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たどりびと ~記憶のかけらに触れる時~  作者: 和尚@二番目な僕と一番の彼女 1,2巻好評発売中
2章 揺らぐ煙の先に見つける心

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2章15話 戻った日常と、そして――


「なぁ、詩音」


「どしたの? 悠太」


 僕は放課後に悠太に呼び止められて、首を傾げる。

 あの後、悠太は消防署から改めて連絡を受けた教頭先生からも母親ともども謝罪されていた。

 僕は実際には何も出来ていないのだけど、それでもとても悠太の母親も悠太も感謝してくれて、僕はくすぐったくなったのだった。


「この間言ってた話、今度母さんが遊びに来ていいってさ!」


「え? ほんと? あまり友達の家に遊びに行ったりしたことないから嬉しい」


 そして、悠太の言葉に僕はそう言って思わず笑顔になってしまう。


「そうそう、まぁ仕事が休みの日になるけど、そしたらベイブレードとかしようぜ、詩音やったことないって言ってたし」


「そうなんだよね。楽さんがゲームとかは貸してくれるんだけど、ベイブレードって一回集め始めたらハマっちゃいそうで……」


「ハマっちゃだめなのか? あぁ、でもあれ結構高いからなぁ」


 僕の苦笑いに悠太は一瞬怪訝な表情を浮かべた後で、納得したように言った。

 同じく父親がいない悠太だが、僕よりもお金にシビアだったりする。家の事をしっかり手伝って、宿題などもきちんとしたらお小遣いが貰えるそうだが、そう言う意味だと僕は結構恵まれていたんだなと思う。


(お母さん……元気にしてるかな。ちゃんとご飯食べてるかな)


「どうした?」


「あ……ううん、大丈夫。じゃあ楽さんとおじいちゃんにもどこかで悠太の家に遊びに行くって伝えるね!」


 ふとしたことからお母さんの事を考えてしまって、悠太に首を傾げられてしまうが、僕が慌ててそう答えると。


「おお! 今から楽しみだぜ」


 悠太は安心したように、にっと笑って言った。


 ―――――つんつん。


 そんな風に二人で盛り上がっていると、僕の肩をつつく感触があった。


「「…………」」


 絵美と絵夢が、僕らをじーっと見ている。

 無言だが、物凄く不満そうだ。左手で触れるまでもなく、ひしひしと伝わってくる。


「何だよお前ら……あ、もしかしてお前らも一緒に遊びたいのか? ベイブレードやるか? ――――って何すんだよ絵美!」


 悠太の後半は、絵美に無言で肩を叩かれた反応である。

 それを見て、絵夢を見ると。


「……少しさ」


「うん?」


「急に仲良くなりすぎじゃない?」


「…………うん?」


 絵美の言葉に頷いて、続いた言葉には頷けなかった僕は首を傾げた。

 それを見て、全くもう、と絵夢が言うも。


「なるほど! 詩音が取られたから拗ねてんのかお前ら!」


「「悠太うるさい」」


 完全にハモった声で二人に突っ込まれながら悠太は笑って、僕もいつもはお姉さんをしている二人のそんな姿に笑みを浮かべてしまった。



 ◇◆



「はは、男にも女にもモテモテだな詩音」


「もう、楽さんからかわないでよ。でも悠太とも仲良くなれて良かった。楽さんと健一さん、茜さんのおかげだね」


「まぁあいつらにも伝えておくよ。それにじいさんもな、あちこち聞いてくれたみたいだしな―――――」


 帰ってから僕が楽さんに学校であったことを話していると、ふとズボンのポケットを気にした楽さんが言葉を止める。


「どうしたの?」


「いや、スマホが震えて……茜だな」


 そう言いながらスマートフォンを操作し始めた楽さんだったが、画面を見ながら途中で首を傾げて、そして僕を見た。


「……?」


「いやな……見せたほうが早いか。わからん漢字あるか?」


 そう言いながら、楽さんが隣に来て僕にスマホのやり取りを見せてくれる。


『(茜)楽ヘルプ!』

『(楽)どした』

『(茜)ちょっとおばあさんがね』

『(楽)もしかして調子崩したか? 大丈夫か?』

『(茜)そっちじゃなくて』

『(茜)詩音くんいる?』


 途中で少しわからないのはあったけれど、茜さんが困っていそうで、そして僕がいるかどうか聞いているのはわかった。


「えっと、僕が何か助けられるのかな?」


「だろうな……小学生が必要なのか、それとも――――」


 気軽に茜が詩音のそれを頼るとも思えねぇが、と呟きながら指を動かして茜さんに楽さんが返信する。

 僕としては、お世話になっている茜さんの助けになるならいくらでも使うつもりだけれど、一度鼻血を出してから楽さんは厳しかった。


 

 ――――でも、それが嬉しかったりもしたんだ。



「……なんかとりあえず来るみたいだな。まぁばぁさんが体調崩したとかじゃないならひとまず良かったが」


「うん、でもどうしたんだろうね?」



 ――――だから、このときの僕は、思ってもいなかった。



 そんな会話をしてからすぐに、玄関のチャイムが鳴って。


「ごめん詩音くん……ちょっとだけ、助けてもらってもいいかな?」


 その後に家に訪れた茜さんがそう言って、後ろにとても申し訳無さそうな顔をしたおばあさんと一緒に頭を下げているのを見たときも、僕はただ首を傾げるままで。 



 ――――この邂逅が元で、僕も、楽さんも、もしかしたら茜さんも、大きく状況が変わることになるなんて。






~ 2章 揺らぐ煙の先に見つける心  Fin ~



2025.01.07

新年明けましておめでとうございます。

ここまでお読み頂き感謝を。


本作は、次の章で完結予定です。

3章構成で10万字くらいで日常系を書こうと思っていて、中々いいペースなのではと思いつつ。ゆっくり書いていきたいと思います。

(10万字までは後2万5千文字しかないことからは目を逸らし……1万字くらい誤差ですよね)

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