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夜天幻時録  作者: 影光
第3章 秋星大祭編
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第51話 流星の子

 星界、黄導煌術学院(カプリコヌス)

 虚界では九月に入る頃、此処では今までに無いほど大きな聖徒総会(ゾディアック)が開かれていた。

「これほどまでに大規模な…………」

 既にこの学院を卒業した人物の姿が、チラホラと存在する。

 それは、少女────天河(あまかわ)燈架李(ひかり)も同じである。

 燈架李は、やや後方で学院の教職員と同じ縦列からだいぶ先の教壇に立つ人物を見上げながら呟いた。

 聖徒総会とは本来、学院生のみを対象とした行事だ。

 しかし、今回のこれはその行事から逸脱しており、尚且つ現在教壇に立っている人物は、この世界で知らぬ者は存在せず、誰しもが知る程の有名人。

 その人物の名は、ジュリィーストル・ヴァーデンガルド。この星界の《皇》だ。

「今回、皆に集まってもらったのは他でもないッ」

 三,六ある燈架李の視力を持ってすれば、今の《星皇》のその表情さえ丸分かりだ。

 《星皇》は、額に汗を滲ませ、それと同じくらいに肩を上下させている。

「慌ててきた?…………星皇(ジル)様にしては珍しい」

 燈架李は一人呟く。

 《星皇》が始めに発した常套句。その発言の勢いにも、燈架李は疑問を感じていた。

「先日、惑星観測機構(アリエス)より情報が入り、獄界が〈(ディンギル)〉の手によって崩落し、神界が壊滅状態に陥っているそうだ」

「────ッ!!!」

 《星皇》の言葉に、燈架李以外のこの場にいる全ての者達が、唖然とし茫然となった。

 そんな者達の中で、燈架李は今の《星皇》の状態の方を気にかけていた。

「これ以上の無茶は、禁止ですよ?星皇様………」

 そんな事を呟き、燈架李は一足先に誰にも気付かれないように退出する。

「残り、『五つ』…………」

 それが、現在この絶望的な状況で残っている僅かな可能性の数。

 だが、それは決して勝機の数ではない。

 それでも、その中にも僅かな勝機がある。

星杯(オルド)星典(ツヤヒメ)も、起動する必要が無いと良いけど…………」

 ホールから続く、真っ白で真っ直ぐな直線の長い廊下。燈架李は一人その廊下を歩きながら、呟く。

 燈架李の脳裏に浮かぶのは、この後の最悪な現実。

 獄界は崩落し、神界は壊滅状態。

 その状況下で考えられるのは、コチラ側の戦力を削ぐ事と、囚われたアチラ側の戦力の戦線復帰。

 神界は、この黄園郷(セカイ)では霊界に並ぶ最高位の世界。

 そんな神界が、これほどまでに容易く落とされたということは、この後の戦況は抗いようもなく一直線に進むだろう。

 それに、およそ三億年ほど前にもう一つの最高位の世界である霊界は崩落した。

 その事実上、もうこの黄園郷には数少ない戦力しか残っていない。

 そして三年前、妖界が大きな動きを見せたという情報もある。

 何がどうなっているかはさっぱりだが、この状況下で彼女達に出来る事など何一つ残ってなどいない。

「天河ッ!」

 と、燈架李が扉に手を触れようとした刹那、真っ白な廊下に叫び声が響いた。

「星皇様………」

 燈架李は振り返り、発した声の主の名を呟く。

 その者は、先程教壇に立ち、『現状』と『これから』を語っていた人物。

 《星皇》は、荒々しく息を切らし、激しく肩を上下させていた。

「一人だけ先に退出するとは、感心しないなぁ」

 息を整えた《星皇》は、燈架李に嫌味を言う。

「すみません」

 燈架李は、《星皇》の本当に言いたいことを分かっていたが、今は敢えてその発言に乗った。

「それで、どうかさましたか?」

 燈架李が問うと、《星皇》は再び深刻そうな顔を見せしばし間を置いてから口を開いた。

「少々、天河にやってもらいたい事がある」

「はぁ…………」

 燈架李の予感は的中した。

 燈架李は、ゆっくりと自宅に戻り、そそくさと荷造りを始めた。

「コレはぁ……、いらないかぁ………」

 独り言のようにぶつくさと呟きながら、燈架李は小一時間ほどで荷造りを終える。

「じゃ、行きますかッ」

 気合いを入れ、旅立つ覚悟を決める。

 最後になるかもしれない大仕事。その為に、杭となるモノは全て捨てなくてはならない。

