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境界のソードファンタズマ  作者: 矢崎 那央
第1話『世界でいちばん重たい相棒』
7/27

最終幕『あたしは知ってる、君が歩いていくこと』


 あたしは、空を見上げた。

 焼け跡から立ちのぼる煙の、その向こう。


 ほら、ちゃんと晴れてる。

 ——よかった、間に合ったね。



 「ふぅ……まさか、あそこまでやるとは思わなかったよ」


 そう言いながら、ひときわ大きな瓦礫に腰を下ろす。


 リクも、セブンを肩に背負ってこっちに歩いてきた。

 顔はちょっと煤けてるけど、どこか誇らしげだった。



 「おつかれさま。勇者さん」


 言いながら、ふと目を細める。

 ねえ、リク。



 「さっきさ、セブンが起動した瞬間。あんたの髪、一瞬だけ——緑に、光ったの。気づいてた?」


 

 彼は目をぱちくりさせた。

 私はすぐに笑って誤魔化した。

 だよね。本人にも、自覚はないか。


 

 この世界で“緑の髪”ってのは、古代文明の遺産にリンクできる、ごくごく限られた素質の証。


 本来は、こっちの世界の人にしか、出ないはずの印——


 なんで“異世界人”の彼が?


 でも、言葉にはしない。ただ、微笑んで肩をすくめた。

 まあ、いいか。今はまだ。

 



 戦いは、始まったばかり。

 魔王を倒しに行く——って、それだけなら、まだよかった。


 でもきっと、あの子が巻き込まれていくのは、

 それよりも、もっと深くて、もっと厄介で、もっと危ないものだ。


 これは、予言……というより、予感。

 


 でも、リクはきっと、歩いていく。

 あの目をしてたもん。誰かを守るときの、強くて真っすぐな目。


 そして彼は出会うだろう。——仲間たちと。

 


 リクは、きっと彼等と出会い、繋がっていく。

 それが、この物語の本当の始まり。



 ……でも、ちょっとぐらいなら、あたしのことも覚えててくれるといいな。


 ね? 勇者くん。




——the episode’s end.

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