7. ~金魚と鯉とプールと池と~
いつものように、
お気に入りのベンチに座って
池の水面をぼんやり眺めていると
大きな鯉が水面から跳ねるのを
見ることがある。
黄金色の鯉や白い鯉だと
遠くの方からでも
見える。
陽に照らされて美しい。
たまたま、視界に入ったことが、
なんだか、特別のことのように思えてくる。
とても貴重な一瞬の煌めき。
遠くだと音は聞こえない。
驚いたのは、水際に立っているときに、
すぐ近くで見たその重量感と音。
跳ねたあと、水に戻るときの水しぶきと
その姿が視界に入ったときは、
鯉だとわかるけど、一瞬のことだから、
姿は見えず音だけ聞こえることがある。
最初は、とても大きな水の生き物が
すぐ近くに迫ってきているようで、
水際から後ずさりして
目を凝らした。
その音が、
鯉が跳ねたときの音だとわかってからは、
見逃したことを残念に思うようになった。
特別な一瞬だったと思うようになったから。
遠くで鯉が跳ねたのをきっかけに、
水面がキラキラ輝きだした。
いくつかの光が、
宝石や真珠のように輝いては消えていく。
しばらくたって、その光が無数に広がった。
水面が白銀色に眩しく輝いた時
静寂が訪れ、時が止まったように感じる。
光の中に溶けていきそうになりながら、
あの時に、似てる、、。
不思議な夢を思い出している。
私は、プールの脇に立って水面を見ている。
そのプールは小学校によくある
25メートルくらいの大きなプール。
突然、プールいっぱいの
巨大な金魚が飛び出してきて
ジャンプ。
赤と白のヒレが、長く美しい巨大な金魚が、
大空に向かって天高く昇っていく。
その美しいヒレを
風にゆらゆらなびかせながら
ゆっくり昇っていくのを見上げていると、
今度はここに戻ってきて、
そのプールにダイナミックにダイブする。
ブールの深い底にゆっくりと潜っていく。
その飛び込む瞬間に、
私は金魚のヒレにつかまって、
一緒に水の中に行こうとしたけど、
金魚の勢いがものすごくて、
ヒレにはさわることもできなかった。
ただ、潜っていく金魚の姿を見ていた。
あの巨大な金魚の
美しく、力強く、躍動的な姿を
今でもよく覚えている。
池に通うようになるずっと前、
気力も体力もなくなってしまった頃に
みていた夢だった。
あの夢の中のプールと目の前のこの池は
つながっていたのかもしれない。
(つづく)