 燈架李が自宅を出ると、今頃緊急招集が終わったのか、ぞろぞろと通行人の数が増えていた。

 彼らの不審者を見るような眼から逃れるように、燈架李は彼らとは逆方向に歩いていく。

 二十分ほどで到着した場所。

 そこは、つい先程まで聖徒総会が行われていた場所だ。

 その建物の前には、いる意味の無いはずの《星皇》以外の者の姿が数人ある。

「あ、来ました」

 その内の一人、少し小柄な少女が燈架李を見付けて声を上げる。

「お、来たか。意外に早かったな」

「荷物は少ない方ですから」

 《星皇》の嫌味に、燈架李は若干の濃さを乗せた嫌味で返す。

「本当に来たんだね」

 次に声を掛けてきたのは、燈架李の一番の親友、小廻(こまわり)(あずさ)だった。

「ま、任務だしね」

「…………」

 燈架李の嫌味に、梓は何も応えない。

 彼女は既に気付いていた。燈架李が、無茶をしているということ。そして、それからも無茶を押し通すということを。

「では、《(ゲート)》を開くぞ」

 だから、これ以上は何も言わず、見送ることを誓った。

 今度会う時は、戦場かもしれない。

 それでも、それが彼女達の存在意義であり、生き方だから、どうしようもなかった。

「あ、今度の休み。一緒に遺跡探索しようね?」

「あ………」

 燈架李の最後の言葉。それは、梓の心を強く討つモノだった。




 赤茶けた空は茜色に染まり、まだ午後の三時だというのに夕暮れ時を演出している。

 暦が九月に入り、夏の残暑だけが続く過酷な日々となっていた。

「あぁ~~つぅ~~いぃ~~~~…………ッ!」

 そう言って、伊織(いおり)さんは縁側のぎりのぎりぎり端に寝転がり、風鈴の音を響かせるだけの風に文句をかれこれ二時間は言い続けていた。

「言ってても、これ以上風は強くならないと思いますが」

 そう呟きながら、ワタシはその口を塞ぐように煎餅を伊織さんの口に射し込んだ。

「んぐっ!んぐんぐ…………」

 最初は驚いていた伊織さんだったが、射し込まれた煎餅をどうにかしようと、バリボリと盛大な音を発てて煎餅を砕き処理していく。

 あれからほぼ五日ほどが過ぎ、ワタシ達は無法で平穏の日々を過ごしている。

 それは確かに平穏そのものだ。だが、それも長くは続かないのが、これまでの現状である。

 そんなこんなで何もすることなく、この日も終えた。

 そして、その平穏を打ち破るように、事件(ものがたり)は再来する。


 九月八日。この日は、この秋最初のお祭りの日。

 そのお祭りの名は、舞華(まいか)祭。

 その内容は、この時季独特と言える〈政〉。

 多くの屋台が並び、始めは神成神社で行われる巫女の舞による奉納が恒例。

 三十分ほど続く、阿莉子(ありす)さんによる奉納の舞。

 その舞を見に来る者は多い。さるどそれは、のの国の全員というわけではない。そもそも、それほど大きな神社ではないので、国民全員がこの場にいることはできない。

 此処にいない者達の多く、特に大人の男達は別の場所で今もなお、これから始まる祭の大トリの準備をしている。

「あ、柚希。お疲れぇ~、差し入れ持ってきたぁ」

 そんなワタシ達も今、阿莉子さんのお手伝いに奮闘中だ。

「珈琲にぃ~、甘酒ぇ~~、発泡酒に、超強精力飲料(バ・リ・ト・レ・ン)?」

 おかしなテンションとおかしなラインナップで、伊織さんは買ってきた飲み物をワタシの目の前に並べていく。

 何度見ても、どれもワタシが飲めないものばかりだ。と言うか、一番最後の何?ワタシも聞いたことの無い名前の飲み物だけど。

「あ、お使い、ご苦労様でした。私は………このコーヒーを頂きますね」

 奉納の舞を既に終え軽く汗を湯掛みを済ませた阿莉子さんが姿を見せ、ワタシの後ろからワタシの身体を覆うように珈琲の缶だけを取り、そのままワタシの隣に座った。

「う、苦いですね…………」

 二口ほど口に含んだ阿莉子さんが呟く。

「この後は?」

 その阿莉子とは反対、ワタシを挟む感じで座り、発泡酒の栓を抜く伊織さん。

「この後は、花火ですね」

 その問いに、阿莉子さんが答える。

「どのくらい上がるの?」

「およそ、五千発ですね」

 それが、この祭のトリ。

 先程の阿莉子の舞が、この花火の成功を成就させるための奉納という訳である。

「始発はいつ?」

「もう、まもなくだと思いますが………」

 二人が、そう時計を見合わせた刹那───、

 ────ヒュルルルルル~~~~、バパパァァァァンッッ!!

