんだそうだ」


 周囲の人たちの会話が耳に届く。

 えー、スラムの子なのか。この街にも闇の部分的なのがあるのかな。


「はは、困ったもんだな。リーリルもああいうのやったことあるのか?」


 冗談でリーリルをからかってみる。


「いや、今のところはまだないですが……でも、しょうじき気持ちは分かっちゃいますよ」


 慌てて見てみると、結構しょんぼりしていた。

 ええ!? なんで?


「もちろんああいう行為は絶対にやっちゃ駄目だとは思います。でもやらないと死んじゃう子達だっているわけで……まぁでもこんなのは絶対言い訳ですよね。自分でどうにかできないのが悪いんですよきっと」


 リーリルは笑っているが、笑っていなかった。

 俺にはそれが悲しい顔に思えた。


「でもアレですよね、ああいう子たちが増えると、私も間違えられちゃうかもしれませんね。服ボロボロですし」


「い、いやいや! そんなことないぞ! リーリルはなんというか光り輝いているからな! 紫に!」


 おい、マジでどうフォロー入れたらいいんだよ。誰か本当に教えてくれ。


「まぁそうですよね。闇に呑まれてちゃ駄目ですよね。私もできる限りまっすぐ生きていこうとは思ってます」


「その粋だ!」


 ふぅ、なんだこいつ。微妙に深いんだよ闇が。やめてくれよ、なんかヒヤヒヤするからさぁ。



 と、ひと悶着ありながらも、街を歩くことしばらく。



 目的のお店まで到着した。


「ここですね。私も一、二年くらい前に来ただけなのでちょっと迷っちゃいましたが」


 店は中央大通りからほんの少し外れた場所にあった。

 まぁほんと徒歩一分くらいの外れ度合いだが。


 店の外観はなんだかおしゃれで高級そうに見える。

 紫の石みたいなのが看板に埋め込まれていた。


「『魔晶の原石ショップ』……か」


「保冷ボックスも多分あるとは思いますが、聞いてみないことには分かんないですね」


 ならば入ってみよう。


 チャリンチャリン。


 俺達は戸を開け中に入った。



「おお……」


 戸棚にはなんだか不思議な商品がいっぱい置かれていた。

 ぱっと見では使い方が分からないものばかりだ。


「ああ、これですよ」


 いきなりリーリルが見つけたらしく、そちらのコーナーに行ってみる。


「なるほど、これが保冷ボックス」


 それは確かに結構大きかった。

 というか色々なサイズがある。

 見た目はてっきり釣った魚を入れるようなクーラーボックス的なのを想像していたが、表面は木の繊維で編まれている感じの箱って感じの見た目だった。


「これが……12万8000ドリア?」


 一辺が1メートルくらいありそうな一番でかいやつはそんな値段がした。


「もっと安かったイメージがあるんですけどね……ちょっと聞いてみますか?」


 そう言ってリーリルが店員を呼びに行った。



「あー、そうですね。最近は魔晶石の値段自体が上昇傾向にありまして……とくに氷の魔晶石は一欠片でも相当な値段がつくんですよ。これでも他の店舗よりは良心的な価格にしてるつもりなんですがね」


 胡散臭そうな男の店員がそんな話をしてくれる。

 なんかピエロみたいな男だった。いや、化粧に失敗しているだけか? あまり深く考えたらだめなやつだろう。


「魔晶石ってそんなにするのか。どうやって入手するんだ?」


「我々は専門業者から仕入れているだけですので、細かいことは分かりません。ただ世界各地には魔力が溜まりやすい場所というのがあるらしく、その魔力が石に溜まり魔晶石が生まれるなどという話は聞いたことがございます。これも真実かどうかは分かりませんが」


 なるほどな。


 保冷ボックスの蓋を開けてみると、底の方に鼻くらいの大きさの水色の石が取り付けられている。これが氷の魔晶石らしい。中を触ってみると、結構冷たかった。


「魔晶石は魔力が切れれば当然効果を発揮しなくなります。効果を維持したければ、取り替える必要がありますね。このくらいのサイズですと、そうですねぇ。一年持てばいいほうかと」


 効果は永遠に持続するのか聞いたところ、そんな答えが返ってきた。

 そりゃ無限だったら最強だよな。


「うーん、どうしようか。高すぎる気はするけど、一応は買えるんだが」


「それはピースさんが決めることですよ。私にはもちろん手が出ない値段ですが」


 そうだなぁ。まぁ将来のことを考えれば…………

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