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あれから


あれから二月が経った。

あれからと言うのは珍しくもない護衛の仕事をこなした時のことで、珍しくお仕事中に魔霧に遭遇した時のことで、見つかるのが珍しいダンジョンへの入り口を見つけた時のことで、珍しくもない賊に襲われて撃退した日のことだ。


珍しい事も。珍しくない事も。

同じ様に起きるという事は。それはそれが日常だと。そういう事だと思う。

日常というものは淡々と流れていく。

それは空に浮かぶ雲のようで。

ゆっくりと形が変わっていくから。その形が変わっていったとしても。

特に気にならないのかも知れない。



「目を閉じて 夜の(とばり)に 文字を書く メモパッド」


まぶたを閉じて、魔法でイメージしたメモ板を表示させる。

ここには「やること」を書いていて。ちょくちょく書き加えたり修正を加えたり。

今更ながら便利な魔法だと思う。



 ・「木札」を「メタルプレート」にする。←入手。その上のブロンズも入手。

 ・ビアンカとフロウラの装備を充実させる。←済。

 ・血蜘蛛を狩る。←済。ビアンカとフロウラが死にかけた。←もっと鍛える。

 ・破文詠唱を使いこなす。←取り組み中。

 ・神秘耐性を獲得する。←2年以内←まだ。

 ・ビアンカとフロウラに陣魔法を教える。←済。

 ・オンボロ小屋の修理と補強。←2年以内にやる。←まだ。←めんどい。

 ・練習用の丸太を用意する。←済。←ボロボロ。←済。←ボロボロ←済。

 ・ダンジョンに入る。←まだ。

 ・五剣の残り4つを習得する。←まだ

 ・ビアンカとフロウラを森歩きが出来るくらいに強くする。←1年以内←もうちょっと

 ・剣技を実戦でも使用できるようにする。←2年以内 ←まだ



やっぱりダンジョンへの入り口デフォルトゲートウェイを見つけた事が大きい。

プレートもブロンズにまでなったし。後日貰ったお金でビアンカとフロウラの装備も良い物が買えた。

概ね計画した通りだけど。

もう少しビアンカとフロウラは強くする必要があるかな。

でもギリギリの所を見極めるのって難しい。

血蜘蛛狩りの時は危なかったし。

前に聞いた「安全まーじん」と言うヤツが足りなかったのかもしれない。



「ぬるぽ」

―― ガッ

「あぅっ」



二人にやらせている「丸太への打ち込み」は少しづつだけど上達して来ている。

削れている部分の「幅」が木剣の刃の部分の幅にだいぶ近づいてきている。

もう少し削り取るような感じで打ち込むといいんだけど。

まあ、今はそこまでの期待は不要かな。

まずは、何度振っても同じ振りが出来るようにすることが大事な訳だし。

そろそろ「森歩き」の仕方を本格的に教えよう、



「今日もわたしの一日が始まる!」


訓練場から直接、水浴び場に行って。そこで水浴びを済ませる。

髪を魔法で乾かしながら、オンボロ小屋に戻る。

イイ匂いがするね。今日はフロウラの当番だけど、朝食は何だろう?


ふ~ん。鳥の焼いたヤツと……野菜の煮物汁か。

出汁は昨日の蜘蛛の残り部分で取ったんだね。

いいじゃない?美味しいよ。



食事を済ませたら直ぐに訓練だから。

だから食事中に話しておこう。


「二人には伝えておくことがあるんだよね」


別に訓練場に行ってからでもいいんだけど。

割と大事な話だったりするから。こういうのは座ってした方がいいらしい。

別にわたしは立ったままでも構わないんだけど。

そういうものだって言われているから。


―― い~い、ムラサキ……


頭の中でアオイ姉さんの声が流れかけたので、途中で中断させる。

だから分かってるってば。



「ハナ姉が王国の学校に入ったのは二人も知ってるよね」


ビアンカとフロウラが口の中に食べ物を入れたまま黙って頷く。

二人とも子リスみたい。


「わたしも来年は12才になるから学校に入るんだけど……」


その前に王都まで移動して向こうで色々と準備をしないといけないから。


「だからね。少し先だけどここを離れることになるから」


二人の方が1つ年上だけど。

学校に入るのはわたしの入学よりも1年後にするらしい。

三人まとめて入学ってのは準備が大変らしいのと。

それから二人だけで生活させようって方針みたい。

わたしが助けないでも森の中で狩りが出来るようにしないとね。

入学は12才~15才の年齢って事だから。

二人が13才で入っても遅いって事は無いらしいよ。


「だからね。それまでの期間で集中的に訓練やるから」


二人の訓練に付き合う為にわたしも。

町に行ってのギルドのお仕事も当分は少なくするつもり。

やったとしてもね。その日の内に終わりそうな採取関係のお仕事だけにするつもり。

泊りがけの仕事はやらない。

ちょうどブロンズのプレートを貰った所だから区切りもいい。

この上って事になると上級ランクってヤツになるから。



―― ゴクン……



子リスのほっぺがへっこんだ。

急いで飲み込まないで。よく噛んで食べなよ。

ところでさ。よく噛んで食べると寄生虫の予防になるって話はホントかね。

もっと小さいもんだと思うけど。

焼いたり煮たりした方が確実だよね。


「あとね。二人を町にも連れていくから。まだ行った事ないでしょ?」


ここに連れて来られてから。

ずっとオンボロ小屋と。この周辺を回っただけだったからね。

二人にとってはいつもよりも遠出になるけど。

馴れれば別に大した事じゃないから。


「あと……そうだ。ギルドにも登録しようね」


ギルドに登録して。その後色々として。それで学校に入って卒業すれば。

大抵の所で通用する身分証明?身元証明だっけ?

とにかくそういうもんが手に入るんだって。

大体、その為に学校に行くんだし。

別に勉強する為じゃないよ?

何て言うんだっけか。


「信用を手に入れる為……だったかな?」


成績っていう実績でもって評価して。日頃の生活態度でもって信用を量るんだって。

そうして王国が。

その人物に対して一定の証明のようなものを与えるらしい。



「ハナ姉が学校に行く前にそう言ってたけど……」


仕組みは分かるけど。狙いがよく分からない。

成績はともかく。日頃の生活態度なんて誰もが取り繕うと思うんだけど。

ヤバい人ほど隠すもんじゃない?

野盗が野盗っぽい恰好で日頃から生活している訳ないじゃん。

町の門番に止められちゃうでしょ。


「うーん……」


王都に行けば会えると思うから。今度ハナ姉に聞いてみよう。

あぁ、ごめんね。考え込んじゃった。

という訳だから。

そのつもりでいてね。二人とも。



この後の訓練でひたすらビアンカとフロウラをボコボコにした訳だけど。

以前よりも手古摺るようになったから。

ちゃんと二人も上達しているみたい。



まぶたを閉じて魔法を唱えて。そうして浮かび上がったメモ板の書き込みを修正する。


 ・ビアンカとフロウラを森歩きが出来るくらいに強くする。←1年以内←多分、大丈夫。


うん。多分ね。たぶん。

多分って言うのは「安全まーじん」って言うヤツだよ。

うん……うん?

そう言えば二人って。

別々に森の中を歩いたことって会ったっけ?


「ぁ……付け加えないと」



 ・ビアンカとフロウラを森歩きが出来るくらいに強くする。←1年以内←二人だと、大丈夫。

 ・ビアンカひとりで森歩きが出来るくらいに強くする。←新規追加

 ・フロウラひとりで森歩きが出来るくらいに強くする。←新規追加



メモパッドって。つくづく便利な魔法だと思う。


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