 盛大な炸裂音が響いた。

 その音は大きく、だいぶ離れた場所であるはずの此処でも、十分に聞こえてくる。

「と言っている間に始まってしまいましたね」

 ワタシと伊織さん、阿莉子さんの三人は、神成神社の廉舞場の縁側で、全くの一人子一人いない特等席という状況の中、鳥居の頭上を咲き乱れていく花火を眺めていた。

 色とりどりの花火を見ている内、時間は刻々と過ぎ、全ての花火が打ち上がった頃には、夜の十一時を過ぎていた。

 その日残り僅かな空には、朱と黄の薄らとした模様が掛かり、その虚空には、微かな硝煙の匂いが漂っていた。


 神代(この)学園に、夏休みは無い。

 それは、この学園の校風によるものだと思われる。

 神代(かみしろ)学園は『給禁制』と言われる制度を採用している為、どのような時期や事態であれ、生徒の自主性を尊重した校風となっている。

 そのため、この学園に試験というものはなく、生徒は各々が学びたい授業にのみ参加すること前提としている。

 こうした校風であるが故、授業内容や担当する教員によって生徒の参加人数に大きな偏りが出てしまうのも致し方無い所以であろう。

 そして現在、ワタシはほぼ三ヶ月振りにこの学園に足を踏み入れている。

 それも幸いか、ワタシのように長期に渡って休む生徒も少なくないため、このようにしれぇっと教室に入ったところで大した眼には会わない。

 それどころか、今回に至っては皆また別の話題で持ちきりとなっていた。

「聞きました?この学園に、また転入生が来るみたいだよ」

「ホントっ?」

「さっき、先生と副会長が話しているのを見て、その隣に知らない女子生徒がいたんだけど……」

「え?でもそれって、別にこの学園が珍しいことじゃなくない?」

「いや、それを言われたらそうなんだけど………」

 何気無い会話。特に話題の少ないこの国では、こうした些細な出来事も大きな話題のように会話が弾む。

「ホント、何処もかしかもバカばっか、って感じだよね?」

「…………」

 その聞き慣れた声に、考えたくもなかったが、そっと視線を向けた。

 ワタシの隣に、さも当然のように伊織さんの姿がある。しかも、何処で調達してきたのかこの学園の制服を来ている。

「そう言う伊織さんは、何故学園(ここ)に?」

 内心驚いてはいるが、それがバレないように訊ねた。

「暇」

 その一言で片付けられてしまった。

(はく)達はもう居ないし、お姉ちゃんは釣りばっかしてるから一緒にいても退屈だし、だったら柚希の傍に居ようかな?って」

 何ともシンプルかつ奇何快な理由であった。

「…………」

 何と言っていいか分からず、ワタシは窓から見える蒼窮の空に視線を向けた。

 そしてこの日も、大して何をするというわけでもなく、一日が終わった。

 その帰り道に、ふと思う。

 こんな平穏な日々がずっと続けば良いと。けれど、それが叶わないことを、ワタシはその身を持って何度も目の当たりにしてきた。

 だからこそこれは、嵐の前の静けさ。

