表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

18

「その保冷ボックスってどこかで買えるのか?」


「そうですね。でも値段は結構しますよ。魔結晶を使ってるものなので、そうポンポン買えるものではないですよ」


「えぇー、今の俺には絶対無理じゃん」


「もしあれでしたら私のを貸しましょうか?」


「え、いいの?」


「はい。仕事柄用意できますので。本当は依頼してくださった方のボックスに入れるべきなんでしょうけど」


 マジか。神だ……でも待てよ?

 そういや俺のアイテムボックス内って時間の進みどうなってんのかな……


 ワンチャン時間が止まってたりしない? むしろそういうやつだと思い込んでる節はあったんだけど……


「……なぁリーリル。今回切ってもらった牛の鮮度ってどうだった?」


「え? 鮮度ですか? いや、まぁ状態はかなりいい方だったとは思います。それこそ、まるで狩りたてホヤホヤって感じで」


「ああ、じゃあひょっとしたらそのボックスいらないかも」


 まぁもし万が一駄目になったとしても仕方ない。再三言うが肉なんてあくまでおまけだ。



 しゅん。



 俺は肉を亜空間に収納した。うーん、やはり触れないと無理らしいな。人差し指ぺと付きやっほいだ。


「え!?」


 それを見たリーリルが信じられないといった顔をした。


「多分俺の魔法は肉の鮮度が維持される。だからボックスは必要ないと思うんだ」


「し、信じられません……」


 リーリルは驚きの表情になっていた。

 やっぱりこういった魔法って普及してないのかな……


「今のも他言無用な!」


 でもそうなると他の牛乳牛を解体してもらうのも憚られるな……。ここでまた出したりしたら人目を引いてしまうだろう。そんなにレアな魔法なんだとしたら、目立ってしまうに違いない。


「他の牛乳牛の解体も頼みたかったけど、今は人が多い。今度にしてもらうよ」


「は、はぁ。分かりました」


「とりあえず肉を売りに行こう!」






 ということで、桶いっぱいに入った水で、切った肉を洗った後、俺達は解体場を後にした。




 空を見上げるとすっかり日は落ちて暗くなっていた。

 少し待っていると、リーリルがギルドの裏手から出てきた。

 服を着替えてくるのを待っていたのだ。

 今はきれいなワンピースみたいな服に変わっている。ちょっとボロい感じだけど。


「似合ってるねその服」


「え? い、いや、適当ですよ」


「そうだよな、適当が一番だよな。じゃあ早速案内頼むよ」





 リーリルの案内のもと、肉屋さんまでやってきた。



「ここかぁ」


 随分こじんまりとしたところだった。

 看板に『ぱぱっと精肉、ここしかない! バックル商店!』 と書かれていた。どういう意味?


「私の知り合いがやってるところなんです。早速入りましょう」



 俺達は中に入っていった。



 からんからんからーん。



 小気味よいベルの音が鳴り響く。

 中は結構清潔な感じだった。


「いらっしゃい!」


 奥の方からおばさんが出てきた。


「あら、リーちゃんじゃない! こんばんは。今日も売りに?」


「あ、こんばんは。そうですね。少しお肉を売りに……」


 リーリルは微妙な顔になっていった。


「分かったよ。それで、保冷ボックスは?」


「あ、えーっと」


 リーリルは俺の方をちらりと見てきた。

 そっか。ここは俺の出番だ。


「肉を持ってるんですけど、生のままなので。どこか取り出せる場所ってありませんか?」


「……?」


「あ、ララおばさん。実はこの方、えーっと……と、とりあえず見せれば分かると思うので!」


 凄く言い淀んでいた。

 可愛いなぁ。



 奥のスペースまで通してもらった俺は、切り分けて貰った肉をボンと取り出した。


「こ、これは……!」


 おばさんは目を見張っていた。

 まぁここくらいでなら魔法を見せても問題ないだろう。よくわからんしけた店の一つくらい大丈夫だ。


「他言無用でお願いしますね」


「す、すごい、今のは魔法かい?」


「まぁそんなとこですよ」


「はぁ……アンタ凄いね。今まで生きてきて初めて見たよ。長生きするもんだね」


 おばさんは簡単していた。


「とにかくこれを全部売りたいんですけど」


「分かった。査定するから少し待っていておくれ」


 俺は再び表のスペースに戻り、待つことにする。



「ピースさんて、その、凄いんですね」


 椅子に座ってぼうっとしていると、リーリルが話しかけてきた。


「え?」


「いや、私も初めて見た魔法だったので」


「そうなんだ。俺からしたら余裕で使えすぎて大したことない魔法だけど」


「す、凄いんですね……」


 本当にそう思ってそうな顔をしていた。

 紫の髪に、紫の瞳。

 ちょっと髪がボサボサで印象は下がっているが、結構可愛い方だよな。まぁ俺様ロリにはあんまり興味ないからあれだけど。どこかの神様は喜びそうだ。


「そう言えば俺も気になってたんだけど、リーリルはなんでこんな仕事してるの?」


「え? 私ですか? 私は……まぁこんな仕事しかできませんから」


「凄く手際良かったと思うぞ。向いてるんじゃないか?」


「いえ、必死にやってるだけですよ。私より上手い人なんてごまんといますし」


 ふーん、そういう解体業界みたいなのもあるのかな。マジで興味ないけど。たぶん誰も興味ない。


「儲かるこの仕事? 俺も今お金稼ぐために頑張ってるんだけど」


「ピースさんがですか? それだけ凄いんでしたら何でもできそうな気はしますけど……あ、でもこういった系のお仕事はやめておいた方がいいですよ。泥を啜っていくような感じですので」


 泥て……この子見た目の割に大人びてるよなぁ。でもだとしたらなんでこんな仕事してるんだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