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第15章:氷の歌と星の血

空気が重い緊張に満ちた。

行き交う人々は逃げ去り、冷気に打ちのめされた市場の残響だけがそこに残った。ハーヴィーが歩を進める。吐く息が凍てつき、白い刃のように空気を裂いた。


「――お前が俺を殴った、下等な者よ……その名を永久の氷に刻んでやる。」


彼のアニマが顕在化した。

青みがかった霧が肉体から溢れ出し、彼を囲むように氷のきらめきのオーラが立ち上った。結晶がまるで凍った蛍のように舞う。足元の地面が軋んだ。


「アニマ顕現:クリオ=クール ― 蒼風の魂。」


周囲はゆっくり、だが確実に凍りついていった。構造物が氷となって立ち上がり、透明な檻を形作る。温度が急激に低下した。


ラスタバンは赤いフードを下ろした。

彼の紫の瞳が氷の反射を映し出してきらめく。


「それが貴様のアニマか……区別なく全てを喰らう冷気か。

 ならば、俺のを見せてやろう。」


彼の胸から赤い震えが広がった。市場の影たちが震え、亀裂が生きた血管のように鼓動し始める。


「アニマ顕現:紫のエコー ― 堕ちた星の血。」


二つのエネルギーが衝突すると衝撃波が走り、壁が砕け散った。空気は振動し、地面に亀裂が走る――温度は零度と灼熱の間を行き来した。



---


ハーヴィーが鋭く手を振った。


「アニマ断片:極氷の槍!」


無数の氷の尖槍が四方八方に噴き出した。

ラスタバンは旋回し、先の槍をかわし、他を掌で叩き砕く。触れた結晶は溶け、赤い塵へと変わっていった。


「ちっ……奴は俺のアニマを溶かす……!」とハーヴィーは思った。

「なんだこの力は? 物質そのものを“反転”させるようだ……」


ラスタバンが突進する。拳に赤い光が宿った。


「アニマ断片:紅拳・反響波!」


衝撃が氷の柱を砕き、ハーヴィーを数メートル吹き飛ばした。彼は滑るように床に倒れ、凍った柱にもたれかかり、薄く笑みを浮かべる。


「悪くない。だが、気になるのはお前の血が絶対零度にどう反応するかだ……」


彼は拳で地面を打ちつけた。氷の潮流が猛スピードで広がる。


「アニマ断片:氷の冠!」


青い棘が地面から噴き出し、ラスタバンに襲いかかる。

ラスタバンは手を掲げ、低く囁いた。


「紫の共鳴:反転の鏡。」


赤い光輪が棘を包み込み、即座にそれらをハーヴィーへと反転させた。衝撃が周囲の壁を粉砕する。


ハーヴィーは膝をつき、口から血をしたたらせた。だが、その瞳はまだ狂気の煌めきをたたえている。


「よし。お前には見せてやろう……我がシンフォニーを。」


彼は両手を胸に当てた。空気に一つの澄んだ晶の音が鳴り渡る。純粋で、刃のように鋭い。空間全体が固まるように感じられた。


「アニマ交響曲 ― 氷天の歌!」


凄まじい風がすべてを巻き上げた。空は白くなり、影が消えた。光さえが氷へと変貌したかのようだった。


ラスタバンは嵐の中心で微かに笑った。


「交響曲、か。面白いな。」


彼の血管が光り、足元の大地が崩れ落ち、掌から紫の光が噴き出した。


「アニマ交響曲 ― 原初共鳴:紅の審判!」


二つの交響がぶつかり合い、通りは内側へと爆発した。炎と氷の円環が彼らを取り囲み、触れたものをのみ込んでいく。赤と青の破片が星のように降り注いだ。


その光景を見つめていたアラタは、かすれた声でつぶやいた。


「こ、これは……巨人たちの戦いだ……」


光が収まりきると、ハーヴィーは地に伏していた。息は荒く、瞳は見開かれている。

ラスタバンは息を切らしながら、片膝をついていた。


「お前、固いな……認めよう。だが、お前のアニマは生きた心臓には冷たすぎる。」


ハーヴィーは歯を食いしばる。


「ちっ……まだ勝ったわけではない……」


ラスタバンはゆっくりと体を起こし、その視線はどこか悲しげな光を帯びていた。


「勝つ必要はない。俺の目的は……ただ、お前を黙らせることだ。」


最後の一撃のエネルギーが炸裂し、それから静寂が戻った。


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