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 湖から這い出てきたのはナマズだった。

 ただ普通のナマズと違うのは、その巨体もさながら可愛らしい手足が四本生えているというところだろう。水陸両用ということか。


「え……なんかこっち見てきてない?」


 その巨大ナマズは顔と思われる部分を俺に向けてきてるような気がした。

 まだ距離は十数メートルはあるが明らかに警戒してる感じがする。


「あれも魔物なのかな……まさか攻撃してきたりしないよな? いや、こうなったら先制攻撃だ、エアカッター!」


 先に何かされても面倒だと思い、こちらから攻撃を仕掛けることにする。

 万が一他人に見られていてもいいように、それっぽい魔法を放った。まぁ空を飛んだりしてる時点で焼け石に水感は否めないけど……


 俺の放った風魔法がナマズに吸い込まれていき、ぱしゅんと突き抜ける。



 ずるずるずる



 ナマズは真ん中からきれいに真っ二つになり、内容物を吹き出しながら動かなくなる。


「うへー気色わりぃ……」


 魔物討伐は向いてないのかもしれないなどと思っている矢先、複数体の白鳥のような生物が空から振ってきた。

 そいつらは一斉にナマズの魔物に群がっている。


「え、なに、死骸漁りってこと? ってうおっ!」


 白鳥の一体が俺の限りなく近くを横切っていった。

 なんだよ、俺を警戒してるのかっ? 別にあんな気持ち悪いの取るつもりはないけど。お前らにあげるよ別に。



「キーン! キーン!」



 白鳥たちがやけに大きな鳴き声を上げたかと思えば、ナマズに何かが近づいているのが見えた。

 それは巨大なトラのように見えた。

 これまた体長三メートルはありそうなトラ型の魔物だ。



「ガルゥぅぅううう!」



 トラは威嚇する白鳥たちなどどこ吹く風で、ナマズの死骸を引きずりどこかに持っていこうとする。


 うおお……なんかよく分からないけど、これが食物連鎖ってやつ? 魔物も魔物でみんな必死に生きてるのか。



「キーン!」



 するとナマズの方は諦めたのか、白鳥の一匹が俺の方に突っ込んできた。

 げっ! マジかっ!


「バリア!」


 俺は反射で周囲に丸いバリアを展開する。

 いきなりで上手くいったか微妙だったが、白鳥がバリアに激突し鈍い音をあげながら、離脱していった。

 あ、アブねぇな。俺を獲物と見て突っ込んできたのか? 油断も隙もありゃしないな。俺の強さをある程度見せつけといた方がいいのか?



「エアカッター! エアカッター! エアカッター!」



 俺は風魔法を連発した。

 何発かが飛んでる白鳥に当たり、死んだのか羽をもがれたからか分からないが、地面に墜落していく。


 それを見たからなのか、白鳥たちは俺から遠のくようにどこかに行ってしまった。



「はぁ、なんとかなった。異世界ってこんな熾烈だったのか? そう考えると冒険者たちって結構命懸けなんだな」



 壁の外の過酷さをまじまじと体験させられた俺。

 もう早いとこ目的を達成して引き上げた方がいいのかもしれない。


「発動! 探知魔法!」


 俺は例の如く探知魔法を発動させた。

 いろいろあったが、ここまで予定通りだ。


 うーん……見える、見えるぞ…………一番近くにいるのは湖の中の生物か。魚みたいなのがいっぱい泳いでるな。しかも結構デカイのもいる? いや、牛乳牛は水の中にはいないだろう、こっちは無視だ。


 となると林の中の方に……うーん、狐みたいな生物はいた。大きのが一匹、小さいのが三匹、親子かな? うーん、他にも訳分からない生物が何匹もいるけど、どれも牛ではなさそうだなぁ……あれ? こいつら人間じゃね? 割りと近くを人間が通ってるぞ。四人組……こんなところを歩いてるから冒険者なのかな? 挨拶しといたほうがいいか? いや、そんなことしてる暇はない。牛を探さねば……



 その調子でどんどんどん広げていくが、牛という牛が一向に見つからない。

 嘘だろ、ひょっとして偽の情報を掴まされたか? いや、わざわざそんなことをする必要性もないだろうし……


 不安になりながらもめげずに探索範囲を広げていると、林を抜けた平原地帯に牛のような生物の反応をキャッチした。


「はぁ、流石にこれなんじゃないか? やっと候補を見つけたわ……」



 思えば牛が林にいるイメージはない。

 牛といえば牧場、平原だろう。


 こんなことにも気づかないなんて。俺はアホだ。



「空を飛ぶ!」



 俺は天空へと羽ばたいた。

 すいーっと軽く移動し、平原地帯へ。

 そこにいた牛の元までやってくる。


「おお、いるな。全部で……六匹か?」


 上空から適当に数えた感じそれくらいはいた。


 見た感じは普通の牛って感じだ。

 大人しく草を食べてる。



「よっと」



 近くに着地した。

 歩いて牛たちに近づいていく。


「流石にこいつらで間違いないよな。というか違ったとしてももういいや。これ以上探す気力は俺にはない」


 こいつらを探すだけでも大分苦労したんだ。

 いざとなればこいつらを牛乳牛と言い張ろう。異議を唱えるやつは問答無用で処刑する。


「もふ」


 近づいていくと、流石に牛も俺に気づいたようだ。

 うーん、明らかに普通の牛だな。まぁちょっとサイズはデカめか? 角が結構大きめなイメージはあるな。普通の牛がどんなもんか忘れたけど。


「まあいいや、エアカッター」


 俺は適当に魔法を放ってみる。

 結局風の刃を飛ばすというのが一番シンプルで分かりやすいんだよなぁ。

 まぁなんだって良いわけだけど、これで事足りてるんだからそれ以上考える意味も今はないって感じ?


 ズバン!


 風の刃は牛の首に吸い込まれ、そのまま切断した。

 赤い血を吹き出させながら、ぼとりと倒れ込む。あっけな。



「エアカッターエアカッターエアカッター! エアカッター祭り!」



 俺は例の如くエアカッターを連発した。

 牛たちも流石に警戒しているような気がしたが、それよりも前に俺の刃が全ての牛たちを切断し、牛たちの真意は分からなくなった。



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