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1.~蛇の池 鷺の池~



5月10日。

9時頃家を出て、池に向かった。


歩いて30分くらいのところにあるその池は、

子供の頃は行ったことあるけど、

もう、しばらく行っていない。


この日は何となく足が向いて

30分のウォーキング。

気持ちのいい季節。


今年の5月は気持ちいい、


暑くも寒くもないから歩きやすい。


歩くうちに、

だんだんリズムに乗ってきて、

ぐんぐん進んだ。


池が見えてきた。


存在は知っていたけど、

しばらくぶりだったから、

初めて来たような気持ちで

池の周りをゆっくり歩いてみた。


今日は休日で、スワンのボートが

いくつも浮かんでいた。


そのスワンや中で漕いでる人や

池を見ながら歩いた。


ちょうど、

木陰になっているベンチが

ひとつ空いていたから、

そこで休憩。


水分補給して、風にあたって、

スワンを見ていた。


すると、スワンをスレスレによけて

水面をを上手に渡ってくる

小さな影が並んでいる。


なんだろうと目を凝らして見ていると、

だんだん輪郭がはっきりしてきて、


カモ?


お母さんガモと子ガモの

カルガモ一家の列だった。


1▪2▪3▪▪▪▪▪



お母さんガモと6羽の雛が、

こちらに近づいてきた。


気が付くと、

大きなカメラを持った人たちに

囲まれてるような

格好になってしまっていたので、

場所を譲って、歩き出した。


しばらく行くと、

水際に降りていけるようになっていた。


大きな鯉や亀が足元近くに寄ってきている。


それをしばらく見ていると、

規則正しい水模様が流れてきた。


模様を辿ってその方向に目をやると、

細い何かが頭を高くあげて泳いでいる。


蛇?


日の光に照らされて、

キラキラと金色に輝いて見えた。


私の目の前をゆっくりと優雅に横切った。


やがて、方向を変えて


向こう岸に泳いでいった。


向こう岸につくと

藪を上がっていったのが見えたけど、

すぐに見えなくなった。


全く怖くなかった。


あまりの美しさと、神々しい姿に

時が止まったようになった。


目が離せなかった。


どれくらい時間が経っただろう。

私はぼんやり考えていた。


お母さん、、?

かもしれない。


仕事をやめてから2年、

気力も体力も

なくなったようになって

なにか決めるのも決められない。


この頃は音にも過敏になってしまって

気持ちが休まらない。


こんな私を心配して、

4年前に亡くなった母が

会いに来てくれたのかもと、思った。


そんなことを考えながら、

また、歩き出した。


その金色の蛇が泳いで渡った向こう岸は、

小島になっていて、

古くから弁天様がまつられていた。


そろそろ帰ろうかとその池を出て、

また、歩き出した。


10分くらい歩くと

もうひとつの小さな池がある。


そこにも寄っていこうと坂を上った。


緩やかな坂を上りきって、下りていくと

池が見えてくる。


あの池のベンチでひと休みしてから帰ろう。


遠くからベンチが空いているのを

確認しながら坂を下りていくと、

大きな鳥?がいた。


水辺にじっと佇んでいる。

全く動かない。


置物・・・?・・・いや、


蒼鷺 だった。



私はベンチに腰かけて、蒼鷺を見た。


彼はそこに佇んだまま。


その迫力と彫刻のような美しさと


そよ風に微かに揺れる羽を見ていた。


彼の羽を優しく揺らしたその風が、

私を通りすぎていく。


空を見た。

白い雲がぽっかり浮かんで、

ゆっくりと流れていく。



しばらくすると、

水面がキラキラと輝き出した。


その無数の七色の光は

だんだん大きくなった。


その光の中に溶け込んでしまいそう。


私の中にも

光が流れ込んでくるみたいだった。


不意に涙がこぼれた。


え?

少し驚いた。


蒼鷺はまだ、そこに佇んでいた。



帰り道、

赤いカーネーションを抱えた人と

すれ違った。


そっか、今日は母の日だったんだ。


(つづく)



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