 今までと何一つ変わらない日常の一部。なら今は、それを全力で楽しむのが杭の無いモノと言えよう。

「…………」

 しかし、そこでふと一つの疑問がワタシの頭の中を支配する。

「趣味…………」

 そして、脳内はその言葉で一杯になる。

「何?急に………」

 隣で、伊織さんが首を傾げる。

 学園の通学路。ワタシの歩幅では、およそ二時間は掛かる。そのワタシのペースに合わせるように、伊織さんはワタシの少し前を歩いている。

「いえ、何でもないです」

 そう言って、ワタシは再び思考する。

 この秋という季節は色んな事に適した時季だと、何かの本で読んだことがある。

 読書に食事、芸術に運動など、この時季がどうして最適かはさておき、こうした時の暇に何をしていいのか不意に分からなくなるのはイタい。

 そのためにも、何か小さな趣味の一つでも見付けたいものだが……………。





 九月八日。神代学園生徒会室。

 学園の外では、皆が浮かれどんちゃん騒ぎのように街へ繰り出しているのだが、此処に居続けている彼女だけは違っていた。

 もう残すところ自分だけとなってしまった《神桜珠(アルディジャーノ)》の擬人体────佐久屋(さくや)葉月(はづき)

 彼女は一人、この時代での最後の『仕事』の下準備を行っていた。

「……………」

 葉月は無言で作業をこなす。とは言え、彼女の近くに人がいるわけでもなく、最も親しい者達はもういない。

 それでも、葉月が悔やむことも、悲しむことも無い。彼女達の在り方は、元々そういう風に『再現』され、彼女は元からボッチだったのだから。

「よしっ、今日はこのくらいにしとこ………」

 作業を一段落させ、大きな伸びをする。

「あ………」

 背中を大きく反った際に映り込んだ外の景色。

 辺りは暗く、空には満天の星空が輝いていた。

「もうこんな時間………」

 葉月は肩を落とす。

 それが、葉月の悪い癖だ。

 『前世』の時からそうだった。夢中になると、周りの世界観さえも見えなくなるほど集中してしまうのだ。

 こんな状況を打破するかのように、葉月の唯一の話相手だった小薙(こなぎ)最中(もなか)は存在していた。

 けれど、そんな人物ももうこの世にはいない。

 そんな葉月に残されているのは、彼女達が残した『希望』と、やり残した『役目』だけ。

「もうじき、『計画』は最後の段階へと移項するはず」

 そして、葉月はポツリと呟く。

 それさえも計画通りに行けば、自分達の役目も終え、もう『無駄な転生』を繰り返さなくても済む。

「あれから十八年」

 そう。それが、彼女達が以前の〈小薙悠哉(ゆうや)〉と別れてからの歳月。もうそれほどの時が経っている。

 だが同時に、これで本当に終わるのかという不安もある。

 これまで、幾度もの失敗を繰り返し、お互いに気力と精心力を磨り減らしてきた。

 本当にこれで最後にしてもらいたい。

 葉月は、心の底から刹那にそう願っている。

 ───ヒュルルルルル~~~~…………、バパパァァァァンッッ……………!!!

