3話
ルーチェside
寮への帰り道は、2人と今日召喚した使い魔について話していた。
「ルーチェは、風が得意なのにどうして光属性っぽい白い竜を召喚したのだろうか。」
シエルが、私の抱えている仔竜を見ながら、呟くように話しかけてきた。
「わからない。多分、この仔が性格の面で相性が良かったのかも。」
「だが、卵の状態で召喚されたのに性格なんて有るのか?」
「そういえばそうだった。なら分からない。」
そういえばデイジーが全く喋ってない。
「デイジーはどう思う?」
「ふぇ、わ、私ですか?」
顔を緩ませて、仔竜を見ていたデイジーが、慌てて答えた。
「他に誰がいる。」
「そ、そうですよね。私は、たまたまだと思います。それに、可愛いからいいじゃないですか。」
「そういわれると、それしか言えない。」
「そうだな。」
話している間に寮の入り口についた。
寮母のおばさんに声をかける。
「「「ただいま。」」」
「おかえり。」
「じゃあまた明日。」
「また明日、学校で。」
「じゃあ。」
部屋がある2階へ階段で上がる。
ちなみに、階層が高い部屋に住んでいる人用に転移魔方陣が奥に何個か書いてある。
部屋に入ると、手に抱えていた仔竜を布を敷いてその上に寝かせた。
まだ起きる気配がないので部屋についてる風呂に入ってくる。
仔竜side
目がだんだんと覚めてきた。
周りを見てみると白を基調にしたきれいな部屋で布の上に寝かされていた。
少し、別の場所も見たいので立とうと思ったが、うまく立てなかったので、空を飛んで移動しよう。
どこに行こうか迷っていると、近くから水音が聞こえてきたので、そっちに飛んで行った。
ドアがあったが幸いにも押戸だったので問題なく入ることができた。
入ってみると、湯気がすごかったが、目を凝らしてみるとそこにはルーチェが風呂に入っていた。
ルーチェがこちらに気づき、こちらに向かってきた。慌てて逃げようとしたがルーチェに捕まり。
「なんで逃げようとするの?」と、聞かれたが逃げたいので「キュウ(離して)」と訴えたが、意味が伝わるわけもなくそのまま、体を洗われた。
悔しいが結構気持ちよかった。
風呂から上がると、ルーチェが
「名前を決めてなかったから考えた。」
と、言ってきた。
僕には自分の名前があると言おうと思ったが、言葉も伝わらないし竜の体になっていたので、新しい名前をもらってもいいかもしれないと思い、ルーチェの考えた名前に期待していた。
「貴方の名前は、シルバリオ。」
シルバリオ……かっこいいな。
「キュウ(ありがとう)」といい、手をぺろぺろ舐めた。
そうすると撫でてくれた。
しばらくして、外を見てみると暗くなっていたので夕飯を食べに出かけた。
街に出てみるといろいろな出店をやっていて、結構活気に満ちていた。ルーチェの頭の上に乗っていると、どこからともなくいい匂いがしてきた。そちらのほうを見てみると肉を焼いていた。鳥のもも肉のようなものをグリルで焼いていて、とてもおいしそうだったので、袖を引っ張ってルーチェをそちらの方へ連れて行って買ってもらい食べた。美味しかった。
ルーチェは、レストランっぽいところに行った。部屋とかを見ていて思ったが結構金持ちなのかもしれない。僕は、ルーチェの向かい側の席でおとなしく寝ころんでいた。
少し散歩をしてから寮の部屋に戻りルーチェが寝間着に着替えるとベットに横になり僕の頭を撫でていると寝息が聞こえてきて見てみるとルーチェが寝ていた。
ルーチェの顔を改めてみてみると、綺麗な銀髪に起きていた時の深い緑色の瞳をしていた。眼鏡をはずした今の顔は、顔だちも綺麗で人だった時にも見たことがないくらい綺麗だった。
ルーチェも寝て、頭も落ち着いてきたのでもう一度今の、現状を見直してみよう。
まず、ルーチェに使い魔として卵の状態で召喚される前に、何をしていたかが何故か思い出せない。まぁ、現状では思い出してもどうすることもできないので保留にしておく。
次に言葉は何故かわかる。わかる分にはどうでもいいのでこれも保留にしておく。
この体の力もわかる。まずは、竜魔法という竜特有の魔法で、ドラゴンブレスや擬人化、相手を竜に変える魔法まである。次に、特殊な魔力を持っていることがわかるが、具体的にどういったものかはわからない。最後に、魔眼を持っていて、これは相手を石化させるらしい。
いろいろ考えていたが、眠くなってきたので寝ようと思いルーチェの毛布の中にもぐりこんだ。