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やさぐれ聖女は追放された  作者: ホットケーキモンスター


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18/31

その頃、神殿3

 結局、クラルスの秋は晴れる事無く、曇りのまま過ぎ、冬が訪れた。


 大神官は執務室の机で書類を見て難しい顔をする。


 ポーションの材料は質の良い物を輸入したし、聖女神官にも気を引き締めて仕事しろと伝えた。にも関わらず解決していない。特級ポーションの数は減ったままだ。


 問題はさらに悪化していた。ポーションだけでなく、神殿で製作する様々な聖属性アイテムの特級ランク品も減っている事が判明した。

 これは流石に異常事態だと、詳細を調べるよう命じた。その調査結果が、今目の前にある書類だ。


「この日付けから、特級アイテムが減っている…この日と、その前後に特に何かがあったとの報告はありません」


 その日付は秋の始めだった。

 執務室に調査結果を持ってきた上級聖女の中でも古株の者が言いにくそうに発言する。


「アレティリヤが追放された時期ですね……」


 大神官が目を見開く。


「まさか、アレティリヤが特級アイテムを作っていたと?あり得ない。彼女は魔力量が少なかったでしょう」


「そうですが……アレティリヤは大聖女様が亡くなる少し前から、施療院で傷病者の治療をするより、工房でアイテムを作成する仕事を多めにしてほしいと言い、工房に籠ることが多くなっていました」


 アレティリヤは人間相手が面倒になって来たので、そう要望した。それが受け入れられ当時彼女は驚いた。それは、「お前は魔力量少なくて施療院に居てもすぐ魔力切れして突っ立てるだけだろ、工房に籠って超低品質ポーションでも量産してろ。低品質でもポーションは需要あるからな」という差別的な考えで許可された事だったが、彼女は知る由もない。


「施療院で仕事をせず、工房でアイテム製作に専念していたから魔力が少なくても特級アイテムを製作できたと?」


「彼女の魔力のコントロールは先代大聖女様がお認めになる程ですから……」


「だからと言って、特級が量産できる訳がない。アレティリヤの魔力量で作れるアイテムの数は他の者より少ないのですから、例え彼女が本当に特級アイテムを作れたとして、作ったアイテムの中に特級が1つある程度でしょう」


 特級の量産は、大聖女となり女神の加護を受けて初めて可能になると言われている。


 聖魔法は本来、人に与えるべき魔法で無かったと考えられている。数千年前に与えられた四元魔法と違い、異次元から闇の魔法を使う魔の者達が現れて初めて人に与えられた魔法だからだ。

 聖魔法は神達が扱う上位の魔法で、人間には過ぎた力だと言う学者もいる。実際、聖魔法は四元魔法に比べてコントロールが難しい。学者はこれが証拠だと主張する。


 アレティリヤのコントロールが優れているとしても、加護無しで特級の量産など考えられない。


「しかし、現にアレティリヤが追放されてから特級アイテムが減っています」


 上級聖女の言葉に大神官は少し不快な顔をした。


「必ず他に理由があるはずです。さらに調査すれば……」


「大神官様」


 己より年上の上級聖女に諭されるように呼ばれ、大神官は黙る。


「アレティリヤを探し出し、アイテムを沢山作らせ、その場で全て鑑定すれば良い。それでアレティリヤが本当に特級アイテムが量産できるかがわかります」


 上級聖女は簡単な事だと言った。


 もし本当にアレティリヤが特級アイテムを量産できるなら、彼女を神殿に戻さねばならない。その場合ミネデアは大聖女候補のままでいられるのか、と大神官は悩む。


「大神官様、今は国の事をお考え下さい」

「……わかりました。アレティリヤの行方を調査するよう神殿騎士に命じます」


 アレティリヤを連れ戻す前にミネデアを大聖女にしてしまえば良いのだ。そうすれば、アレティリヤなど連れ戻さずに済む。大神官は早く行動せねばと焦りを感じる。

 ミネデアが大聖女となった際「本当は直接、先代大聖女様に選ばれた者で無いではないか」とクラルス国民に非難されては困る。アレティリヤは神殿に居ないほうが都合が良いのだ。


 神殿騎士より先にアレティリヤを探し出し、神殿に戻るなと釘をささねばなるまい。しかし、アレティリヤには目立つ行動を控えろ、つまりは元聖女と吹聴するなと命令した。簡単に見つかるだろうか。大神官は少々強引にでも調査する業者を秘密裏に雇う事にした。

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