 と。帰り支度を済ませた葉月の背後で、花火が打ち上がる。

「……………」

 此処へ来てから、もう七度目となる舞華祭。

 葉月にとって、これが最後となる祭になるかもしれない。そう思うと、途端に胸が締め付けられるような感覚に襲われた。

 学園を出た葉月は、自宅としている学生寮への帰路を歩く。

 そこへ────ひゅぅぅぅぅぅぅ~~~ッッ。

 と。何かが近付いてくる音が聞こえる。

 それは明らかに花火の音ではない。しかも、そう遠くはなく、その速度は予想を大きく上回るほど速い。

「えっ?」

 音の鳴る方角に視線を向けた葉月だったが、その異常なまでの速さに、驚きの声を上げるのとほぼ同時にその飛来物は葉月のすぐ側に衝突した。

 ド派手に鳴り響く轟音と、数百メートルほどを覆う巨大な粉塵が二分ほど続く。

「けほけほけほっ………、何でこんなことになるのよっ………」

 粉塵を吐く葉月は、傍に見えた微かな人影を睨み付けた。

「あ痛タタっ………。もう、《門》を開くって言うから瞬間移動みたいなのかと思ったのに、何これぇ~」

 しかし、粉塵の中から聞こえた若い女の声は、葉月が向けた殺気を気にも留めず、独り言のようにぼやきながら服に着いた粉塵を叩く。

「あ………」

「…………」

 退き始めた粉塵の中から、少女はようやく葉月の存在に気付き、その鋭く尖った視線に冷や汗を垂らした。

「……………。ドンマイっ!」

 はっきり言って、少女───天河燈架李はにこやかに微笑してみせた。




 学園に顔を出し始めて二日目。

 下駄箱で捕まったワタシは、今生徒会室に連行されていた。

「…………、えと……………」

 長い間を置いて、絞り出した呟き。

「…………」

 何一つ変わらない静寂が、五分近く続いた。

「ほもご(どうも)ォ~~ッ!!」

 その静寂を撃ち破るように、扉は開かれ怒号のような声量で一人の女子生徒が現れる。

 その女子生徒の口には、よく入ったなと言わんばかりの大きな串物。手には、その串物に似た種類の串物が小さな小皿に山のようにある。

「「…………」」

「…………はぁ」

 その突然の登場と格好に言葉を失うワタシ、唖然とする伊織さん、呆れたようにため息を吐く葉月さん。その三者三様の反応に、何故か女子生徒もまた驚いていた。

「あれ?」

 途端に何かを発見したように目を見開いた女子生徒は、咥えていた串物をキャンディのように引き抜き、小皿に戻し傍の長机の上に置くと、グイッとワタシに顔を近付けてきた。

「あなた…………」

 顔がすぐ目の前にある状況で、女子生徒は呟く。

 ち、近い…………。

「どう?」

 と、葉月さんは訊ねる。無論、その問いは、ワタシや伊織さんに対してではない。

「………うん、合ってる」

 小さな間を置き、女子生徒は答える。それと同時に顔が離れていく。

「私、天河燈架李。ヨロシクね」

 そう言って、女子生徒は手を差し出した。

「…………」

 ワタシは少し困惑したが、伊織さんの顔を見てから葉月さんに視線を向けてその反応を確認した。

 伊織さんはワタシと同じように困惑していたが、葉月さんは小さく頷いたので、ゆっくりと手を差し出してみた。

 コチラが警戒していることも気にせず、燈架李さんはワタシの手を軽く握った。

 そして、ワタシ達は燈架李さんからほぼ無理矢理のように聞かされた。

 この虚界(セカイ)以外の他の世界の現状、なぜ燈架李がこの場に居るのか、ワタシに何をさせようとしているのか、を。

 始めの内は、冗談だと思っていた。

 だけど、これまでに起きた事を考察すると、自然とその話に信憑性が出てきていた。

 それから、ワタシ達は『今後』の事について話し合った。

 その中でまず始めに話題に上がったのは、燈架李さんの住む場所についてだった。

 先日までは葉月さんの学生寮に泊めていたが、如何せん一人部屋であり、葉月さん自体が日々忙しい。無論、この件に火垂(ほたる)さんや(あおい)さん、ましてや(たから)さんの力を借りる訳にも行かず、討論をする間も無く鴬亭(ウチ)に泊める羽目となった。


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